食欲の攻略書
なぜ私たちは食べ過ぎてしまうのか

食欲の攻略書
なぜ私たちは食べ過ぎてしまうのか
書籍情報
- アンドリュー・ジェンキンソン 著/岩田 佳代子 訳
- 定価:1980円(本体1800円+税10%)
- 発行年月:2025年08月 [予約受付中]
- 判型/造本:46並
- 頁数:480
- ISBN:9784478121566
内容紹介
過食脳から、今すぐ脱却せよ! 3000人の肥満患者を診てきた英国の医師が、食べ過ぎの原因を解き明かす。なぜ満腹でも食べてしまうのか? 意志ではなく、脳と体の“しくみ”に答えがある。肥満、疲労、パフォーマンス低下……すべては食欲とつながっている。正しい食欲を取り戻す攻略法も網羅した、世界的ベストセラー
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目次
はじめに
第1部 体が太る仕組み 体重をコントロールするメカニズム
第1章 初心者のためのメタボロジー 体重はどうやってコントロールされているのか
脂肪とは何か
メタボロジーの法則① ── エネルギーの利用と貯蔵
「摂取エネルギー」−「消費エネルギー」=「貯蔵エネルギー」
☜︎ 消費の落とし穴
メタボロジーの法則② ── 負のフィードバックシステム
体温
体内の水分量
すごい腎臓
必要な水分量は体が知っている
1キロ太る方程式
なぜすべてのアメリカ人が300キロを超えていないのか?
貯蔵エネルギー
バーモント刑務所での過食実験
2200から4000……そして1万キロカロリーへ
薪が増えれば炎の勢いも増す
「減量はできても、維持ができない!」
予想を裏づけたミネソタ飢餓実験
強烈な飢餓スイッチ
☜︎ ケーススタディ ── 空腹は常に勝つ
脂肪をコントロールする仕組み
脂肪貯蔵量を算定する脳
潜在意識で飢餓に備えている
体重のセットポイント
まとめ
第2章 肥満をめぐるタブー 私たちの体重は遺伝で決められている
牛のドライブスルー
巨漢が生き残る
誰が一番大きな牛を育てられるか
私が見た狩猟民族ハヅァ族
☜︎ 健康体重とは?
農耕民族の体重
誰もが同じように危険なのか
影響を受けない人、過剰に受ける人
自由な意志? 教育不足? 残念な遺伝子?
異なる家庭で育った一卵性双生児
結論 ── 肥満リスクは4分の3が遺伝
グループ3の運命
ドバイのエミラティたち
なぜポリネシア人は太りやすくなったのか
隠れていた肥満遺伝子
生殖適応度と倹約遺伝子
環境からは逃れられない!
アフリカからアメリカへの移住
エミラティが太っている謎
変化する遺伝「エピジェネティクス」とは
オランダの飢餓における研究
飢えた未来に賭けた末路
ダーウィンが説明できないこと
初期の進化論
砂漠で起こったエピ変異
妊娠と肥満誘発性
太った少女たち
肥満リスクの世代間移行
家族の問題
☜︎ ケーススタディ ── 肥満が約束された青年
まとめ
第3章 『ザ・ビゲスト・ルーザー』で痩せた人たち ダイエットが代謝を狂わせる理由
参加者の6年後
体重は減らせるけれど……
同じ条件でも代謝は変動する
☜︎ ケーススタディ ── ふたりの代謝率
10キロのランニングか3品多い食事か
代謝の幅
代謝はどのようにして変化するのか
闘争・逃走反応
リラックスした省エネモード
過食が招く二つの問題
交感神経が優位になると代謝率アップ
「熱」という自然燃焼
消えた幻の減量薬
脂肪を燃焼してくれる物質はあるのか
まとめ
第4章 なぜ私たちは食べるのか 食欲(と満腹感)の仕組みとホルモン
食欲ホルモンの経路
満腹感が得られないのはなぜ?
体重管理を司る第三のホルモン
まとめ
第5章 大食いの正体 肥満ホルモンの暴走を理解せよ
鍵を握るレプチン抵抗性
レプチン抵抗性の役割
レプチン抵抗性の原因
インスリンとレプチンの関係
TNF-αとは何か
体重をコントロールする司令塔の炎症
TNF-αはインスリンの効果を損なう
レプチン抵抗性は改善できる
まとめ
メタボロジーの結論
第6章 最後の手段 減量手術が機能する秘密
従来の減量手術
吸収抑制法
スリーブ状胃切除術と胃バイパス術
私が診てきた一般的な患者の話
第2部 肥満をもたらす要因 環境が体重を決めるメカニズム
第7章 偉大なるシェフたち 料理が重要な理由を歴史で辿る
遺伝子のルーツ
エネルギーを供給するATPバッテリー
ミトコンドリアで進化が加速
人間だけのエネルギー収支
チンパンジーは太らない
不経済組織仮説
エネルギー予算を削減せよ
100万年前の調理器具
器官の比率の違い
我々はローフードだけで生きていけるのか?
紀元前15万年
超健康なクロマニヨン人
狩猟採集民の食事
狩りをする男たち
調理して食べ物を分かち合う
おいしい臓物
多種多彩な食材
農耕がもたらしたもの
☜︎ とあるヴィクトリア朝の女性
抗い難い砂糖の魅力
砂糖と奴隷
砂糖の供給過剰
ヴィクトリア朝の奇跡の食事
工業化の革命
交配と遺伝子工学
まとめ
第8章 問題の核心 お粗末な栄養学が招いた悪しき食習慣
脂肪の研究者 vs 砂糖の研究者
いい加減な研究
コレステロールは悪者か?
栄養主義の影響
低脂肪が広まった理由
低コレステロール推奨の弊害
トランス脂肪酸にご用心
ショートニング誕生秘話
加工食品の罠
新たな環境に適応する
本末転倒
6億5000万人の肥満者
まとめ
第9章 オメガ脂肪酸の真実 はたして肥満は欠乏症なのか
脚気の歴史
原因は何か
突破口
壊血病という欠乏症
昔ながらの治療法
命運を分けた柑橘類
栄養不足が肥満につながる?
何が欠乏しているのか
「健康にいい」植物油の流行
小麦とトウモロコシ
肥満蔓延
何が排除されたのか?
脂肪の種類
二つのオメガ脂肪酸
必要不可欠な「陽光」のような脂肪酸 ── オメガ3
どんどん溜め込む「秋」のような脂肪酸 ── オメガ6
オメガ6の急増
消えゆくオメガ3
安価な穀物
太った穀物飼育の牛はオメガ6過多
オメガ3は長期保存不可
オメガ3とオメガ6の比率
変化はどんな影響を及ぼすか
オメガ兄弟の話
細胞膜に刻み込まれる食べ物
オメガ脂肪酸の機能
防御反応
オメガ6が太る理由
気分と食欲
オメガ6がオメガ3を阻害
肥満は欠乏症である
なぜオメガ脂肪酸は体重を左右するのか
動物の生態に学ぶ
まとめ
第10章 血糖値ジェットコースター ブドウ糖、インスリン、体重のセットポイント
インスリン濃度を左右するオメガ脂肪酸
血糖値の秘密
ブドウ糖はすべての炭水化物の最終産物
山あり谷ありのジェットコースター
間食しても食欲はなくならない
アルコールの体重への影響
酒豪のダイエット
ビール腹の原因
アルコールと食欲
飲んでも太らない人がいる?
断酒は体重減少にプラスなのか
まとめ
第11章 フレンチパラドックス フランス人はなぜ太らないのか?
脂肪もワインも摂取するフランス人
食文化の及ぼすもの
第12章 奇跡のダイエット本 ダイエットを今すぐやめるべき理由
「奇跡のダイエット」の作り方
ダイエットをした人の体は激変している
ダイエットをしないで、維持期にいこう
ダイエットか新しい生活か
低カロリーダイエット
低脂肪ダイエット
低糖質ダイエット
インターミッテント・ファスティング
ベジタリアンとビーガンの食事
第13章 太る国と痩せる国 どこに生まれ、どう生きるかで体は変わる
新生活で太る仕組み
「空腹であることを宣言します」
夜勤の人は要注意
睡眠と肥満
移住と体重
マイクロバイオームと体重減少
体重を減らす唯一の方法
第3部 体重管理の攻略 リバウンドしない減量の秘訣
第14章 準備開始:自分でやろう 自宅の環境と心の準備をする
リセットの準備
現実を見る
問題の解決法を理解する
家庭環境を整える
覚えておくべきこと:シェフは自分
寝室と体重計
家庭や職場でのストレスを減らす
始めるための時間
楽しんでこそうまくいく
禁断症状に備える
マインドフル・イーティングのためのガイド
☜︎ セクション1:マインドフルネス瞑想
☜︎ セクション2:マインドフル・イーティング
マインドフル・イーティング・エクササイズ
☜︎ セクション3:欲望を管理するコツ
マインドフル呼吸の効能
第15章 しっかり食べてしっかり睡眠 インスリンとコルチゾール濃度を下げる
ステップ1 ── しっかり食べる
ストック食材を整理する
朝食はイギリス式で
昼食の戦略
手づくりの夕食
ステップ2 ── しっかり眠る
第16章 あなたのブルーゾーン 細胞と筋肉の代謝を改善する
ステップ3 ── 細胞を正す
オメガ脂肪酸のバランス
オメガ6を減らす
油の選び方
まとめ
八百屋、肉屋、魚屋で調達する食事
ステップ4 ── 筋肉を鍛える
狩猟民 vs 会社員
ストレスまみれで「高血圧」で過体重のニューヨーカー
運動にはどんな効果があるのか?
運動のルール
筋肉を強く保つ
ステップ5 ── インスリンを減らす
ウサイン・ボルト vs モハメド・ファラー
グリセミック負荷
日々のGL値を測る
150、100、80、60……いったい何グラム?
「ケトーシス」にならないように
ゴール
おわりに なぜ食べ過ぎてしまうのか
謝辞
訳者あとがき
用語集
参考文献
原注
著者
アンドリュー・ジェンキンソン(Dr. Andrew Jenkinson)
名門ユニバーシティ・カレッジ病院の肥満(減量)外科および一般外科医、コンサルタント。サウサンプトン大学医学部を卒業後、イングランド王立外科医師会のフェローシップに参加。腹腔鏡手術の外科学修士課程を修了し、ホーマートン大学病院にてロンドンで最も予約の取れない肥満治療病棟の設立に貢献した。前腸(食道と胃)に関する世界的権威としても知られ、2000年以来、100以上の科学論文を発表。現在はNHS(国民保健サービス)に従事しながら、ロンドンクリニックとウェリントン私立病院の肥満外科部門の責任者を務める。
訳者
岩田佳代子(いわた・かよこ)
翻訳家。清泉女子大学文学部英文学科卒。絵本、YAからミステリー、ノンフィクションまでさまざまなジャンルを手がける。主な訳書に『女性のための「セルフラブ」ワークブック』(海と月社)、『「なぜ?」「どうして?」がよくわかる わくわく科学実験図鑑』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。