ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年10月12日号

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週刊ダイヤモンド19年10月12日号

Special Feature有料老人ホームの運営会社としては、過去最大級の倒産である。1500人以上の入居者からの預かり金の総額は約34億円に上る。 破綻しても、ホームの運営は続いていて、退去を迫られるわけではない。だが、ほかのホームに移ったり、早く死亡したりしたときに、本来なら戻ってくるお金は消えてしまった。 入居者の多くが認知症を患い、車いすの生活を余儀なくされている。払い込んだ入居一時金がなくなったことを理解できない入居者も少なくないだろう。 2017年には売上高が100億円を突破し、東京都港区の高層オフィスタワーに本社を構えるほど羽振りが良かった会社が、破綻した理由は何か。 破綻からさかのぼること約半年。18年7月、未来設計は福岡市に本社を置く同業の創生事業団(以下、創生)に買収されている。 未来設計の創業者、伊藤英子氏は17年ごろから事業を手放すことを考えていた。70歳を間近にして両親も子供もいない。医療機関や海外ファンドなどと買収交渉が進む中、割って入ったのが49億円を即金で振り込んだ創生だった。 民事再生申立書では、買収後すぐに未来設計の粉飾決算が発覚して、資金繰りが急速に悪化したとしている。 入居者が払った入居一時金は、ホーム側が毎年決められた額を償却することになっている。ところが、5年で均等償却する入居一時金を一括償却して売り上げを膨らませ、年間2億円を超える伊藤氏の高額な報酬に充てていたなどと断じている。1000万円以上の入居金で料理は手抜き食器はプラスチック 伊藤氏の金遣いの荒さは、業界でも有名だった。未来設計の元社員が語る。「社員はよく勤務時間中に、伊藤さんのブランドショップでの買い物の付き添いで出掛けていました。ただ、伊藤さんは自分のものには浪費しても、入居者に対してはけち。誕生日のプレゼントは百均で買ったものだし、食器はプラスチックで料理はレトルト食品。1000万円以上の入居金を取っているのに、こんな料理を出して大丈夫かと配膳するたびに思いました。ともかく、食事に対するクレームは多かった」 のホームを退去させたいけれど、退去しても支払った入居一時金は数千円しか戻らない。なぜ、こんな目に遭わなければならないのか……」 9月初旬の債権者説明会の後、親の次の入居先を求めて都内の有料老人ホームを訪れた男性は、憤まんやる方ない様子だった。 その人の親が現在入っているのは、今年1月22日、民事再生法の適用を申請した未来設計のホーム。その時点で、首都圏を中心に「未来邸」や「未来倶楽部」など37ホームを経営していた。 負債総額は53億8600万円。今年1月に民事再生法の適用を申請した未来設計。再生計画案から見えてくるのは、泣き寝入りするしかない入居者の弱い立場だ。10月23日に決議する再生計画の舞台裏を追った。入居一時金が99%カット!!〝破綻ホーム〟再生の舞台裏Part週刊ダイヤモンド 2019/10/12 32入居者は人質!? 老人ホームが危ないcTakako HasegawaPhoto by Masato Okazaki/STUDIO ZONE SEVEN1「今