ブックタイトルシックス 2018 SPRING

ページ
85/94

このページは シックス 2018 SPRING の電子ブックに掲載されている85ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

シックス 2018 SPRING

081 自由とワイン。このテーマはすでに偉大な先達が語り尽くしているではあるまいか、と、気後れしながらも、まっさきにおもいうかんだのが、オーストラリアのワインだった。オーストラリアワインはそもそも多様で変幻自在なのがアイデンティティなのではないかとおもうけれど、一部でカリスマ的な人気をほこるナチュラルワインなどとよばれるワインとその造り手には、とりわけ、ああ、こんな造り方、こんなワインもあるのか、と、その自由奔放ぶりには感情をゆさぶられる。 そんなワインを、記憶のなかでいまいちど味わっていたら、一年に3000本程度しか造られていないという、ナパ・ヴァレーのごく小規模なワイナリーのワインのことをおもいだして、いや、オーストラリアのあのワインが自由であるならば、ナパのあのワインだって自由ではないか、と考えた。では、そんなクラフトワイン的なワインが自由なワインなのか、と自問すると、であるならば日本のワインにもおもいあたる節がある。たとえば、このあいだ取材で飲んだ、信州のワイン。生産量はわずかだけれど、地の食に合うし、他のどんなワインとも似ていなかった。いやいや、それを言い出したら、イタリア全土に2000種類以上はあるという土着品種から造られるワインだってそうだ。食との相性、個性、ともに際立っているではないか。  そういった少量生産で個性的なワインが自由なワインであるならば、市場に多く流通するワイン、他の何らかのワインに似たワインは不自由なのか? ある意味ではそうかもしれない。それらは市場のニーズという制約のなかで造られているから。しかし、没個性的ではあっても、そんなワインこそ、万人が気安く付き合えるデモクラティックなワインであり、デモクラシーこそ人間の自由ではあるまいか、などと考えはじめると、そもそもワインの自由といったときに、そこにはワインを造る自由と、ワインを飲む自由の、すくなくともふたつの自由があって、それをどう捉えるのかという、問にぶつかると考えるに至った。 1855年は、そんなふたつの土地で味わう地ワインは格別。 3.サンフランシスコのワイン店。ワインそれぞれに店の評価が記され、勉強会など、地道な活動がカリフォルニアのワイン文化を育てる。 4. ソノマのワイナリー、レイヴェンスウッドの畑。あえて雑草も刈らないことで希少で歴史的なブドウ樹を守っている1.世界のコンクールで数々の金賞を受賞するワインにつかわれるブドウの産地、長野県高山村。作付面積は約50ha。日本では広大。 2. 高山村と村のブドウ生産者の情熱が生み出したワイナリー「信州たかやまワイナリー」の醸造家鷹野永一氏。日本ワインの生産量はまだわずかだが、その1324オーストラリア、ナパ・ヴァレー、日本万国博覧会La l iber te d u vin