目次

第一章　吉田内閣に送り込まれたスパイ

１　総理候補・佐藤栄作に「リンゴの唄」を歌わせた三六歳の女性秘書
２　吉田茂と鳩山一郎、戦後日本政治の二大巨頭の間で揺れる「女スパイ」

第二章　女給からの転生

１　ホステスだった「昭和の女帝」が場末のバーで経験した運命の出会い
２　レイ子が右翼青年に導かれ、迷い込んだ「けものみち」の残酷
３　対米開戦前夜…総理大臣暗殺計画を企てたフィクサーの「裏の顔」
４　政界の黒幕の「なぐさみ者」に堕ちたレイ子に、ついに芽生えた権力への意志
５　日露戦争で児玉源太郎の懐刀だった老人が、庶民宰相となる男に与えた贈り物
６　レイ子と政治家志望の実業家が空襲警報下で交わした約束と男女の因縁
７　ビルに隠していたダイナマイトが空襲で大爆発…焼野原でレイ子が見たもの
８　戦後日本を動かした「終戦時の火事場泥棒」、朝鮮で荒稼ぎした加山鋭達の場合
９　戦後日本を動かした「終戦時の火事場泥棒」、海軍で儲けた鬼頭紘太の場合
10　鳩山一郎が結党資金として譲り受けた闇のダイヤを売り歩いた河野一郎
11　死期を悟った政界の黒幕、真木甚八がレイ子に用意した還暦のパートナー
12　鳩山内閣をつくり損ねた甚八は、次善の策で吉田首班に尽力、キングメーカーに
13　レイ子の出産、そして黒幕の死…昭電疑獄の追及と子分の裏切りで疲弊
14 「戦後最大のフィクサー」鬼頭が、巣鴨拘置所で東條英機と和解した理由
15　巣鴨プリズンを出た鬼頭が右翼の大立者に成るため米軍に献上した「お宝」

第三章　鬼頭という〝くびき〟

１　鳩山政権で第三の権力者となった鬼頭が叱責したレイ子の華々しい秘書生活
２　傍流から本流へ、吉田学校の一員となった加山の性豪ぶり…愛人秘書が献身
３　保守合同の裏で吉田、鳩山、レイ子ら四人が交わした密談の中身
４　初の女性副総理秘書官となったレイ子に、フィクサーが言い渡した断れない依頼
５　商社のインドネシア戦後賠償ビジネスに使われたレイ子とコパカバーナの花
６ 「原子力の母」と呼ばれる〝政界の高嶺の花〟を口説いた経営者の肝っ玉
７　自動車メーカー御曹司とレイ子の秘めた恋、伊豆ドライブデート
８　六〇年安保闘争の〝革命前夜〟、デモ隊に包囲されたレイ子の運命
９　自民党幹事長に昇進したボスとの大喧嘩でレイ子が米国に逃避行…道連れは？
10　自動車メーカー御曹司とのワシントンでの逢瀬…アーリントン墓地で感じた孤独
11　鬼頭もたじろいだレイ子のＣＩＡへの怒り。なだめるために与えられた〝飴〟

第四章　形勢逆転

１　大蔵省や通産省のタニマチとなったレイ子に挑戦者が…最年少の蔵相との相克
２　佐藤総理の次を狙う加山は「野垂れ死にする！」鬼頭が断定した理由
３　庶民宰相が組閣前、レイ子に勝利宣言！ だが、女性関係が政権のアキレス腱に
４　列島改造とインフレで行き詰まった加山政権、暗躍したフィクサーの陰謀
５　カネと女で内閣が瓦解、汚職事件が追い打ちをかけた政界蟻地獄
６　航空機調達をめぐるＬ社事件の賄賂の行方を、ＣＩＡはレイ子だけに明かした
７　前代未聞の前総理逮捕！ カネの力で出世した加山が語るＬ社事件の真相
８　逮捕後も自民党を牛耳った加山にレイ子が送り込んだスパイ
９　Ｌ社事件公判で加山を追い込む「蜂の一刺し」を仕組んだレイ子の深謀遠慮

第五章　生々流転

１　国策捜査で追い詰められた鬼頭がレイ子に明かした「終戦時の真実」
２　有罪判決を受けた加山の愛人秘書が、〝主〟を追い込んだレイ子と直接対決
３　金丸、竹下、小沢の裏切りで加山が凋落…それを機にレイ子に課された使命
４　自民党解体・再生の原資としてレイ子が再び頼った「戦時中の闇資金」
５　宮澤内閣をつくったレイ子が、宿敵の愛人秘書と過ごしたクリスマスイブ

著者

千本木 啓文（せんぼんぎ・ひろぶみ）
1980年、栃木県生まれ。農業の業界紙を経て、2014年からダイヤモンド編集部。自動車、電機などを取材。前職での経験を活かし特集「儲かる農業」を10年連続で刊行。ＪＡグループの不正を巡る一連の報道で、調査報道大賞2023年の優秀賞を受賞。著書に「農協のフィクサー」（講談社）がある。