レジリエンス 復活力
あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か

レジリエンス 復活力
あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か
書籍情報
- アンドリュー・ゾッリ/アン・マリー・ヒーリー:著 須川 綾子:訳
 - 定価:2640円(本体2400円+税10%)
 - 発行年月:2013年02月
 - 判型/造本:46上製
 - 頁数:404
 - ISBN:978-4-478-01233-8
 
内容紹介
私たちの人生に「予期せぬ出来事」は必ず訪れる。だが、大ダメージを経験した組織やシステムの中でも、完全に崩壊してしまうものと、しなやかに回復するものがあるのはなぜか。人間の脳、自然環境、ビジネスや地域の組織まで、あらゆるシステムを包括的に観察・研究し、「復活力」の驚くべき秘密に迫った知的興奮の書。
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目次
序章 レジリエンスとは何か
 現代では災害や大混乱を避けるのは難しい
 では、どうすればよいのか
 レジリエンスを定義する
 レジリエンスの必要条件
 フィードバック ── 危険な変化を察知して対応する
 資源とプロセスの脱集中化
 レジリエンスではないもの ── 頑強性・冗長性・元の状態への回復
 個人と集団のレジリエンス
 レジリエンス思考の効能
 レジリエンスでは全体論的アプローチが重要 ── ただし無駄も多い
 システムの循環とネットワーク
 サステナビリティの落日
 レジリエンスは翼を与える
 
 
第1章 頑強だが脆弱なシステムはどう崩壊するか ── 漁場・インターネット・金融市場
 頑強だが脆弱なシステム
 インターネットにおける分散的システムの頑強性
 インターネットは何に弱いか
 小さなほころびの蓄積がシステムを蝕む
 漁場と金融市場
 なぜサンゴ礁はハリケーンで消滅したのか
 二つの漁場管理方法
 ポートフォリオ方式で管理する ── 複雑なものを単純に
 金融業者のための生態学
 個別の金融機関だけに目を向ける危険
 致命的なほどの相互依存
 リーマン・ショックを引き起こした爆弾
 CDO ── 健康食品のラベルを貼られたジャンクフード
 CDS ── 他人の船にかける保険
 あまりに複雑なしくみから「信用」がこぼれる
 システム崩壊の予兆
 金融システム全体を見わたす
 金融界のスーパースプレッダーにワクチンを
 システム崩壊に応じて目覚める機能集団
 サンゴを守った魚アカククリ
 スイスの大不況を緩和した非公式通貨WIR
 レジリエンスの道具箱は多彩
 
 
第2章 感知し、拡大し、参集する ── アルカイダ・結核菌・新しい電力網
 アルカイダの安上がりな戦術 ── ヘモラージ作戦
 ゆるやかなネットワーク ── 誰もがナンバースリー
 ヒズボラのゲリラ戦術
 結核菌はいかに生体を蝕むか
 相手の戦術を模倣する ── 米軍の逆襲
 10の師団より100の小隊
 呼吸する送電線網
 大停電 ── 頑強だが脆弱なシステムの崩壊
 スマートグリッドの時代
 旧式の監視システム
 自我に目覚めたシステム
 プロトコル──システム内部の共通言語
 送電系統後の世界
 マイクログリッド ── 分散型電力システム
 マイクログリッドに寄せる期待 ── 軍と民間
 マイクログリッドを強化する分散型蓄電技術
 スマートグリッドへの心理的抵抗
 賛同者が多いほど効果があがる ── 節電と「社会的証明」
 
 
第3章 多様性を密集させる ── 都市と熱帯雨林
 生物と都市に共通するスケーリング法則
 生物は体が大きいほど生きるスピードが遅くなる
 都市は大きくなるほどあらゆる活動が速くなる
 都市が過成長による崩壊を免れるしくみ
 多様性を凝縮した森をつくる
 森林伐採を加速するアブラヤシ栽培
 森林保護に立ちはだかる壁
 熱帯雨林再生計画 ── 「不朽の森」をつくる
 多層的に木を植える
 サトウヤシの驚くべきパワー
 サトウヤシを産業にする
 サンボジャ・レスタリはなぜレジリエントなのか
 今後の課題
 
 
第4章 人はいかに心の傷から回復するか ── 個人のレジリエンス
 ホロコーストを生き延びた孤児たち
 逆境を体験しながらも人生を謳歌する人
 個人のレジリエンスを決定づけているものは何か
 悲しみは「乗り越えるべきもの」なのか ── 古い精神医学モデル
 多くの人が悲しみから自然と立ち直る ── 定量分析の驚くべき結果
 自己回復力と自己統制力
 信仰心とレジリエンス
 コミュニティとレジリエンス
 遺伝とレジリエンスの関係
 感情の“蓄え”を賢く使う ── マインドフルネス瞑想
 瞑想で脳が鍛えられる ── 神経可塑性の発見
 瞑想は寿命を延ばすか ── テロメラーゼとの関連
 「離脱」型瞑想が不安を和らげる
 「参加」型瞑想 ── 極度に消耗している人のための方法
 
 
第5章 協力と信頼はいかに生まれるか ── 社会のレジリエンス1
 信頼と協力を促進する物質
 リーマン・ブラザーズは救えたか
 失われていく信頼
 オキシトシン再び
 ゲームオーバー
 囚人のジレンマ
 将来見返りがあれば協力する ── 互恵的利他主義
 「おうむ返し」の戦術がうまくいく
 人間は(サルも)不公平を嫌悪する
 集団の内と外を隔てる境界は堅固だが容易に移動可能
 協力したいと思う自分の“部族”を拡張する
 パレスチナ問題
 ハイチ大地震 ── ミッション4636
 アフリカで活用された救援プラットフォーム「ウシャヒディ」
 ハイチへの対応と活動のインフォーマルな拡大
 ハイチ国民に直接つながる ── SMSハブ
 さらなる支援と問題 ── 誰がメッセージを翻訳するか
 広く活用されたシステム ── つぎなる段階へ
 なぜミッション4636はうまくいったのか
 弱いきずなで結びついたボランティアネットワーク
 強いきずなで結束した実践チーム
 部族の拡大、不屈のリーダー、意欲の持続
 いくつかの教訓
 
 
第6章 リスク志向を抑制する多様性と寛容さ ── 社会のレジリエンス2
 安全対策が危険な行動を呼び起こす
 リスクのホメオスタシス理論
 リスク志向の文化がレジリエンスを低下させる
 悪魔の提言者養成学校 ── 軍の集団思考に克つ
 「勢」の考え方と水平思考
 組織にさまざまな考え方をするメンバーを分布させる ── 認識の多様性
 人は自分が間違っている可能性に無意識に抵抗する ── 確証バイアス
 
 
第7章 コミュニティの適応能力 ── 社会のレジリエンス3
 バングラデシュの汚染された井戸
 なぜ介入措置は失敗したのか
 暴力の連鎖を食い止める
 行動の変化を生みだすための戦略
 社会規範を抑止力にする
 ステップ1 ── 暴力の伝染を防ぐ
 タフな介入者
 ステップ2 ── 思考を変える
 ステップ3 ── 規範を変える
 社会規範は模倣によって拡散する
 
 
第8章 コミュニティを支える「通訳型」リーダー ── 社会のレジリエンス4
 パラオについて
 パラオに何が起こったのか
 若きリーダーによる伝統的制度の活用
 環境使用税の導入
 仲間の輪を広げる
 対話を呼びかける
 ネットワークを織りなす
 
 
第9章 レジリエンスの習得
 脆弱性、限界点、フィードバックループをマッピングする
 ケニアの零細農家向け保険
 アドホクラシー ── 流動的、自然発生的、自己組織化的なネットワーク
 徹底的にデータを活用する
 将来に向けてリハーサルを積む
 レジリエントな場所に学ぶ
 
 
謝辞
尊敬する組織
訳者あとがき
注
著者
 アンドリュー・ゾッリ(Andrew Zolli)
 クリス・アンダーソン、ナシーム・タレブ、トーマス・フリードマン、マルコム・グラッドウェルなどが参加し、「先端的な知のコミュニティ」として知られる国際的なイノベーターのネットワーク、「ポップテック(PopTech)」のエグゼクティブ・ディレクター、キュレーターをつとめる。ナショナル・ジオグラフィック協会フェロー。テクノロジー、サステナビリティ、グローバル社会の交点に生じる複雑な現象を研究する。その仕事はニューヨーク・タイムズ紙、ファスト・カンパニー誌など多くのメディアで紹介されている。
 
 アン・マリー・ヒーリー(Ann Marie Healy)
 劇作家、脚本家、ジャーナリスト。
 
 
 
訳者
 須川綾子(すがわ・あやこ)
 翻訳家。東京外国語大学外国語学部英米語学科卒業。訳書に『世界で最もイノベーティブな洗剤会社 メソッド革命』(ダイヤモンド社)、『競争優位で勝つ統計学』(河出書房新社)、『世界鉄道史』(共訳、河出書房新社)、『ルネサンス 料理の饗宴』(共訳、原書房)などがある。
 
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