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僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない

デフレしか経験していない人のための物価上昇2000年史

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僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない

デフレしか経験していない人のための物価上昇2000年史

書籍情報

  • 紙版
  • 電子版
  • スティーヴン・D・キング 著/千葉敏生 訳
  • 定価:1980円(本体1800円+税10%)
  • 発行年月:2024年03月
  • 判型/造本:46並
  • 頁数:320
  • ISBN:9784478118634

内容紹介

世界は、インフレの恐怖を忘れてしまった——。欧州最大の銀行HSBCの上級経済顧問による、おカネの価値が減り続ける時代の経済サバイバルガイド。政府のインフレ容認は「絶望」の始まり? インフレが生み出す「勝ち組」「負け組」の特徴とは? インフレの謎がすべて解ける!

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目次

はじめに 50年ぶりにインフレがやってくる

── デフレしか念頭のない世界に、インフレが帰ってきた
── インフレの深刻化を否定できない4つの懸念点
   │懸念点1│「よいデフレ」による利得が一転する
   │懸念点2│ロックダウンの揺り戻しで需要が爆発的に伸びる
   │懸念点3│金融政策が過剰に緩和されている
   │懸念点4│中央銀行による楽観的な思い込み
── インフレリスクをうまく管理する方法はある

第1章 インフレが冬眠から目覚める

── 私たちは「物価安定」の世界に慣れすぎた
──「インフレ」とは、お金の価値が失われていくこと
── 90年代のトルコで高級輸入車が爆買いされていた理由
── 価格があるから、経済は効率的になる
── ロックダウンで価格情報が消えた
── インフレは、勝ち組と負け組を「気まぐれ」に生む
── 国民の富を「密かに」没収する凶悪な手法とは
── 政府によるインフレの容認は、絶望の始まり
── インフレの治療なくして、失業率は下がらない
── 楽観的なバーナンキが陥った2つの間違い
── インフレ率がここ40〜50年で最高になっている
── お金への信頼は一瞬で反転する
── 経済は、私たちの「経験則」に左右される
── 不確実性が高い現代で、どのように政策を転換すべきか
── 私たちは、当局を信じすぎたのかもしれない
── 不確実性を甘く見た中央銀行家の3つの行動

第2章 インフレは、「予期せぬとき」にやってくる

── インフレの原因は2つに要約できる
── 古代ローマの頃から、お金の価値は測られていた
── 16世紀の持続的なインフレに対する3つの仮説
──「貨幣量」と「物価」を紐付ける考え方は16世紀から始まった
── ロックとニュートンによる貨幣論争
──「貨幣数量説」の集大成となる1つの方程式
── ケインズの反論
──「マネタリスト」と呼ばれる者たちの4つの再反論
──「貨幣量」と「物価」の関係は、マネタリストが思うより複雑である
── お金への信用が失われると、何が起こるのか
── 3分割された中国で起きたハイパーインフレ
── インフレの原因は、お金の量だけで説明できない
── 金本位制の終わりはほぼ必然だった
── 20世紀には、あらゆるデフレが嫌われた
──「よいデフレ」さえも潰してきた中央銀行家たち
── 中央銀行家はなぜかコロナ後にすぐ動かなかった
── 私たちの「行動」によっても、「お金」と「物価」の関係が変わる

第3章 政府は常にインフレの誘惑に負ける

── この1世紀で最も成功した通貨
── 南北戦争時、なぜ南部だけが強烈なインフレを経験したのか
── 政府の派手なインフレ政策は、金利上昇と為替レート悪化を招く
── 高インフレと共存しようとしたブラジルの末路
── ブラジルのハイパーインフレが残した3つの教訓
── 中央銀行の独立性は、1国を除いて「絵空事」である
──「金融政策」と「財政政策」が結び付いた3つの政策
── 政策1 量的緩和 ── 中央銀行が国債を買い入れ、市場に資金を供給する
── 量的緩和の結果、インフレの「早期警報システム」が失われた
── 量的緩和下で短期金利が高いと財政が苦しくなる
── 政策2 ECBのソブリン債プログラム ── ユーロ南部の救済措置
── ECBが「ユーロ存続の保証人」まで請け負うようになった
── ユーロ北部が損をしようがインフレは放置される
── 政策3 MMT ── 歴史を無視している概念
── 政府借り入れの急増で、誰かの資産が奪われる
── インフレ期にMMT信者が決まって主張すること
── 歴史的に見て、政府はインフレの誘惑に負ける

第4章 インフレは「勝ち組」と「負け組」を生む

── ドイツのハイパーインフレで富んだ人・損した人
──『タイム』の表紙をかざったドイツのインフレ王
── 1970年代のイギリスのインフレを追体験してみよう
── インフレを「公平」に解決するのは不可能である
──「公平」にインフレに対処したイギリスで起きた4つの問題
── 高インフレ下では、賃上げ交渉は「無法地帯」になる
── デフレ期とインフレ期で値上がりする資産・値下がりする資産
──「98%」の税率を課されたイギリスの富裕層
── 誰だってフォード・カプリに乗りたかった
── 行動することは、行動しないことより恐ろしい
──「賃上げ」を止めたところで、インフレは止まらない
── インフレは弱者を虐げ、格差を拡大させる

第5章 何がインフレ対策の成功と失敗を分けるのか

── 政府がインフレ対策を「先延ばし」したがる訳
──「合理的期待」革命
──「比較的無傷でインフレを退治できる」サージェントの方法
── インフレ解消の「ツケ」は誰も払いたくない
──「賃金物価統制」は昔から効果薄だった
── ニクソンの大胆な物価統制の末路
──「物価統制」が各地で支持されたが……
── ロックダウン後の物価統制が誤りである3つの理由
── エネルギー価格統制の効果は「あやふや」
── サージェントの見解は的外れだったのか?
──「予想」の果たす(建前上の)役割とは
── 私たちの予想は「経験則」に左右される
── 経験則は「変化」する
── 結論 インフレインフレへの処方箋

第6章 結局、今はインフレなのか

── インフレの「通り雨」には前例がある
──「通り雨」はときに「嵐」に変わる
──「インフレ目標」には根本的な問題がある
──「インフレ目標」の問題を解決する2つの方法
── 方法1 テイラールール ── バックミラーを見ながら政策を決める
── 方法2 「前向きのルール」── タイムマシンがあるなら有効
── 2つの方法の溝は、峡谷よりも深い
── インフレが深刻かどうかを判別する4つの検証基準
── 検証基準1 インフレを呼び寄せる制度変更はあったか?
── インフレと制度変更に関する4つの議論
── 検証基準2 過剰な通過拡大の兆候はあったか?
── 検証基準3 インフレリスクの高まりが矮小化されている証拠はないか?
── 検証基準4 供給サイドの状況が悪化してないか?
── アメリカの経済成長がはるかに弱まっている
── グローバル化経済の終わりの始まり
── 世界は50年ぶりに厳しいインフレを迎える

第7章 インフレ14カ条と次のステップ

── 歴史に基づくインフレ14カ条
── 教訓1 貨幣は重要である
── 教訓2 人々の態度は中央銀行の政策と同じくらい重要である
── 教訓3 インフレが永久に抑制されたと信じる人は、歴史を無視している
── 教訓4 政府があえてインフレという手段に訴えることもある
── 教訓5 デフレリスクに対処するための制度改革は、意図せずインフレ圧力を高めてしてしまう恐れがある
── 教訓6 民主的に選出された政府は、インフレの誘惑に逆らえない
── 教訓7 ひとたび根を下ろすと、インフレはこのうえなく不公平で非民主的なプロセスになる
── 教訓8 価格ショックから人々の所得や富を守ることは政治的に必要かもしれないが、それでインフレの問題が解決することはまずない
── 教訓9 ハイパーインフレのほうが、皮肉にも、「緩やかな」インフレより抑制しやすい場合もある
── 教訓10 「ルールに基づく」政策的枠組みは重要であり、人々は政策立案者たちが取りそうな対応を把握しておく必要がある
── 教訓11 金融政策が財政政策を支配するべきであり(その逆ではなく)、政府は借り入れをまかなうために「貨幣の印刷」に頼るべきではない
── 教訓12 「経験則」は予想よりも重要である
── 教訓13 政策立案者にとって、インフレの通り雨と長雨を区別するのはやさしくない
── 教訓14 中央銀行は「4つの検証基準」を用いて、インフレが持続的な問題になる危険性が全体的に高いのかどうかを判断すべきである
── 利上げと利下げを同時に要求されたイングランド中央銀行
── 金融政策は財政政策よりも優先されなければならない
── ほとんどの中央銀行家たちは真価を問われたことがない
── 1980年代のインフレを退治した4つの状況
──「意見の相違」がない委員会はまともに仕事をしていない
──「一点張りの金融政策」が極端な結果に終わった3つの事例
── インフレへの不信が芽生えると、貴金属の需要が上がる
── インフレ下で資産を守るための6つの格言
──「インフレの英雄」による教訓が忘れられている

謝辞



参考文献





著者

スティーヴン・D・キング(Stephen D. King)
イギリスの経済学者、作家、HSBC上級経済顧問。『ロンドン・イブニング・スタンダード』紙で定期的にコラムを執筆しているほか、世界中の新聞や雑誌に寄稿し、テレビやラジオの出演歴多数。イギリス下院財務委員会の特別顧問を務める。国立経済社会研究所の経営評議会のメンバーであり、ヘンダーソン・ユーロトラストの取締役を務めている。著書にGrave New World(未邦訳、フィナンシャル・タイムズ&マッキンゼー「ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2017」ノミネート)など。

訳者

千葉敏生(ちば・としお)
翻訳家。訳書にタレブ『反脆弱性』(ダイヤモンド社、2017)、ホワイト『キッチンの悪魔』(みすず書房、2019)、バーネット&エヴァンス『スタンフォード式人生デザイン講座 仕事篇』(早川書房、2022)、ミラー『半導体戦争』(ダイヤモンド社、2023)ほか。

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