ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年2月24日号

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週刊ダイヤモンド18年2月24日号

特集 儲かる農業2018をJAなどにただ出荷するだけの農家と、コメを自社で精米し、消費者やスーパーなどに直接売る力のある農家とでは、利益率に雲泥の差が出ている。 まして米価が下がると、どれだけ販路を確保しているか、農産物を多様化しているかといった経営力があらわになる。競争に敗れた農家はM&Aの対象になるか、廃業するかのいずれかである。 大競争時代に突入するのはコメ農家だけではない。 野菜農家にとっての荒波は、気候変動とそれに伴う市場価格の乱高下だ。 例えば、ある関東のブロッコリー農家は昨年、長雨や台風など天候不順の影響をもろに受け、野菜の出荷量が半減するという惨事に見舞われた。市場の価格が高かったため、幸い売上高は平年並みだったが、「ブロッコリー単体で大規模に経営していたら大変なことになっていたと肝をいざ米価が暴落してから海外への販路を開拓しようとしても、後の祭りだからだ。 米価下落のもう一つのセーフティーネットとして挙げられるのが、飼料用米である。飼料用米への手厚い補助金が農業の産業化を阻んでいるという問題はあるが、これについては56㌻で詳述する。 いずれにしても農家には飼料用米という、ある一定水準の所得を得るための選択肢があることは事実だ。 だが、そうした小手先の収入源を確保するという段階はすでに過ぎている。コメの国内消費量は年間約8万㌧減少しており、この縮小マーケットだけを見てビジネスをすることはあり得ない。 農家は、減反廃止という事実を冷静に受け止めて、コメ輸出に取り組むか、業務用米を作るか、はたまた野菜農家に転換するか──。まさに、重大な経営判断が問われる局面なのである。 この決断いかんで、コメ農家の優勝劣敗が明らかになることは確実である。 いかんせん、これまでコメ農家は甘やかされてきた。高い米価というゲタを履いているため、農家の〝裸〟の経営力が見えにくくなっている。そんな現状でも、コメ冷やした」という。 天候の影響を受けやすい露地栽培の農家にとって、いかにリスク分散をするかが喫緊の課題となっている。コメだけではない野菜農家、JAも二極化が進む 本誌は「担い手農家アンケート」(詳細は44㌻参照)で、農家に農業経営のポイントについて聞いたが、そこで明らかになったのは、いるところだ。時代の変化を見据えコメ輸出に先手を打つ 当初は8人だった輸出に参加する農家数は、輸出量に比例する形で増えて、今年は100人の大台に迫る見込みだ。 染野氏らの輸出プロジェクトが、ここまで順風満帆に拡大してきたのは、市場環境を鑑みると、不思議なようにも見える。 なぜならこの3年間、米価は上昇を続けており、農家はコメを国内で販売すれば相当な収入が得られたからだ。近視眼的な利益確保だけを考えれば、コメをわざわざ輸出する意義は薄れていた。 にもかかわらず、輸出量と参加農家数が増え続けたのは、実は減反廃止の〝効果〟があるからだ。 染野氏は「米価下落に備えて、保険としてコメを輸出している。国内外を問わず、売り先を確保しておかないと、どこまで価格が下落するのか分からない」と話す。 コメ輸出に積極的に取り組んでいる農家は、目先の利益を度外視し、米価下落時のセーフティーネットを築く目的で輸出先を確保しているというわけだ。数年後に、米国のスーパーでコメの試食販売を行う茨城県の農家ら。世界的にコメを流通させるTAMAKIFARMSが仲介している写真提供:ソメノグリーンファーム29 週刊ダイヤモンド 2018/02/24