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経済は「競争」では繁栄しない

信頼ホルモン「オキシトシン」が解き明かす愛と共感の神経経済学

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経済は「競争」では繁栄しない

信頼ホルモン「オキシトシン」が解き明かす愛と共感の神経経済学

書籍情報

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  • ポール・J・ザック:著/柴田裕之:訳
  • 定価:1980円(本体1800円+税10%)
  • 発行年月:2013年06月
  • 判型/造本:46上製
  • 頁数:312
  • ISBN:978-4-478-02162-0

内容紹介

経済は「信頼」で繁栄する!? 愛情ホルモン「オキシトシン」と信頼の関係を解き明かし、世界で初めて「神経経済学」と提唱した俊英が、信頼と経済の循環メカニズム、そして社会が繁栄する理由を解き明かす!TED再生回数200万回超、論文の被引用回数(2本で)3000回超という全世界注目の神経経済学者、初の著書

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目次

序 章 ヴァンパイア・ウェディング 信頼を司るホルモン「オキシトシン」を求めて

ヴァンパイア経済学者、結婚式に降臨す
道徳心はすべて「オキシトシン」で説明できる
花嫁と花婿の感情のギャップ
セックスと道徳性のあいだで──オキシトシンをフル活用して「善循環」社会へ!

第1章 経済は「信頼」で繁栄するアダム・スミスと「神経経済学」の夜明け

見え透いた作り話に引っかかったのはなぜ?
神経経済学の(文字通り)夜明け
信頼ゲームの基本と疑問── 人はなぜ律儀に返礼するのか?
合理的で利己的な(架空の)人間
狂気の発想か?──  初めての実験での緊張の一瞬
ヴァンパイア経済学の凱旋
忘れられた功績── 「ボトムアップ型の道徳」の父、スミス氏
忘れられゆく絆── 「資本主義の父」でもあったスミス氏
悩める経済学者、オキシトシンと出会って天啓を得る
「信頼分子」の謎を解き明かす旅へ

第2章 「利他的な遺伝子」は存在するのか? 信頼の起源と進化

恋するロブスターに見る信頼の起源
信頼ホルモンはこうして進化した
心の広い男はなぜモテる?──性選択と道徳
ハタネズミをも道徳的に変えるオキシトシン
交尾と絆は気持ちいい
遺伝子レベルで「道徳性」を操作する
FDAとの戦い、そして体を張った実験でのばつの悪い結果
ライバルとの共同研究が巻き起こした一大センセーション
DIY神経科学者、信頼と繁栄の関係を垣間見る
私が「ハグ」するたった1つの理由
マッサージは脳の中まで解きほぐす

第3章 群れと社会と「共感」と「人間関係構築物質」としてのオキシトシン

プールサイドの非常事態── 人助けの衝動はどこから来るのか?
共感とオキシトシンの「Wi−Fi 回路」
なぜ「共感メカニズム」はつかみどころがないのか?
「感情移入」をめぐる議論にケリをつけたf MRI
ミラーニューロンとアダム・スミスの「同胞感情」
共感に必要な4つの要素
「HOME回路」が信頼の好循環を引き起こす
赤ん坊の頭の中──「愛着」でヒトは人になる
社会的ネットワークはゴシップとスポーツで育まれる?──グルーミングとオキシトシン
「善循環」、それは社会を一つにまとめる接着剤

第4章 なぜ競争を司る「テストステロン」は暴走するのか?

「性差」という厄介な問題
2100メートルの自由落下と、男性ホルモン
暴力と競争を司る分子「テストステロン」
思いやりにブレーキをかける「肩にだけ塗る薬」
怠け者や詐欺師を罰するのには、なぜ男性が向いているのか?
「公共財ゲーム」で明らかになった罰則と協力のバランス
なぜ女性のほうがリスク回避傾向が強いのか?
過度の競争が招く「男性中毒」
権力の座が人を「反社会的」にする?
テストステロン・チーム── 内憂を外敵で晴らす悪い癖

第5章 「欠乏」欠陥症と虐待 オキシトシンの作用を妨害するのは誰だ?

反応しない扁桃体──トラウマが信頼メカニズムを破壊する
「お返し」ができない5パーセントの人たちの意外な真相
かすかなストレスも「共感疲労」につながる
「敵意」が無意識に垂れ流される時代で
ハーロウの「代理母」実験──ハグを知らずに育つとどうなるか?
「強欲の女神」が抱える病
自閉症患者に「最後通牒ゲーム」をやってもらうと……
オキシトシンで自閉症は治療できるか?
「信頼しすぎ」も困りもの──ウルバッハ・ビーテ病の場合
ドラッグなのか、薬なのか
囚人は公正で合理的?
「行きすぎた合理性」に流されるな
精神病質者と「オキシトシン過剰」看守の悲しい結末

第6章 信仰と儀式、そして性 社会性促進剤としての「宗教」とダンスに迫る

カーラジオがもたらした個人的な「啓示」
科学と宗教の折りあいはつけられるか?
「エクスタシス」に至る全人類共通の方法
科学者と踊って、採血を
儀式と物語の役割とは?
「神は愛なり」──キリスト教とエクスタシス
神とのつながりは、なぜ「生存」に必要だったのか?
癖になる宗教と「内集団バイアス」
愛と絆の神オキシトシンがもたらした「ボトムアップ型」の社会
地球の裏側で得た、超越的な愛(と泥)

第7章 モラル・マーケットプレイス 「神経経済学」で新しい資本主義を

「リキッドトラスト」騒動に巻き込まれて
「結婚」という名の取引と互恵主義の発展史
それでも取引は気前のよさをもたらす
「強欲は善」という新宗教──道徳と市場は両立できるか?
ペンギンと繁栄、そしてアダム・スミスの本音
信頼と平均収入の関係から繁栄への道は見えるか?
「不公平な繁栄に至る競争」から脱却するための4つの要素
 1 つながり──「つぶやく」だけでもオキシトシンは増える
 2 信頼──匿名性を排除し、競争と協力のバランスをとる
 3 お金ではなく、サービスと品質の重視─長期的な判断軸をビジネスに
 4 万人の利益──勝者総取りのゼロサムゲームから抜け出そう

第8章 長く幸せな人生を社会を繁栄に導く「ボトムアップ型」の民主主義へ

パントマイムで犯罪を激減させた哲人市長
ライバル政党を好きになれるか?──固定観念VSオキシトシン
「ロンドン村」は成功するか?── 内なる「壁」を乗り越えよう
繁栄する社会を築くために必要な4つの要因
 1 コミュニケーションの強化──ソーシャルメディアで善循環を加速させるために
 2 ポジティブなかたちで多様性を直接体験する──移民問題をプラスに転じるために
 3 手続きを公正化する──格差を是正するために
 4 つながりを促す「ソフトウェア」、人文科学を活かす──教育の質を高めるために
教育は戦略的に必要か?──軍人からの意外な報告
地上でもっとも幸せな場所、それは……
末期患者に学んだ、人生で大切なこと
信頼社会は「ハグ」から始まる

謝 辞

訳者あとがき

参考文献

索 引





著者

ポール・J・ザック(Paul J. Zak)
クレアモント大学院大学経済学・心理学・経営学教授。クレアモント神経経済学研究センター所長(2002年に自身が創設)。ロマリンダ(Loma Linda)大学医療センター臨床神経学教授。
2004年、人間が相手を信頼できるか否かを決定する際に脳内化学物質の「オキシトシン」(oxytocin)が関与していることを発見し、以来、オキシトシンが人間のモラルや社会行動に与える影響の研究に邁進。論文も数多く、行政機関、警察、経済、医学、心理学、宗教界等の関心を集めている。その被引用回数は数千回を超える。また、「neuroeconomics」(神経経済学)という用語を出版物で最初に使用したとされる。
編著に Moral Markets がある。

訳者

柴田裕之(しばた・やすし)
1959年生まれ。翻訳者。訳書にアレックス(サンディ)・ペントランド『正直シグナル』(みすず書房)、ジョン・T・カシオポ他著『孤独の科学』(河出書房新社)、マット・リドレー『繁栄』(共訳、早川書房)、マイケル・S・ガザニガ『人間らしさとはなにか?』(インターシフト)、フランス・ドゥ・ヴァール『共感の時代へ』、ブライアン・コックス他『なぜE=mc2なのか?』、ニコラス・ハンフリー『ソウルダスト』、ダニエル・T・マックス『眠れない一族』(以上、紀伊國屋書店)ほか多数。

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