ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年6月8日号

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週刊ダイヤモンド19年6月8日号

大学(院)で哲学を専攻した海外経済人ソロスからP.ティール、フィオリーナまでジョージ・ソロス投資家世界三大投資家の一人英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス出身大学カール・アイカーン投資家アクティビスト(物言う株主)として知られる著名投資家米プリンストン大学出身大学ビル・ミラー投資家米の伝説的な投資家米ジョンズ・ホプキンズ大学出身大学スチュワート・バターフィールド経営者Slack(スラック)CEO英ケンブリッジ大学出身大学パトリック・バーン経営者オーバーストックCEO米スタンフォード大学出身大学アレックス・カープ経営者パランティア・テクノロジーズCEO独フランクフルト大学出身大学ピーター・ティール経営者PayPal(ペイパル)創業者米スタンフォード大学出身大学リード・ホフマン経営者LinkedIn(リンクトイン)創業者英オックスフォード大学出身大学カーリー・フィオリーナ経営者ヒューレット・パッカード元CEO米スタンフォード大学出身大学Sean Gallup/gettyimages、Stephanie Keith/gettyimages、Bob Levey/gettyimages、Bloomberg/gettyimages、iStock/gettyimages*出身大学=哲学を専攻した出身大学(大学院)George SorosPeter ThielReid HoffmanCarly Fiorinaなぜ哲学がビジネ・フィオリーナも、過去のインタビューで哲学の有用性を説く。1999年、女性初の米国企業上位20社のCEOとなったフィオリーナは当時、経営に不可欠な要素として、情報収集のための質問力と、自分が何を知りたいのかを把握することを挙げた。その上で、物事を正しく理解し、論理的に考える哲学の手法が非常に役に立ったと述べている。一方、企業側も放っておくはずがない。例えばグーグルやアップルは最近、哲学者を「イン・ハウス・フィロソファー(顧問哲学者)」などで採用して話題を呼んだ。哲学は、われわれの想像以上に稼ぐことができるのだ。そこには、データの裏付けもある。米国の専攻別の学位取得者の年収調査で、哲学は、新卒時からミドルキャリアまでの年収中央値の伸び率が103・5%と50専攻中、数学と並んでトップである(平均は69・2%)。絶対額でも人文系1位で、平均の約7万4700ト?ルを上回る。そもそも、米国において哲学は、優秀な学生を引き寄せている。ビジネススクール入学の適性試験GMATで、哲学専攻の学生の成績は文系トップ。ちなみにロースクールの適性試験であるLSATも同じ結果だ。つまり、文系最強のエリートが集う専攻が、哲学といえるわけだ。哲学の修得は欧米エリートに必須であるこうした哲学への高い評価は、米国だけではない。仏パリ第10大学で哲学を学んだ史上最年少の同国大統領、エマニュエル・マクロン。彼も受験した仏版センター試験「バカロレア」は、文理共に哲学が必須科目。またオックスフォード大学の看板学部PPEは哲学、政治学、経済学の英語の頭文字だ。欧州のエリートにとって、哲学は米国以上に必修といえる。だが、なぜ哲学がこれほど重視されるのか。その理由は、哲学の修得があらゆる学問の〝ベース〟をつくると同時に、ビジネスをはじめ答えのない課題に立ち向かう〝スキル〟を身に付けることができるからだ。哲学から得られる武器は二つ。すなわち応用性の高い思考力と、それを補完する2500年の歴史を持つ賢人たちの知恵である。この二つを合わせて初めて、哲学が実学としての武器になる。次ページからその武器を順に伝授する。25週刊ダイヤモンド2019/06/08