ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年7月8日号

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概要

週刊ダイヤモンド17年7月8日号

特集ユニクロ 最後の破壊た場所にある。一般的に臨海地での物流業務には、高い専門性を必要とする商習慣があり、適切に対処しないとビジネスが行き詰まってしまう。 小売業界にも、失敗の前例はあった。にもかかわらず、冒頭の物流担当役員はこうした商習慣への対処を取引企業に「丸投げ」(柳井正・ファストリ会長兼社長)してしまった。こうして、高額な費用負担を余儀なくされるという、のっぴきならない状況に陥った。  また、物流倉庫内部の仕組みにしても、そもそも柳井会長が求める効率化のレベルに全く達していなかった。 一時は、有明内部のオペレーション効率は当初の目標の「半分にも達していない」と、物流業界の関係者の間でささやかれたほどだ。 当然ながら怒り心頭に発した柳井会長の号令により、有明の物流倉庫は今、稼働からわずか1年にして“完全リフォーム〟で仕組みごと変えられようとしている。 一方、オペレーションの面でも仕組みの面でも依然として非効率な状況下だというのに、生産地からは商品が次々と運ばれてくる。溢れ出す商品をさばき切ろうと焦ってやみくもに多くの人を手当てしてしまうから、人件費はかさむばかりだった。 さらに、問題は他でも噴出していた。物流システムの開発が追い付いておらず、システムトラブルまで起こっていたのだ。 まさに混乱の極み。最悪期には、有明という巨大な物流倉庫がありながら、他に幾つも倉庫を借りる羽目になっていたという。 足元では「だいぶ落ち着いてきた」と柳井会長は語るものの、有明の物流倉庫は結局、その用途の変更まで迫られた。実店舗とeビジネス向け両方の物流改革を担う倉庫にするはずが、「われわれの能力が足りなくて、eビジネスだけ」(柳井会長)の倉庫に転換せざるを得なくなっているのだ。 実店舗向けの物流機能は別の場所に切り出すことになったため、追加費用は免れなくなった。有明の物流倉庫にしても、実店舗向けに使おうとしていた空間がしばらく遊んでしまうことになる。 振り返れば、この物件自体、不動産業界を激震させた〝いわく付き〟の物件だった。13年に大和ハウスが都市再生機構の競争入札で土地を落札したのだが、その価格が何しろ高かった。大和ハウスは実額を公表していないが、421億7000万円だったとされる。「落札できず悔しいっていうより、31 週刊ダイヤモンド 2017/07/08Photo by Hiroyuki Oya