ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年12月15日号

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週刊ダイヤモンド18年12月15日号

特集 日産 最悪シナリオ策)によるばらまきや、品質問題などが含まれている。くしくも、5年前にも米国事業の不振やリコールが減益要因となっていた。 販売台数を追い利益を顧みない規模拡大路線のひずみや品質問題が、5年を経てまったく解消されていないともいえる。 西川社長は、今後の展開を読むには十分過ぎるほど、ゴーン氏の思考回路を理解していたことだろう。5年前と同じ経過をたどっているのだから、行き着く先はCEOたる自身の責任問題、ありていに言えばクビである。 仏ルノー、日産、三菱自動車の3社のアライアンスCEOとなったゴーン氏の統治範囲は広がった。一方で、現場感覚の衰えも痛感していたことだろう。ゴーン氏は、意思決定を下す自分と現場との乖離を埋める仕組みとして、権力集中システムを築いていった。 驚いたことに、ゴーン氏は日産のCEOでもないのに、「いつの間にか、西川社長以下執行役員53人全員の人事権と報酬決定権を握っていた」(日産幹部)という。 厳密に言えば、別の代表取締役、つまり、ゴーン氏と共に逮捕されたグレッグ・ケリー氏の同意を得られれば、日産役員の進退を自由に決められる仕組みになっていた。 これはもう、暴君の独裁としか言いようがない。 実際におかしな幹部人事がまかり通っている。本来、業績低迷の責任を取るべきは、元凶となった北米担当をしていたホセ・ムニョスCPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)のはず。にもかかわらず、なぜか4月に、重要ポジションである中国担当へ横滑りしている。そこに、ゴーン氏の差配があったことは想像に難くない。 ゴーン氏に刺されるくらいなら、先に刺そう──。ゴーン氏解任劇の発端は、不正の発覚から始まっているのかもしれない。だが、西川社長の思惑は別のところにあるのではないか。それは、この一大スキャンダルを利用することで、ゴーン氏やその背後にいるルノーから〝当たり前の企業統治〟を取り戻すことである。小粒になったECメンバー再出発は前途多難 そう考えれば、かつての師を極悪人に仕立てるなど、最近の西川社長の執拗な攻撃姿勢も理解できようというものだ。 問題は、ポスト・ゴーン体制がうまく始動できるかどうかだ。2018/12/15号_1特_日産最悪シナリオP27オーバープリント済 御子柴2013年11月2018年11月5年前の解任騒動の再来●2期連続の下方修正リスクの高まり 2018年9月期は中間決算として3期連続の減益●元凶は米国での「インセンティブ漬け」販売の付 け、欧州事業の不振●11月22日に開催された臨時取締役会で、カルロス・ゴーン代表取締役会長とグレッグ・ケリー代表取締役を解任 ?規模拡大路線のひずみ  ?規模拡大路線のひずみ●社員向け説明会で、西川廣人社長がルノーとの関係見直しを示唆●2期連続の下方修正 2014年3月期の営業利益を1000億円引き下げ●9工場の新設・増強による設備投資と新興国での 販売台数の伸び悩み、米国事業の不振●志賀俊之最高執行責任者(COO)とコリン・ドッ ジ副社長を解任?西川廣人氏(現社長)、アンディー・パーマー氏(現アストン・マーティン最高経営責任者〈CEO〉)、トレバー・マン氏(現三菱自動車COO)の3副社長の昇格●同時期に腹心のカルロス・タバレスCOO(現仏PSAのCEO)を解任。ゴーン氏へ権力集中業績ルノー関連懲罰人事業績未達の原因VSREUTERS / アフロ、 iStock/gettyimages27 週刊ダイヤモンド 2018/12/15