ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年4月1日号

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週刊ダイヤモンド17年4月1日号

特集美術とおカネ全解剖とガラガラの両極端に分かれる構造を生んでいるわけだ。 01年に、国立の美術館が独立行政法人化するなど、美術館に採算性を求める圧力は日増しに強まるばかり。都心の美術館には議論はあるものの人集めの手段があるが、バブル期に箱物ありきで建てられた地方の美術館にできることは少なく、閑古鳥が鳴く。 一方、美の作り手に目を向ければ、日本では一部のスタープレーヤーを除き、作家の生活は苦しい。さらに言えば、作家や学芸員など美術に関わる人たちの社会的地位は海外とは対照的に低い。 また、欧米では作家の絵を売る役目を担う画廊(ギャラリー)が、作家のエージェントとなり、世界進出のための戦略を立てることも珍しくないが、日本の画廊ではその機能がまだ弱い。親身になって作家を育てようとする画廊が多数だが、良からぬ画廊もあって作家とのトラブルの話も聞こえてくる。 美術界で起こる断絶や問題の裏側にはカネが見え隠れする。その名の通り一見、“美”しい世界のように思える美術界では、一皮むけば札束が飛び交い、風変わりなプレーヤーがうごめいている。 裏側を知れば、“表”ももっと楽しくなるだろう。 ところが今、美術界で断絶が起こっている。ある意味では二極化といってもいいかもしれない。 例えば、大学で美術史を教えるある教授はこう漏らす。「この5~6年、学生が明らかに美術館に行かなくなってきている。授業で美術という言葉を使うと寝てしまうが、デジタルアートなどアートという言葉を使うと目を覚ます」。この教授が100人ほどの学生に近隣の某国立美術館に行ったことがあるかと尋ねたところ、手を挙げたのは数人だったという。 美術館を見れば、入るのに数時間待ちという美術展は多い。ところが、近年目を引くのは、アニメのキャラクターを主役とするようなサブカルチャーの美術展だ。半面、有名な国立美術館が所蔵する作品を展示する常設展は休日で無料の日でもガラガラだ。 背景には日本独自の美術展開催の構造がある。日本の美術館は美術展を新聞社やテレビ局などの大手メディアの資金に頼って開催してきたので、客を呼べる見込みがなければ、企画初期からメディア側のゴーサインが出ない。そもそも、大手メディアに立案から依存してきたために、学芸員の能力低下を招き、企画や運営の力が落ちている。こうした構造が、超満員33 週刊ダイヤモンド 2017/04/01大手メディアに資金・運営とも任せてきたため、学芸員などの人材が育っていない。また地方では運営難に陥る美術館も。そもそも存在意義が曖昧なのだ。広く名が知られ高額で作品が売れるのはごく一部。多くが苦しい生活を送るか、兼業でしのいでいる。また、社会的地位の向上を望む声も強い。多くの日本人は美術館に入場するために何時間も待つことを厭わないが、子供が入りづらいという声も多い。美術館の常連から白い目で見られるからだ。5Part作家3,4 Part消費者6Part美術館P144? P128? P48?