ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年7月14日号

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週刊ダイヤモンド18年7月14日号

Special Feature社に伝統がある。京都のブランド力がある。そして立地条件が抜群にいい。経営を工夫すればいくらでも伸びると思った」 数カ月の交渉の末、売買が成立した。70代半ばにして現役に復帰したのである。 すると、岡さんの経営者魂に火が付いた。次々と新しい手を打ち始めたのである。それまで店頭販売のみだったが、店の奥にあった工場をレストランに改装。天ぷらや刺し身をメーンとし、焼きたてのだし巻き卵と8種の総菜の盛り合わせをセットにした定食メニューも提供するようにした。「これだけ人が歩いている通りで店を工場にしてたらあかん。ここをレストランにすれば売り上げは上がるし、前日に作った商品を翌日の定食で出せばロスもなくなる」 岡さんにはもう一つ狙いがあった。インバウンドだ。以前の総菜店では食べる場所がないため、買いに来るのは地元の人ばかりで、外国人は素通りしていた。レストランを造り、メニューを多言語化。中国語や英語を話せる外国人スタッフも雇用した。狙いは的中し、現在、レストランの利用客は1日平均170人。総菜の廃棄がなくなり、利益率も改善した。 買収から1年2カ月、錦平野の 都の台所、錦市場──。京都市の中心を東西に走る四条通から一筋北に入った路地にあるこの商店街は、400年の歴史を持つ。鮮魚、肉、漬物、総菜、土産物などおよそ130の商店がひしめく。その活気あふれる独特の雰囲気は観光客にも人気で、近年は外国人観光客も押し寄せている。 この錦市場で100年以上続く「錦平野」は、京料理の総菜店として、地元の人々に愛されてきた。職人が店頭で焼くだし巻き卵が特に評判だ。この老舗のオーナーは岡亘さん( 76 歳)。2017年4月、後継者がおらず事業承継してくれる人を探していた元のオーナーから買収した。 岡さんはもともと、大阪市北浜にある実家のかまぼこ店を経営していた。4年ほど前、共同オーナーだった兄と話し合いの末、バス会社に会社を売却、引退を考えていた。すると妻から、「あんたは水槽の中のハマチと一緒や。止まったら死ぬで」と尻をたたかれる。 そんなときM&Aのマッチングサービスを介して、錦平野が売りに出されていることを知り、岡さんは居ても立ってもいられず、すぐに見に行く。「直感的に気に入った。まず、会京週刊ダイヤモンド 2018/07/14 28Prologue70代半ばで現役復帰京都の老舗オーナーに