僕らはそれに抵抗できない
「依存症ビジネス」のつくられかた

僕らはそれに抵抗できない
「依存症ビジネス」のつくられかた
書籍情報
- アダム・オルター 著/上原裕美子 訳
- 定価:1980円(本体1800円+税10%)
- 発行年月:2019年07月
- 判型/造本:46並
- 頁数:432
- ISBN:9784478067307
内容紹介
スマホ、インスタ、ゲームから、ネットドラマやメールチェックまで——。薬物などの物質以外にまで広がった「新時代の依存症」を、心の仕組みと、私たちをのめり込ませる「依存症ビジネス」の仕掛けの両面から読み解き、その対処法を指南する。ダニエル・ピンクをはじめ、世界中が絶賛(+警告)した話題の書、ついに上陸。
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目次
プロローグ 自分の商品でハイになるな ── ジョブズと“売人”に共通する教え
 「いいね!」はユーザーを抵抗不能な「依存症患者」にする
 筋トレオタクからドラマの一気見まで ── 新時代の依存症「行動嗜癖」
 すべては依存症になるようデザインされている?
 「依存症ビジネス」が人を操る6つのテクニック
 果たしてこの新しい依存症から逃れる術はあるのか
 
 
第1部 新しい依存症「行動嗜癖」とは何か
第1章 物質依存から行動依存へ ── 新しい依存症の誕生
 「スクリーン漬け」の現代人
 スマートフォンは私たちから何を奪っているのか?
 1億人がのめりこんでいる、世界一依存性の高いゲーム
 ウェアラブル端末の進化が、運動依存を加速させた
 行動への依存「行動嗜癖」とは何か
 なぜ今「物質」以外の依存症を問題とすべきなのか?
 40%の人が「依存症」!? ── あなたも無縁でいられない
 「ネット依存症」かどうかをチェックするテスト
 「依存症」の語源とその歴史
 フロイト、コカインを推奨す ── ドラッグ中毒の歴史
 南北戦争がコカ・コーラを生んだ? ── 世界でもっとも依存症を生んだ「物質」
 一緒にいるのにひとり ── 「スマホ依存」が子どもに与える影響
 ある大ヒットスマホアプリと“売人”扱いされたプログラマー
 ついに出た「グーグルグラス依存症」 ── 次々と新たな依存症が生まれる時代で
 
 
第2章 僕らはみんな依存症 ── 何が人を依存させるのか
 ヘロイン「ナンバー4」の物語 ── ベトナム戦争で兵士の85%が手を出した
 10万人の帰還兵からクスリを抜けるか
 たった5%!? 予想を裏切る謎の低再発率
 まるでコインの裏表 ── 対照的な2人の科学者が成し遂げたとんでもない発見
 偶然の失敗がもたらした「快楽中枢」の発見
 ラット34番の謎 ── 普通の人でも依存症に陥る「不幸な条件」
 “クレオパトラ”を虜にするための無慈悲な実験
 ベトナム帰還兵の奇跡の回復の真相 ── 依存症は記憶に埋め込まれる
 あるゲーム依存症患者が“深み”にハマるまでの物語
 依存症患者にとって、もっとも危険な瞬間とは
 「人間は、物質に対してだけではなく、行動に対しても依存症になる」
 
 
第3章 愛と依存症の共通点 ── 「やめたいのにやめられない」の生理学
 糖尿病でも肥満でもない、世界でもっとも猛威を振るう現代病とは
 脳の中で起こる「負の無限連鎖」
 依存症になるかならないかを左右する「ミッシングリンク」
 愛はコカインに似ている?
 「心理的な苦痛をなだめると思わせるものならどんな体験でも……」
 スウェーデン人研究者が注目した、奇妙な反復行動
 パーキンソン病患者がギャンブルをやめられなくなった意外な理由
 行動のループと薬への耽溺の共通点
 常識を覆した衝撃の実験 ── 「好き」と「欲しい」は違う
 依存症の真実 ── 愛してはいけない相手に恋をする、好きじゃないのに欲しがる
 
 
第2部 新しい依存症が人を操る6つのテクニック
第4章 (1)目標 ── ウェアラブル端末が新しいコカインに
 パーキンソン病患者の仰天のライフハック
 マラソンタイムの奇妙な偏り
 オリンピック金メダル×世界記録を達成してもなお……
 クイズ番組をハックせよ ── ある奇人の執念の勝利
 「目標依存症」者が迎えた悲しき結末
 現代の生活を支配する「目標」という呪い
 メールチェックせずにいられない ── テクノロジーが生んだ強迫観念
 「ウェアラブル端末」に追いたてられる人々 ── 数値が僕らを虜にする
 足が痛くても、出産直前でも、走るのをやめられない
 目標追求があなたを「慢性的な敗北状態」にする
 なぜトレーダーはいくら稼いでも幸せを感じられないのか ── 社会的比較の罠
 成功しても失敗しても、出口がない ── 目標信仰の恐るべき“末路”
 
 
第5章 (2)フィードバック ── 「いいね!」というスロットマシンを回しつづけてしまう理由
 ボタンがあれば、押さずにはいられないのはなぜ?
 ウェブコミュニティ「レディット」が仕掛けた「ボタン」大騒動
 人も動物も、確実な報酬よりも「予測不能なフィードバック」を好む?
 「いいね!」ボタンにかけられた魔法の秘密
 「スロットマシンは電子コカインだ」
 「当たりに偽装したハズレ」に「幸運大使」 ── カジノが繰り出すあの手この手
 「キャンディークラッシュ」をやみつきにする「ジュース」とは?
 ゲーム漬けのラットが教えてくれたフィードバックの恐ろしすぎる効果
 現実世界とゲームの世界を一体化する手法「マッピング」
 VRは新たな「ドラッグ」となるのか?
 見たいものしか見られない人間、そこにつけ込む“胴元”
 
 
第6章 (3)進歩の実感 ── スマホゲームが心をわしづかみにするのは“デザイン”のせい
 任天堂のレジェンド宮本茂が「マリオ」を生み出すまで
 20ドル紙幣をそれ以上で落札するなんて ── 「フック」で釣り上げられる
 おとり商法、ペニーオークション……ネットでの買い物にご用心
 「あと1回、あと1回……」 ── 課金を迫るソーシャルゲームは詐欺とどう違うのか?
 のめりこませる“デザイン”だって、データ分析があればお手のもの
 ゲームに無関心だった女性ユーザーにつけこんだハリウッドセレブアプリ
 仕組まれた「ビギナーズラック」に気をつけろ
 「単純でばかばかしい」ゲームほど心をわしづかみにする
 スマホが、老若男女を問わずゲーム依存症にする
 
 
第7章 (4)難易度のエスカレート ── テトリスが病的なまでに魅力的なのはなぜか
 退屈するくらいなら電気ショックを選ぶ?
 世界中を興奮の坩堝にたたきこんだ伝説のゲーム
 上達すると、心地いい ── テトリスが脳に効く理由
 行動嗜癖がまとう創造や進歩という名の「マント」
 テトリスに人がハマる学問的説明 ── 「最近接発達領域」
 フローに入るために必要な2つの要素とは
 ゲーム依存症を生み出す「ルディック・ループ」は断ち切れるか?
 難しすぎるゲーム「スーパーヘキサゴン」がもつ病的な魅力
 「あとちょっと」は成功への道しるべなのか、依存への最短ルートなのか
 「尻ぶつかり効果」VS最新テクノロジー ── 「停止規則」をめぐる争い
 オフィスレスが長時間労働と過労死を招く ── 仕事をやめられないメカニズム
 財布に備わる「停止規則」をクレジットカードが反故にする
 やめられない止まらない ── エスカレートする難易度が、ユーザーをがんじがらめにする
 
 
第8章 (5)クリフハンガー ── ネットフリックスが僕たちに植えつけた恐るべき悪癖
 ある映画の“崖っぷち”の結末
 心理学者がウィーンのカフェで発見した「クリフハンガー」の力
 なぜあるメロディが頭から離れなくなるのか ── 不朽の名曲に共通する仕掛け
 「真犯人は誰?」 ── 開いたままのループが生み出した信じられないほどの熱狂
 「未解決番組」中毒 ── 先の展開が読めないことが人を虜にする
 「史上最悪のラストシーン」が10年以上視聴者の心を奪う理由
 欲求が満たされたときにはすでに……
 平凡な日常にささやかなスリルを ── 設計された「衝動買い」
 ネット動画「自動再生」の功罪 ── 人の行動を自由に操るナッジの力
 ネットフリックスが生んだ「ビンジ・ウォッチング」という新しい依存症
 クリフハンガー発見者の崖っぷちの人生、その幕切れは?
 
 
第9章 (6)社会的相互作用 ── インスタグラムが使う「比較」という魔法
 インスタグラムに「消された」ヒップなカメラアプリ
 インスタが刺激する「他人と比較したい欲求」
 他人からどう見られているのか気になって仕方ない ── SNSのめりこむ心の仕組み
 インスタで「いいね!」中毒に陥った10代モデルの告白
 異性の格付けサイトがかくも依存性の高い理由
 社会的承認の驚くべき力 ── 「同じ」と「違う」の両方でフィードバックが
 ゲームに「友情」が持ち込まれるとき
 「ピクルスになった脳は、二度とキュウリに戻りません」
 人を依存症にするゲームがもつ3つの特徴
 リアルで人間関係を築けない ── ネット依存症者が陥る感情的な弱視
 
 
第3部 新しい依存症に立ち向かうための3つの解決策
第10章 (1)予防はできるだけ早期に ── 1歳から操作できるデバイスから子どもを守る
 「デジタル断食」サマーキャンプで起こった驚くべき改善
 あらゆることを簡単にするデバイスが子どもから奪うもの
 1歳から操作できるiPad、そして「スワイプ」という魔法
 健全なスクリーン使用の3条件
 解毒のための3フェーズ ── テクノロジーの持続可能な利用方法へ
 子どものために親がとるべきではない3つの態度、とるべき4つの態度
 ネット依存は病気なのか? それとも社会の問題なのか?
 クスリで治療すべきなのか ── 20年以上診てきたネット依存症専門家の見解
 軽めの依存症への有効打はあるか ── 「動機付け面接」というアプローチ
 よい習慣と健全な行動を促す環境のデザインこそ最良の予防策
 
 
第11章 (2)行動アーキテクチャで立ち直る ── 「依存症を克服できないのは意志が弱いから」は間違い
 保守的な地域のほうがネットポルノにご執心?
 「依存症を克服できないのは意志が弱いから」は本当か
 めちゃくちゃ有効な「まぎらわせる」という手法
 スマートフォン依存症を癒やす、皮肉たっぷりのスマートデバイス
 よい習慣をどれだけ続けたら依存症は断ち切れるのか
 「できない」と「しない」 ── 宣言の仕方でここまで変わる
 環境をデザインする「行動アーキテクチャ」というテクニック
 親友を決めるのは、価値観でも信念でもなく「近さ」だけ?
 メールもパソコンも、手の届かないところへ
 自分に「罰」を与えるデバイスを使って依存を断ち切る
 注意の“ネオンサイン”を放つかわいらしいデバイスでよい習慣を
 「いいね!」を隠すツールでフィードバックを無効化する
 行動アーキテクチャを活用した“正しい”ドラマの視聴法
 「計画錯誤」から逃れて、自分の環境を賢くデザインしよう
 
 
第12章 (3)ゲーミフィケーション ── 依存症ビジネスの仕掛けを逆手にとって悪い習慣を捨てる
 街をきれいにし、人々を健康にした「楽しいキャンペーン」
 依存症に陥れる行動嗜癖の力の逆手にとる
 単語の暗記という苦痛を進んでさせた伝説のサイト
 「ゲーミフィケーション」成功の3つのポイント
 運動を続けるのに、ゲーミフィケーションをこう使う
 健康促進のために、わざとゲーム性を落としたアプリ
 勉強をミッションに変える ── 学校こそ、ゲーミフィケーションを取り入れよう
 コールセンターのモチベーションを高めるには? ── カギは内発的動機
 研修をゲーム化すると、仕事のパフォーマンスも定着率も向上する
 VRで「痛み」を軽減する ── 医療への応用
 トラウマの消し方 ── 認知のバキューム効果
 ゲームは本当に脳を活性化するのか? ── ゲーム化への批判①
 何でもゲームにすればいいのか? ── ゲーム化への批判②
 楽しいからよいのだというお墨付きが、動機をゆがめる ── ゲーム化への批判③
 諸刃の剣だからこそ、ゲーミフィケーションの力を正しく使おう
 
 
エピローグ まだ見ぬ「未来の依存症」から身を守るために
謝辞
著者
 アダム・オルター(Adam Alter)
 ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのマーケティング学科准教授。専門は行動経済学、マーケティング、判断と意思決定の心理学。『ニューヨークタイムズ』『ニューヨーカー』『WIRED』『ハフポスト』など、多数の出版物やウェブサイトで精力的に寄稿するほか、カンヌ国際広告祭やTEDにも登壇。2013年の著書『Drunk Tank Pink: And Other Unexpected Forces That Shape How We Think, Feel, and Behave』(邦訳『心理学が教える人生のヒント』林田陽子訳、日経BP社、2013年)は、ニューヨークタイムズのベストセラーとなり、マルコム・グラッドウェルやダン・アリエリーから絶賛されている。
 
 
 
訳者
 上原裕美子(うえはら・ゆみこ)
 翻訳者。訳書は『世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている』『すべては「先送り」でうまくいく』(ともにダイヤモンド社)、『♯HOOKED』(TAC出版)、『壊れた世界で“グッドライフ”を探して』(NHK出版)、『日本経済のマーケットデザイン』(日本経済新聞出版社)など。
 
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