ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年7月6日号

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週刊ダイヤモンド19年7月6日号

全国銀行の株式関係損益と与信コストの推移銀行ゾンビ化要因3利益の穴埋め役も限界▲8▲7▲6▲5▲4▲3▲2▲1012兆円与信コスト株式関係損益異次元金融緩和2002 0604 08 12 1610 14 18年*各年3月期。全国銀行協会の資料を基にダイヤモンド編集部作成7/6号1特P26-27イラストレーターCS5オーバープリント済み岩崎※サブスク外部データの加工流用時限爆弾3預金流出時代の到来時限爆弾2ゾンビ企業の死時限爆弾1資産の減損特集銀行危険度ランキング銀行が続出した。それまで軽視してきた市場運用で本業の穴埋めをしようというのは甘過ぎた。それでも銀行が決算の体裁を何とか保てたのは、上右図のように株の売却益と与信コストという二つの穴埋め役の存在が大きい。相場が右肩上がりの中で持ち合い株などの株の売却益が貢献した。また、景気が堅調で企業倒産が少なく、融資の貸し倒れに備える引当金などの与信コストがこの何年かはほとんどかからなかった。それどころか、引当金が必要なくなって「戻り益」として利益計上できる銀行があったほどだ。しかし、株の含み益は無尽蔵にあるわけではなく、景気の曲がり角が意識される中、与信コストも上がってきた。もはや利益の穴埋めに使える〝ヘソクリ〟は尽きようとしている。さらに、詳細は44 ?47ヘ?ーシ?で後述するが、銀行業界は「資産の減損」「ゾンビ企業の死」「預金流出時代の到来」という三つの時限爆弾まで抱え込んでいる。「十分な自己資本の厚みがあるので、数年で経営破綻することはない」。そう言われ続けてきた銀行業界だが、その危機的状況はついに“臨界点”を超えた。国を挙げての「ゾンビ銀行」退治が始まる。ずがない。しかし、営業譲渡であればグッドバンク(良い資産を持つ銀行)だけを買える。バッドバンク(不良資産だけ残った銀行)は清算処理するしかない」これほどまでにその地銀元幹部が悲観的になるのは、赤字体質から抜け出せないにもかかわらず、すぐに経営破綻に陥るわけではないので市場にとどまり続ける、そんな「ゾンビ」と化す銀行が増えてきているからだ。その理由は大きく三つある。最大の要因は、融資事業という銀行の本業中の本業の不振にある。日本銀行が継続する異次元金融緩和によって超低金利環境が続き、右ページ右図のように、貸出金を急増させてもそこから得られる金利収入が付いてこないのだ。そこでにわかに収益源として脚光を浴びたのが、今まで銀行ではいわば〝副業〟扱いだった市場運用部門である。株式や債券などの有価証券の売買益や利息配当金で稼ごうとしたわけだ。しかし、顧客にセールスをしていながら、自身の「資産運用」は得意ではなかったようだ。右ページ左図のように、トランプショックなど市場の荒波にのまれて債券の運用が低迷。多いところでは数百億円規模など巨額の損失を被る27週刊ダイヤモンド2019/07/06国を挙げての「ゾンビ銀行」iStock/gettyimages