ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年2月9日号

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週刊ダイヤモンド19年2月9日号

特集文系でも怖くない ビジネス数学して日本人が弱いのはallとsomeの使い方(37㌻参照)なんですね。あるいは「…ではないのですか」といった否定疑問文に弱い。この辺の英語に戸惑う人が多いのは、学ぶべき論理の基礎が身に付いていないからだと思う。 学ぶべきものを学んでいないというと、2000年代初頭のゆとり教育でどんと削減されたイメージかもしれない。だが、教科書の内容は1970年代の半ばくらいから、減り続けていたんです。 冒頭でお話があった『分数ができない大学生』は、私も分担著者だったんですが、1/2+1/3=2/5というのは、一つの警告だったんだと思う。それは、意味を理解しべきものです。そこで数学が必要になる。ところが、日本ではおかしな方向に進んでいる。続出しているパーセントが扱えない大学生 ただ最近、経済産業省が「数学を何とかした方がいい」と数学人材の重要性を訴えたり、日本経済団体連合会の中西宏明会長が「文系の大学生も数学を学ぶべきだ。数学を全然やらないのはおかしい」と提言(→32㌻解説)を出したりして、風向きが変わってきた。 しかしながら、私はそう簡単ではないと思う。例えば、論理に関三つ目に哲学史の知識に欠けるので、思考、思索の型というものが分かっていない。 日本の教育というのはかなり特殊なんじゃないかと、言われたのです。聞き取りをしてみると、確かに文系は高校数学、下手すると中学段階でも数学をきちんとやらなくて済む。 私は3年前から同志社大学の神学部で教えているんですが、「数学と神学は隣接しているから、きちんと数学をやっておきなさい」と言っているんです。芳沢先生の講談社ブルーバックスの『新体系・高校数学の教科書(上・下)』を丁寧に読んでいる学生も多い。高等学校卒業程度認定試験で9割は確実に取れる優秀な学生たちです。 ところが、私はショックだったんですが、「リーマン幾何学(→下解説)では平行線はどういう状況で交わるの?」と聞くと、皆キョトンとしている。「先生、平行線が交わるんですか?」と。芳沢 数学に関して幾つか迷信があります。例えば、まず「私立大学の経済学部は文系だから数学は不必要」という迷信です。佐藤 ひどい話ですね。芳沢 世の中にはさまざまな経済関連の問題がある。でも、必ず最後は数字をもって客観的に議論す 同一律は論理学で、「AはAである」ということ。矛盾律は論理学で、「命題pは真であり偽でもある」ことはできないということ。排中律は論理学で、「任意の命題は真か偽である」ということ。リーマン幾何学と直線 普通の平面上に、2本の平行な直線を引くと交わらない。しかし、例えば球面上の図形を考えると事情は異なってくる。球面上の異なる2点に対し、その2点を結ぶ球面上の最短の曲線である「線分」を延長して「直線」を考える。すると、この「直線」は球面上の円になり、その中心は球の中心である。この円を球面上の大円という。イメージとしては、地球上の2点である東京とニューヨークを結ぶ最短距離で飛行する航空機のルートを想像するとよい。これが最短距離であると認識することは、意外と難しいかもしれない。球面上の異なる「直線」同士は、平面上の図形のイメージとは異なって、必ず交わる。同一律、矛盾律、排中律解説31 週刊ダイヤモンド 2019/02/09Y.W. 芳沢光雄桜美林大学教授