ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年5月12日号

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週刊ダイヤモンド18年5月12日号

Special Feature産業はがらっと変わります。 さらに、すでに普及が始まっているカーシェアリングから、今後は自動運転が普及していく。そうなると、そもそも車が何台売れるのかという話になる。私の推計では、年間の需要は現在の10分の1くらいになります。 基幹産業である自動車産業が、10~15年後は様変わりしている。EVと自動運転が普及する時代には、配車アプリの会社が強くなってくるでしょう。UBERや滴デイーデイー滴だけでなく、他にも有力なサービスが出てきています。 例えばドイツには、ダイムラーやBMWが出資しているCar2Go(カー・トゥー・ゴー)という会社があります。街のあちこちに車が配置してあり、アプリで一番近くにある車を探して、それに乗って目的地まで行くことができる。北米でもかなり普及していて、カナダのバンクーバー市内には3000台も置かれています。 昨年、バンクーバーに出張したときに空港まで乗ったリムジンは、黒塗りのSクラスのメルセデスベンツでしたが、運転手がCar2Goで借りたものでした。彼は私を空港まで送った後は、Car2Goでもっと安い車を借りて帰るのだそうです。自分の車は持っていないと話していました。 もう変化は起きている。15年後に今の形のまま残れる産業は、おそらく一つもないでしょう。──そんな時代を生き抜くために、──人工知能(AI)が浸透しつつある今、既存の産業はどのように変化していくのでしょうか。 今から15年後の2035年ごろの世界がどうなっているかをイメージする必要があります。 ただ、35~40年ごろというのは、実は最も予測が難しい時期なんですね。今ある事業のうち、従来のやり方で努力すれば何とか5年後まで続く事業というのは、半分くらいでしょう。 10年後は、もう今とはビジネスの形が全く変わっているのではないでしょうか。中国のスマホ決済や預金、融資などの現状を見ると、銀行も今の形では生き残れないでしょう。また、そのころには電気自動車(EV)がかなり普及していて、ガソリンスタンドなんてあまり必要なくなるわけです。 そのとき自動車産業はどうなっているか。EVが自動車の売り上げ全体の半分くらいを占めていて、田舎では充電スタンドなどのインフラの問題があるので、ハイブリッド車になっているでしょう。(日本が注力してきた)水素を使う燃料電池車なんてまずあり得ないと思う。 そうなってきたとき、EVの部品点数はガソリン車の10分の1ですから、部品産業を含めた自動車1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、米マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て現職。10年後に産業界は一変する自ら学ぶ人以外生き残れない世界的経営コンサルタントであり、大学の学長を務める教育者、さらには自らプログラミングをこなす技術者でもある大前研一氏に、AI時代に生き残れる人材の条件を聞いた。K e n i c h i O m a eInterviewPrologue週刊ダイヤモンド 2018/05/12 30Masato Kato