ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年8月4日号

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週刊ダイヤモンド18年8月4日号

特集 ゲーム理論入門先進企業が着目グーグルが支える価格決定の技法 そんなゲーム理論は、経済学の枠を超え、現実への応用により目を向ける。政治・外交分野では、例えば核などの軍拡や軍縮をめぐる問題だ。ゲーム理論で政治・外交問題を研究する早稲田大学の栗崎周平准教授は、「平和問題は数値分析に基づき考えるべきで、もはや不可欠なツールだ」と説く。軍事力の在り方などをめぐっては、他国との安全保障などとの関係性を考えながら戦略を構築する必要があるからだ。 ゲーム理論はむろん、ビジネスマン個人にも強い味方となる。東京大学大学院の柳川範之教授は、ゲーム理論を学ぶ大きなメリットとして、「自らの生き方やキャリアを戦略的に決めるツールとして知っておきたい」と言う。さらに「企業戦略でライバルと戦う際、基本的な思考の型を知っていないと戦略を誤りかねない」とし、これからの時代に勝ち残るためには不可欠なツールとの見方を示す。 あまり知られていないが、実はあのグーグルにおいては、ゲーム理論の一分野である「オークション」理論の知見が収益の大黒柱となっている。 この広告モデルの設計者は、ミクロ経済学を専門に米スタンフォード大学や英オックスフォード大学などで教壇に立った後、グーグルのチーフエコノミストとなったハル・ヴァリアン氏。まさに学問的な知見が、世界的企業の最前線のビジネスで生かされているのだ。先進的な企業の事例については、42㌻などで後述する。 ゲーム理論の応用範囲は硬派なテーマにとどまらない。激闘が続いたサッカーW杯ロシア大会中、物議を醸した日本代表のポーランド戦終盤のパス回しについても、ゲーム理論では数式を使って最適な戦略を導き出せる。結論から言えば、日本が1次リーグ突破のために取った〝苦肉の策〟である10分以上にわたるパス回しは、論理的に考えて正解だったのだ。 数式などの詳細は41㌻に譲るが、日本がポーランド戦の終盤で攻撃した方がよいのは「得点する確率が失点する確率の2倍以上となる場合」のみと導き出され、突破可能性を高める戦略だったことが明らかとなった。 政治経済から仕事、暮らしまで幅広く役立つ、ゲーム理論の基本的な思考パターンを学んでいこう。31 週刊ダイヤモンド 2018/08/04REUTERS/アフロ、Hiroyuki Oya 勝ち残りの武 Prologue