ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年10月12日号

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週刊ダイヤモンド19年10月12日号

特集 介護 全比較 伊藤氏をよく知る関係者の評価も散々だったが、今年1月の破綻に関しては、「完全な出来レース」と指摘する。実は、同じ見方をする業界関係者は多い。 繰り返すが、老人ホームの大口取引先は入居者や建物のオーナー(地主)だ。買収に当たって、入居者からの預かり金やオーナーとの賃貸借契約書のチェックは欠かせない。 伊藤氏は過去に不動産取引で逮捕歴がある。大手銀行の反社会的勢力のチェックに抵触するため、財務の実態を十分に承知した上で、未来設計を買収したということだ。 創生が伊藤氏に対して起こしている損害賠償請求の訴訟でも、この点は重要な争点だ。訴訟事件記録によると、創生は「伊藤氏は、後で作成した償却関連資料を6月13日に交付したと主張しているにすぎない」と反論している。互いに正当性を主張しており、今後は、司法の判断を仰ぐことになる。買収に使ったお金を損害賠償請求の訴えで取り戻す 未来設計の再生計画案はすでに7月30日、東京地方裁判所に提出されている。10月23日には債権者集会を開き、再生債権者の決議を行うことになっている。 再生計画案では、創生が再生債務者(未来設計)を5000万円で買い取り、それを原資に債権者に弁済することになっている。弁済率はたったの0・6%。つまり、99・4%カットである。 9月18日に開かれた「債権者意見聴取」では、譲渡先の選定で公募・入札の手続きをせず、しかも、5000万円という破格の値段で創生に譲渡されることに、債権者(入居者)から批判が相次いだ。 これに対し、今回の買収の陣頭指揮を執った創生の安武将隆取締役は、こう主張する。「悪意のある粉飾は税理士も見抜けない。いったい誰が粉飾を見抜けたというのか? うちは同業他社とのお付き合いがなかったので、大手銀行から反社扱いされている会社であることも知らなかった」 しかし、宮崎弁護士が所有する交渉の記録を見ると、買収前の18年6月2日に、未来設計は創生に一部の入居一時金を売り上げに一括計上していることを伝え、詳細な償却関連資料を提供している。 6月13日には、「創生の安武取締役が来社して、査定した結果、入居金の償却過剰額が約23億円あるため、その分を買収金額から差し引いてほしいと伝えてきた」とある。 これが事実なら、創生は買収前から、未来設計が入居金を売り上げに過剰計上していたことを知っていたことになる。つまり、売りに出ていた未来設計に、上場会社の子会社の老人ホーム運営会社は手を出せなかった。なおのこと、悪いうわさのある会社の財務状態や資金繰りを正確に把握せずに買収できるわけがない。 伊藤氏の代理人を務める宮崎敦彦弁護士も、「買収後に粉飾が発覚した」とする創生の主張に真っ向から反論する。「当初から、未来設計を倒産させて、負債をカットすることをもくろんでいたに違いない。民事再生手続きを悪用した計画倒産だ」「未来倶楽部」の看板は、本誌の発売日には創生事業団のブランド「グッドタイム」にすげ替わっているはずKazutoshi Sumitomo買収から破綻、再生へのスケジュール2018年7月18日未来設計を創生事業団が買収2019年1月22日民事再生法の適用申請7月30日東京地裁へ再生計画案提出9月3日債権者説明会(東京)9月4日債権者説明会(横浜)10月23日債権者集会で決議33 週刊ダイヤモンド 2019/10/12