ホモ・サピエンス30万年、栄光と破滅の物語 人類帝国衰亡史

ホモ・サピエンス30万年、栄光と破滅の物語 人類帝国衰亡史
書籍情報
- ヘンリー・ジー 著/竹内 薫 訳
- 定価:2420円(本体2200円+税10%)
- 発行年月:2025年09月 [予約受付中]
- 判型/造本:46並
- 頁数:440
- ISBN:9784478119419
内容紹介
人類の歴史は、地球規模の支配を築いた壮大な成功の物語のようにも見える。しかし、その成功の裏で、ホモ・サピエンスはずっと「借りものの時間」を生きてきた。何千年も続いた栄光は、今や終わりが近づいている。なぜそうなったのか?その理由と運命を避けるための希望についても語る、全人類の必読のサイエンス読み物!
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目次
プロローグ
恐竜が人々を魅了し続ける理由
絶滅の仮説は数知れず
まるで王朝の交代のように
進化の原動力
新たな仮説
人類もいずれ滅び去るのか?
アンナ・カレーニナの原理
逃れようのない運命との戦い
ホモ・サピエンスの運命を決めるとき
話を始めよう
ホモ・エレクトスの成功
人類は絶滅寸前だった
多様性にとぼしい私たち
ローマ帝国の衰退と人類の衰退
「家畜化」と「農業の誕生」
二〇二二年の衝撃
不妊のリスクと精子数の減少
ふたつの大きな移動
衝突は続く
ネアンデルタール人の物語
歴史が教えてくれること
生きるために欠かせない資源
思いきった解決策
熱帯を越える冒険
決断の時
切実な響き
第1部 台頭
第1章 人類という家族
どこか奇妙な足跡
習慣としての直立歩行
一千万年前には、多くの類人猿がいた
とびきりの化石
大きな穴
ルーシーを法医学的に分析する
なぜ二足歩行が始まったのか
背骨の進化が人類を変えた
後ろ足で立つしかない
二足歩行のリスク
私たちが仕事を休む理由
第2章 ヒト属
はずれの札
「走る」という発見
ホモ・エレクトスのキャンプ地
ネアンデルタール人の洞窟
まるでトールキンの小説のように
秘密めいた小人の伝説
DNAに刻まれた痕跡
ハプスブルク家と近親婚
スぺイン継承戦争という悲劇
ダーウィンの結婚
ホモ・サピエンスの登場
第3章 横並び、生き延びた者たち
遺伝コード
「イヴ」の正体
アダムのゆくえ
現代人の頭蓋骨の特徴
人類は「まれな存在」
絶滅したホモ・サピエンス
化石からDNAを抽出する
ネアンデルタール人との交雑
現代よりもはるかに多様な人類の姿
現代アフリカ人のDNAの特徴
最後の人類
第4章 最後に生き残った人類
人類史上最も古い絵
進歩を妨げるもの
アフリカを抜け出す力
気候のスイートスポット
ネアンデルタール人という障壁
熱帯雨林という困難な環境
かつてないほど広い世界へ
衣服とマンモス
なぜホモ・サピエンスが成功したのか?
小さいけれど決定的な違い
ローマ帝国が落日したように……
第2部 凋落
第5章 農業 ── 最初の犠牲
イヌの始まり
狩猟採集民は効率的に動く
農耕の発明
三つの要因
絶滅、絶滅、絶滅
家畜化される動物・されない動物
初期農耕社会のリスク
急増した感染症
農耕と糖尿病の深い関係
大量の死者を出したジャガイモ飢饉
多様性が失われたバナナ
迫りつつある飢饉のリスク
第6章 病弱で、寄生虫まみれ、感染症にも悩まされる
吸血鬼の起源か?
赤いボール
ユダヤ人と結核への耐性
生き延びた少数の集団
エデンの園
感染症の六つの型
感染症に弱い人類
均質すぎる私たち
「イングランド発汗熱」とバラ戦争
戦いは終わらない
第7章 崖っぷち
デリーの夜と生物学者
エーリックの提案
押し付けられた価値観
人口増加率がゼロになる日
これまでにない時代の到来
「半減クラブ」入りした日本
中国の人口減少
イスラエルと人口増加
平均寿命の地域格差
移民政策とGDP
逆行する日本
なぜ、今なのか?
変化を後押しするもの
人類は資源を取り尽くしたのか
精子数の減少
さまざまな要因
「密集」というストレス
部屋の中の象
第8章 崖っぷちを越えて
初期の観光客たち
傾きつつある大地
気候変動と洪水リスク
海面下のニューヨーク
高リスクなアジアの都市たち
襲いかかる熱波
かつてない酷暑
湿球温度にも注意せよ
深刻な懸念材料
人類史における第三の大移動
人口減少か、人口増加か
地球が支えられる人口
深刻な未来像
第9章 崩壊の先にあるもの
人類がいつ絶滅するかを予測する
続くのか、終わるのか
ネアンデルタール人の痕跡
終わりにずっと近い場所
小さな林に取り残された生き物
絶滅債務
人類の運命を決定づける木?
資源を使い尽くした島民たち
「数の力」という安全性
どこか物悲しい話
ホモ・サピエンスの出現
奇妙なタイプの骨
遺伝的ボトルネック
なぜ女性が集団を移動したのか?
長く哀しい歴史
第3部 脱出
第10章 未来への鍵を握るのは……
絶望から抜け出す力
宇宙で生き延びるための鍵
すべての種は必ず滅びる
五回の大量絶滅とは?
未来を見せる幽霊
地球の人口の収容力
緑の革命
急増した生産量
恩恵の格差
進歩か、限界か
プラネタリー・バウンダリー
ホモ・サピエンスと自然資本
三三兆ドルの衝撃
教育を受ける機会の増加
格差の残るアフリカや中東
より人間らしく
第11章 新たな一歩を踏み出す
限界に達した品種改良
光合成の驚異
太陽光は膨大なエネルギー
その場しのぎ
かつて地球を支配した生物
驚くほど難易度の高い作業
最も豊富なタンパク質
さらに厄介なこと
三つの問題点
排ガスの中で植物を育てる
太陽光を食料に変える
人工光合成の可能性
いくつかのアイデア
牛肉はコストが高い
第12章 人類の生存領域を広げる
コンキスタドールが到来したとき
手つかずの自然という幻想
マンモス・ステップの衰退
すべてが外来種
生物多様性についての意外な視点
きわめて例外的な時期
「火の発見」というゲームチェンジャー
衣服の発明
「窓」は閉じつつある
『2001年宇宙の旅』に登場する類人猿のように
あまりにも身近な出発点
人類は外界から守られている
アクエリアス
「無期限の自給自足」という夢
都市をまるごと宇宙空間に移す
宇宙ステーションの利点と課題
ルナー・ゲートウェイ
ある疑問
地球近傍小惑星の脅威
小惑星内部の天然シェルター
いくつかの問題点
生殖の問題と政治的課題
宇宙における地政学的対立
ひとつの大きな疑問
それでも、人は……
開拓者たちの警鐘
人類の厄介な性質
選択の猶予は長くない
あとがき
注釈
訳者あとがき
索引
著者
ヘンリー・ジー
1962年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学にて博士号取得。専門は古生物学および進化生物学。1987年より科学雑誌『ネイチャー』の編集に参加し、現在は生物学シニアエディター、元カリフォルニア大学指導教授。テレビやラジオなどに専門家として登場、BBC World Science Serviceという番組も製作。前作『超圧縮 地球生物全史』(ダイヤモンド社)は王立協会科学図書賞を受賞。イギリスのノーフォーク州クローマーに家族とたくさんのペットとともに暮らしている。
訳者
竹内薫(たけうち・かおる)
1960年東京生まれ。理学博士、サイエンス作家。東京大学教養学部、理学部卒業、カナダ・マギル大学大学院博士課程修了。小説、エッセイ、翻訳など幅広い分野で活躍している。主な訳書に『奇跡の脳』(ジル・ボルト・テイラー著、新潮文庫)、『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、ダイヤモンド社)、『超圧縮 地球生物全史』(ヘンリー・ジー著、ダイヤモンド社)などがある。