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絶滅できない動物たち

自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

  • 紙版
  • 電子版

絶滅できない動物たち

自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

書籍情報

  • 紙版
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  • M・R・オコナー 著/大下英津子 訳
  • 定価:2420円(本体2200円+税10%)
  • 発行年月:2018年09月
  • 判型/造本:46上製
  • 頁数:408
  • ISBN:978-4-478-06731-4

内容紹介

厳重に「保護」された滅菌室にしか存在しないカエル、軍に囲まれて暮らすキタシロサイ、絶滅させた人間によってDNAから「復元」されつつあるリョコウバト……。人が介入すればするほど、「自然」から遠ざかっていく、自然保護と種の再生テクノロジーの矛盾を、コロンビア大学が生んだ気鋭のジャーナリストが暴く。

目次・著者紹介詳細を見る▼

目次

はじめに ── 「生命維持装置」につながれた黄色いカエル

ニューヨークの「爬虫類の部屋」が突きつけた禁断の疑問
絶滅に瀕した生きものを救うことは「保全」か、それとも「干渉」か?
「復活の科学」に携わる人間たちの物語

第1章 カエルの箱舟の行方 「飼育下繁殖」された生きものは自然に帰れるのか?

新種ハンター、アフリカの「ガラパゴス諸島」へ
生物学的多様性の保護と貧困撲滅の気まずい対立
ついにたどりついた滝裾で ── 小さなカエルとの波乱含みの出会い
絶滅の何が問題なのか?
動物園のトラは、もう「トラ」とは呼べない?
「すべては巨大なひとつの動物園になる」 ── 人新世につきまとうジレンマ
ダムか、カエルか
種の保護は「誰」の利益になるのか?
ぎりぎりの救出劇
飼育下繁殖された生きものは「野生」に戻れるのか?
もはや倫理を議論している暇はない ── カエルツボカビ症の猛威
いざ、キハンシ渓谷へ
再導入への不安 ── 「野生絶滅」した生きものとの「さよなら」はいつ?
「あのヒキガエルを見つけなければ」 ── 種の保全をめぐる永遠の問い

第2章 保護区で「キメラ」を追いかけて 異種交配で遺伝子を「強化」された生きものは元と同じか?

絶滅に追いこんだ名ハンターに舞いこんだ意外な依頼
「フロリダパンサー回復チーム」の結成
フロリダ州にいる30匹を、上空から監視する
もし裏庭にひょっこり現われたら? ── 人との共生にまつわるややこしい問題
パンサーの遺伝子を「強化」せよ
交雑した種は保護の対象として適切ではない?
わたしたちが保護しているのは、遺伝子か、それとも個体か
絶滅と「遺伝的救済」、どちらを選ぶべきか
なぜ人は「自然を保護したい」と考えるのか?
老ハンターは「キメラ」の未来に何を思う?

第3章 たった30年で進化した「砂漠の魚」 「保護」したつもりで絶滅に追いやっているとしたら?

砂漠の中の「塩の川」で、「種」の定義を思う
進化の速度をめぐるダーウィンの甚だしい間違い
アメリカの4か所にだけ生息する魚の謎を追って
たったひとりの気まぐれな放流で開かれてしまった進化の扉
空軍基地の中の「消失した川」へ
たった30年で起きた「進化」
絶滅の原因が「爆発的進化」を促した?
わたしたちは、「進化」をどこまで理解できているのか?
人間が絶滅と進化の両方に「手」を出せる時代の到来

第4章 1334号という名のクジラの謎 「気候変動」はどこまで生きものに影響を与えているのか?

この地球に残された“大きくて複雑なもの”
謎だらけの母クジラ「1334号」を追って
ある未亡人研究者の執念がもたらした「船」と「骨」の発見
捕鯨と絶滅の意外すぎる関係
ないに等しい「遺伝的多様性」で数千年生きのびた?
気候変動はクジラにどんな影響を与えているのか?
気圧、プランクトン、人間 ── 巨大なクジラをめぐる膨大な変数
もはや地球の一部 ── 人はクジラの保全に介入できるのか?
ついに分析された1334号のサンプル
この広い大海原のどこかで

第5章 聖なるカラスを凍らせて 「冷凍標本」で遺伝子を保護することに意味はあるか?

現代版「ノアの箱舟」はニューヨークの地下に
「冷凍標本」が地球を救う?
「遺伝子保護」の最前線へ
生物多様性の凍結コレクションがあれば、保全活動は不要になる?
環境から切り離された遺伝子に意味はあるか
人のもとでしか生きられない「聖なるカラス」
失われたアララの「文化」は再生できるのか?
「遺伝子バンク」は種の保全にちゃんとつながっているのか?
「科学ではない。価値観の問題だ」
聖なるカラスの亡骸を抱きしめて

第6章 そのサイ、絶滅が先か、復活が先か 「iPS細胞」でクローンをつくれば絶滅は止められるのか?

iPS細胞で絶滅した動物を蘇らせる
地球上で最も希少で、2番目に大きい陸生哺乳動物
絶滅が先か、復活が先か ── キタシロサイの遺伝子研究最前線
「復活のパラドックス」 ── 再生されたクローンは元の種と同じか?
「最後の生き残り」に会いに、ケニアへ
名ばかりの国立公園のために立ち上がった夫妻の物語
内戦、密猟、武装勢力 ── 煽りを食うのは、いつも……
コンゴ政府の権力闘争が生んだ悲劇
キタシロサイの最後の“楽園”で
着々と進む絶滅へのカウントダウン

第7章 リョコウバトの復活は近い? 「ゲノム編集」で絶滅した生きものを蘇らせることは可能か?

50億羽いたハトがたった100年で滅ぶまで
DNAからリョコウバトを復活させる ── 若き研究者の野心
リョコウバト愛好家たちの言い分
わたしたちには、自然を修復する能力も責任もある ── 「脱絶滅」推進派の主張
死を解決する ── シリコンバレーとの交差点
ゲノム工学で自然をコントロールすれば絶滅は解決するのか?
リョコウバトに関するバイブルを探して
大群でないと生き残れないとしたら?
かつての「害鳥」の復活は本当に歓迎されるのか?
復活させられるなら、絶滅させても構わない?
さらなる野望 ── 近縁種をゲノム編集でリョコウバトに
2200万年の進化をDNAから読み取れるか?

第8章 もう一度“人類の親戚”に会いたくて 「バイオテクノロジーの発展」がわたしたちに突きつける大きな問い

ネアンデルタール人復活計画は、もはやSFではない?
相次ぐ新発見 ── 言語の使用からホモ・サピエンスとの交配まで
なぜ、ネアンデルタール人は絶滅したのか? そして復活させるべきか?
700年前に消滅した民族が教えてくれること
「野生の思考」から見える問題の本質
わたしたちは「種」をどう扱えばいいのか?
自然なき生態系へ

おわりに ── 「復活の科学」は人類に何をもたらすのか?

地球の果ての世界種子貯蔵庫
“自然”の消滅でわたしたちが実際に失うものとは?

謝辞

参考文献

注記





著者

M・R・オコナー(M. R. O'Connor)
ジャーナリスト。2008年、コロンビア大学ジャーナリズムスクール修了。現地取材でアフガニスタン、ハイチ、スリランカにも赴いた。
『ニューヨーカー』、『アトランティック』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『フォーリン・ポリシー』、『スレート』、『ノーチラス』等に寄稿。初の著書となる本書は、アルフレッド・P・スローン財団の支援を得て執筆。
2016年にマサチューセッツ工科大学のナイト・サイエンス・ジャーナリズム・フェロー。ニューヨーク・ブルックリン在住。


訳者

大下英津子(おおした・えつこ)
翻訳者。上智大学外国語学部英語学科卒業、ニューヨーク大学ギャラティンスクール修士課程修了(アジア系アメリカ女性作家文学専攻)。『火成岩』(文溪堂)、「シーラ」「ポンペイ再び」(『アメリカ新進作家傑作選2007』所収、DHC)を翻訳。翻訳協力多数。

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