ブックタイトルシックス 2017 WINTER
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シックス 2017 WINTER
018問題ですね。頭も疲れているし、心も疲れているというのが大きかったです。とはいえ、勝てるレベル、トップレベルにいたので、そこから上に行くことの大変さも考えました。上を見るとグラフ、怪我を負ってましたがセレシュ6 * 、サバティーニ、サンチェス、マルチネス。その辺りがトップグループにいたのですけど、彼女たちを見てるとテニスがすべてで、ナンバー1になるためだったら何でもやる、みたいな感じでした。それくらいのメンタル力を持っていないと、グランドスラムも優勝できないし、ナンバー1を手にすることも無理なのかな、と。私にはそこまでするモチベーションはないかなと思いましたね。││ 彼女たちは、テニス以外のことは捨ててる感じでしたか。 私にはそう見えましたね。そこまでしてナンバー1になりたいとか、その当時は思えなかったですね。やっぱり私は、人間らしく、それなりに女性らしくいたいという気持ちもあるので、それを全部捨ててでもナンバー1に、とは思えなかったですね。けですよね。 とりあえず、数字だけはクリアしていきましたね。││ それで、95年に世界ランキング4位になりました。トップ4シードになると景色は違うのですか。 トップ8に入るのも大変ですが、8位から4位というのも大きな違いがありますね。グランドスラムの場合2週間の大会になるので、シナリオとしては1週目は体力温存、2週目に入ってからギアを上げて戦うというのが理想なのです。シードが下になればなるほど、ギアを上げるタイミングを早くしないといけないので、そういう意味ではトップ4になると安定した力を出しやすくなります。││ そのセーブっていうのは、どういう感じなのですか。 言葉は悪いですが、手を抜いてました。100%を出さなくても相手がミスってくれるとか。必死になって戦わなくても、余力を残して戦うことはできてましたから。││ 駆け引きみたいなものですか。 メンタルが大きく左右するスポーツでもあるので、駆け引きもあります。自信というものもあると思うのです。その時は、サーブも100%ではなく、駆け引きにおいても、頭がフル回転していなくても勝てるということです。││ ファーストキャリアで、一番印象に残っている試合は。 やっぱりグラフに勝ったフェドカップ5 *とウィンブルドンでの準決勝、これもグラフと日没サスペンデッドになった試合ですね。││95年のウィンブルドンの準決勝はまだできましたよね。欧州の陰謀かと思いました。当時はアジア人が優勝したりすると、ルールを変えたりしてましたよね。 いまはテニスに限らず、サッカーにしても、ベースボールにしても、日本人を含め、アジア人が活躍できる時代に変化してると思うんですけども、90年代、もっと言えば80年代では、テニスは欧米のスポーツだという意識がすごく強かったのです。だから「どうして公子は大会数も出てないのに、いつもそんな上位にいるんだ」というような声は聞こえていました。当時はスキーでもありましたが、テニスでも大会数を重ねると、どんどんポイントが上がっていくようなシステムに変更されていったというのは事実ですね。それが、直接的にアジアバッシングとは言わないですけども。││ ファーストキャリアの引退の時、体力的なことが理由として報道されてましたが、やはりルールの改正が引金になったのですか。 モチベーションを奪われるひとつにはなりましたね。以前は出場した総得点に対して出場大会数で割るという、平均点方式だったんです。それが、いまはとにかく加算式なので、負けても、とにかく大会数をこなして、どこかで勝てばポイントが上がるのです。私みたいに小さい身体ではスタミナがあるわけではないので、それだとちょっとキツいですね。元気があって、スタミナがあって、パワーのある選手の方が、当然有利にはなってくるのです。引退は、そういうこともひとつのきっかけにはなりましたけど、ベースには20代の頃の私は、ツアーが好きではなかったというのもあります。勝つことが当たり前になって、勝たなきゃいけないことが当たり前の中で、精神的に、自分自身でハンドリングできない部分というのが大きくなって、そこに疲れ果ててましたね。メンタル的に。││ どちらかというと、心の方なのですね。 当然、肩の状態がよくなかったり、ランキングシステムの問題とか、いろんな要素がありましたけど、一番大きいのは、やはり心の人間らしく、それなりに女性らしくいたい