『修羅場の王』(第1刷) 誤記についてのお詫びと訂正
2025年10月09日
2025年10月に弊社から刊行いたしました書籍『修羅場の王』(第1刷)の404ページに誤記がありました。正しくは以下の通りです。読者の皆様、ならびに関係者の皆様に謹んでお詫びを申し上げ、訂正いたします。
◆p. 404 3行目〜15行目
(誤)
「これか……」
IVYチームのリーガル担当、河本茂行は投資家から届いた訴状をマジマジと読み返した。
「私的整理は偶発債務が出たら一巻の終わり」
瀬戸はJAL再生に着手する前から、ずっとそう言っていた。だが河本は事前のデューディリジェンスをこれだけやったのだから、「偶発債務など出るはずがない」と思っていた。
「JALの数字は国交省も財務省も政投銀も把握している。それをタスクフォースが第三者の眼で調べ、さらにわれわれが洗い直しました。お化けなんか出ませんよ」
河本らIVYチームの面々は自信満々だった。
しかし「お化け」は出た。
更生計画では支援機構による3500億円の増資でJALはギリギリ債務超過を脱し、54億円の資産超過になる予定だ。450億円も下振れては、二次破綻のきっかけになるかもしれない。そもそもカルテルの損害賠償に公的資金を使うことになったら、国民が黙っていないだろう。
この窮地で会社更生法が再び「金剛の盾」になった。
(正)
「やはりきたか」
IVYチームのリーガル担当、河本茂行は投資家から届いた訴状を見ながら、そう思った。
「私的整理は偶発債務が出たら一巻の終わり」
瀬戸や稲盛はJAL再生に着手する前から、ずっとそう言っていた。
河本とJAL管財人になった弁護士の片山英二は2011年7月に発表された「日本航空の事業再生プロセスについて」という連名の論文でこう書いている。
〈法技術的には(中略)偶発債務をできる限り遮断する必要性(中略)などから、更生手続を併用することが必要であると判断された〉〈たとえば、内外の多数の航空会社が関与した2000年前後の国際的カルテル行為により、数百億円の損害賠償等の請求が行われる可能性があった〉
そしてやはり、「お化け」は出た。
更生計画では支援機構による3500億円の増資でJALはギリギリ債務超過を脱し、54億円の資産超過になる予定だ。450億円も下振れては、二次破綻のきっかけになるかもしれない。そもそもカルテルの損害賠償に公的資金を使うことになったら、国民が黙っていないだろう。論文はさらにこう触れている。〈この点については、民事手続においても、行政手続においても、更生法手続とこれに対応する各国の承認援助手続の開始を踏まえて、いずれも大幅な減額和解により、すでに大部分の処理を終えている〉
この局面で会社更生法が再び「金剛の盾」になった。
以上は、第2刷にて訂正いたします。