ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年10月5日号

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週刊ダイヤモンド19年10月5日号

特集銀行・証券 断末魔 金利で稼ぎにくくなった地銀にとって、手数料収入を主軸とする証券ビジネスは、有望な稼ぎ頭になると見込まれていた。 実際、あちこちの地銀で、金融商品の供給に特化したり、地場証券を傘下に入れたりなど、かたちはさまざまだが、証券会社を子会社化する例が相次いだ。 しかし、ごうぎん証券の例を見ると、現実はそれほど甘くないことがうかがえる。ごうぎん証券は開業して2期連続で最終赤字。18年3月期はなんとか黒字に持ち直したものの、19年3月期は赤字に逆戻りし、4期中3期が赤字だった。ごうぎん証券だけではない。ある地銀関係者は地銀の証券子会社の経営状況について「成功している例は多くない」と明かす。 大手証券会社でさえ、前期決算は軒並み減益を余儀なくされており、野村ホールディングスに至っては最終赤字に陥る始末だ。この状況下で、「地銀の証券子会社が稼ぐのは無理に決まっている」(市場関係者)。故に今回の提携は、軌道に乗らないごうぎん証券を体よく解散しただけではないかと、業界では受け止められている。 とはいえ、顧客の老後資金の形成に一役買う証券機能を「やめるわけにはいかない」(山陰合同銀経の統廃合が最も大きな効果を発揮できる手段だ。 店舗の統廃合については、「店舗を閉めれば顧客の利便性を損なう」という大義名分を掲げて、足踏みをしていた。何よりも不安だったのは「信用不安が起こること」(第二地銀幹部)だ。 だが、実際に店舗を閉めても「近隣のATMを使ってもらうように誘導したらクレームは一件も来なかった」(関東地方の地銀幹部)と杞憂に終わることも多い。もはや地銀にとって、人員削減や店舗の統廃合などの縮小路線は不可避な情勢だ。 地銀はコストカットを進める一方で、トップラインの増強にも取り組んできた。だが、必ずしも成果に結び付いていない。 それが垣間見えたのが、8月26 日に山陰合同銀行(島根県)が発表した野村證券との業務提携だ。 その内容は、山陰合同銀傘下の証券子会社であるごうぎん証券を含め、山陰合同銀グループの証券口座を野村證券に移管するというもの。野村證券に口座の管理を一任し、銀行サイドは野村證券から営業部隊の出向を受け入れつつ、投資商品の販売に集中する。提携が進んだ先に、ごうぎん証券は解散することを見込んでいるという。は、長引く低金利環境だ。日本銀行が2013年に打ち出した異次元の金融緩和や、16年1月に導入が決まったマイナス金利は、確実に地銀の収益機会を奪ってきた。 そもそも銀行は、集めた預金を企業に貸し出す融資事業が本業中の本業だ。だが、低金利環境が続いて企業から受け取る利息収入が下がれば、この伝統的なビジネスは 〝じり貧〟にならざるを得ない。 こうした融資事業の利益を核とした、一般企業における営業利益に当たる「コア業務純益」は、毎年減少の一途をたどっている。特に、マイナス金利による影響を受け始めた17年3月期からは、一段と大きな落ち込みを見せた。 収入が増えない以上、今の利益水準を維持するためには、コストを削るしかない。多くの地銀はようやく重い腰を上げて経費削減に取り組み始めた。 銀行の二大コストといえば人件費と物件費だ。人件費は採用抑制による従業員数のカット。RPA(事務作業の自動化)などデジタル化の進展が後押ししている。物件費は店舗える必要もないはずだ。「地域に名前を残して営業活動ができる。これ以上、何を望むというのか」。 そう決意し、この地銀幹部は有力地銀と交わした密約を首脳陣に持ち掛けた。しかし、頭取をはじめとする他の幹部は、遠方連携の有益性を理解しなかった。結局、幹部が描いた〝ウルトラC〟は実現することはなかった──。 これほどまでの統合案を、地銀が検討しなければならない状況に陥ったのはなぜか。それはひとえに、本業不振がより深刻となり、構造不況が極まっているからだ。 背景には、地方の人口減少や企業の資金需要の低下など幾つもの要因がある。その中で最たるもの9/28号 1特 P31 サブスク流用イラストレーターCS5 オーバープリント済み 岩崎00.51.01.52.02010 12 14 16 18 (年)(兆円)マイナス金利で〝じり貧?の窮地に地方銀行全体のコア業務純益の推移地銀第二地銀*各年3月期。全国地方銀行協会および第二地方銀行協会の統計資料を基にダイヤモンド編集部作成31 週刊ダイヤモンド 2019/10/05