ブックタイトルシックス　２０１８　ＳＰＲＩＮＧ

概要

シックス　２０１８　ＳＰＲＩＮＧ

051「カッシーナ・イクスシー」青山本店熟練した職人が家具づくりを手がける小指1本で持ち上げられる超軽量チェアは建築家でもあるポンティの面目躍如たる作品で、カッシーナのためにデザインされた1927年に伊ミラノでスタートしたカッシーナ社。モノづくりの伝統があったこの街で家具づくりが興隆するきっかけを作り、ジオ・ポンティをはじめ、ル・コルビュジエ、ヴィコ・マジストレッティなど錚々たるデザイナーの家具制作で確固たる地位を築いた。最高品質の素材を使い、熟練職人が近代化されたラインで精度の高いモノ作りを行うことで、いまも世界中で愛されている。1977年発表以来、イタリアモダンの代名詞になった作品。フレームと厚革が作り出すテンションで、フィット感と抜群の座り心地を実現している最小の構成で最大の快適性を実現することを目的としてデザインされた名作。張地やパイプの仕様も豊富で、合わせる自由度が高い1929年に「休養のための機械」（ル・コルビュジエ）として発表された不朽の名作。角度が変えられるうえにシートの素材も豊富で、魅力が大きい「スーパーレジェーラ」ジオ・ポンティ「CAB」マリオ・ベリーニ「LC4」シェーズロングル・コルビュジエ、ジャンヌレ、ペリアン「LC2」ソファル・コルビュジエ、ジャンヌレ、ペリアンいまでも色あせないカッシーナの名作PRODUCTS OF CASS INA　美しいインテリアを作りたいときに、まっさきに足を運ぶべきが「カッシーナ・イクスシー」のショップだ。　個人住宅のみならず企業からも引き合いが多いという同社では、イタリアはミラノに本拠を置く「カッシーナ」のほか、独自に企画・開発した製品の「イクスシー・エディション」と、モダンデザインを基軸に世界中から選びだしたすぐれた製品で構成される「イクスシー・セレクション」という豊富なラインナップを誇る。　1920年代に創業した「カッシーナ」。同社がなければ、モダンデザインはなかったといってもいいほど、イタリアを中心に世界中のすぐれたデザイナーの家具を送り出してきた。　ジオ・ポンティ、ル・コルビュジエ、チャールズ・レニー・マッキントッシュら〝巨匠?と呼ばれるひとのデザインがきら星のごとくコレクションを構成し、なかにはニューヨーク近代美術館の所蔵作品に選ばれているものも。　カッシーナの製品はデザイナーと意匠継承者が指定した寸法と素材に忠実に作られ、彼らが認定する正真正銘のホンモノ。持つ歓びもひとしお、といっていい。　日本の4つの都市にあるカッシーナ・イクスシーのショップに足を運び、たとえば、ソファを探している、と相談してみるといい。　デザインの本に出てくる名作もあれば、日本のオフィスや家庭のリビングルームにしっくりくるようなオリジナル製品も、といったぐあいに、じつに幅広い選択肢がある。　たとえばカッシーナの定番中の定番といえる「マラルンガ」ソファなどどうだろうか。　イタリアのヴィコ・マジストレッティがデザインし、70年代にイタリアで最高のデザインとして「金のコンパス」賞を受賞。ニューヨーク近代美術館所蔵作品でもある。　見かけはソフトな雰囲気だが、内部構造が凝りに凝っている。スチールのインサートフレームを内蔵したモールドウレタンを本格的に採用した初の製品といわれており、しかも背もたれの角度が可変。ローバックもハイバックも使い勝手に合わせて自分で変えられる。　この構造も3つの歯車を組み合わせたもので、骨組みをみると複雑なのだが、そのぶん動きはじつにスムーズである。すぐれた家具には美と機能と精度が必要、というテーゼの好個の例だ。　1人がけにはじまり、幅の異なる2人がけ、やはり2種類ある3人がけと形のバリエーションが多い。加えて張地も、肌にしっとりと合うセミアニリン加工のレザーもあれば、日本家屋にすんなりとけこむファブリック張りもというぐあいだ。　読者のかたは先刻ご承知のように、家具選びはむずかしい。住宅やオフィスの雰囲気とのマッチングで悩むことが多いかもしれない。でもその心配も不要だ。たとえばマラルンガを気に入れば、その先のことは「コンシェルジュ」と呼ばれるカッシーナ・イクスシーのスタッフが相談にのってくれる。家具えらびの醍醐味が味わえる場所なのだ。数かずの〝ホンモノ?を扱うカッシーナ・イクスシー