ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年6月1日号

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週刊ダイヤモンド19年6月1日号

27週刊ダイヤモンド2019/06/01わなかった。しかし、新山さんが「経緯を全部マスコミに話す」と告げたところ、本部の態度は急変。3月末に閉店にこぎ着け、コンビニ経営から〝解放〟された。閉店時に在籍していた従業員数は、家族を除くと6人。通常ならば、1店当たり25 ?30人は必要とされている。「休むこともやめることもできない。最後の3、4年は本当に地獄だった」と新山さんは振り返る。新山さんがこれほど厳しい状態にあったことは当然、SEJ本部も把握していたはずである。「共存共栄」は過去の話加盟店依存の成長が構造的課題に直面過去40年間、急成長を遂げてきたコンビニ。百貨店や総合スーパーが軒並み不振を極める中、小売業界の成功モデルとして称賛を浴びた。業界を先導するセブンは〝一大帝国〟を築き上げた。だがその内実は、人件費などのコストを加盟店に負担させ、現場のマンパワーに依存して高収益を上げるビジネスモデルだった。もちろん、人手が容易に集められた時代は加盟店も潤い、「本部と加盟店の共存共栄」という美辞麗句は比較的達成されていたといえる。しかし、人口減少で市場が縮小する一方、店舗数は年々増加し、今では5万店を優に超える。加えて、労働人口の減少という構造的な課題にぶち当たり、客や働き手を加盟店同士で奪い合うという、凄惨な様相を呈している。にもかかわらず、本部と加盟店の契約内容は、微修正こそされたが、本質的には変わっていない。苦境に耐えかねて直訴しても、新山さんのように門前払いをされる。今、商圏や立地に恵まれて経営が順調な加盟店も、人手不足とは無縁ではない。味方のはずの本部のドミナント方式や競合による近隣出店で、売り上げが急減するリスクに常にさらされている。助けを求めてもがいても状況は改善されず、周囲の環境ばかり悪化していく〝アリ地獄〟。これが加盟店の置かれた現状だ。こうした事態に、ある公正取引委員会関係者も、「コンビニオーナーだけが『働き方改革』の対象外になるのはおかしい。強い関心を持っている」と語気を強める。「社会インフラ」とさえいわれるほど消費者にとって欠かせない存在となったコンビニが直面している苦境について、データと現場の証言からひもといていく。コンビニ経営は24時間営業で疲弊するオーナーBloomberg/gettyimagesPrologue