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新解釈 コーポレートファイナンス理論

「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?

  • 紙版
  • 電子版

新解釈 コーポレートファイナンス理論

「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?

書籍情報

  • 紙版
  • 電子版
  • 宮川 壽夫 著
  • 定価:1980円(本体1800円+税10%)
  • 発行年月:2022年10月
  • 判型/造本:46並
  • 頁数:448
  • ISBN:9784478116715

内容紹介

多くのコーポレート・ファイナンスの解説書は、その初期設定が間違っている!? あまりにも「実務」や「実用」のイメージが強くなったコーポレート・ファイナンス理論を、改めてミクロ経済学から派生した理論群として学び直す入門書。実務や経営の大本を支える、「教養としてのコーポレート・ファイナンス」が身につく!

目次・著者紹介詳細を見る▼

目次

まえがき

第1話 会社が儲かるとは、そもそもどういう状態を言うのか?

    ── 株式会社という説話原型

資本が企業のテンションを上げてしまう
企業は資本を調達して資産を買う
企業は資産を使ってキャッシュを稼ぐ
出資者の顔が見えないまま資本は成長する
世の中のおカネがぐるぐる回るために
投資したものはいつか返ってくるという信仰
 column1 コーポレートガバナンス・コードの功罪

第2話 株価の変動がでたらめだったら何がうれしいのか?

    ── 不確実性理論という宿命

リターンとリスクの関係は人生そのものだ
株価はでたらめに動いているという衝撃
すべての情報を織り込んだ株価はどう動く?
だから相場は相場に聞け
ランダムな現象には法則がある
過去の繰り返しが未来を創る
人が勉強するにはワケがある

第3話 なぜ人はリスクを恐れるのか?

    ── CAPMというイニシエーション

リスクが低いものは高く値付けされる
どうやってリスクを表現するか
要するに価格は釣り合っている
ベータは企業が行う事業が決める
資本コストの計算と理屈はとても単純にできている
リスクは回避するべきものではない
 column2 あきらめがつくリスクとあきらめがつかないリスク

第4話 株価はどうやって決められているのか?

    ── 割引現在価値という決まりごと

市場が価値を反映して価格をつける
おカネさえ出せばそれは自分のものになる
株価が決まるメカニズム
債権者のことも考える必要がある
将来得られるものとそれが得られない不確実性の綱引き
他者の存在があってはじめてわかる自分の価値

第5話 どんなときに企業価値は拡大するのか?

    ── 正のNPVというメカニズム

価値が拡大するメカニズムはいたって単純
ちょっとした事例でNPVを体験
ちょっとした事例でIRRも体験
「自社の資本コスト」によって事業案件を検討してはいけない理由
WACCをハードルレートに用いることの危険性
現金が企業価値を毀損するわけではない
企業の資本コストは絶対音感?
正確な資本コストを計算することの限界
大事なことは結果にいたるプロセス
 column3 本当に長期的株主がほしいですか?

第6話 株式市場は正しい答えを持っているのか? 

    ── 効率的市場仮説という自己矛盾

株式市場に押し寄せるバッファローの群れ
行列ができる人気ラーメン店はこうして生まれる
株価は正規分布しない?
市場価格が正しくないとなにが困るのか?
相場師たちの矛盾
効率か非効率かではなく程度の問題
ではなにを信じるべきか?
 column4 市場の効率性に関する3つのフォーム

第7話 価値を拡大することはなぜ困難なのか? 

    ── 完全市場というフィクション

アルプスの少女ハイジのような理想的世界
現実の世界では株主価値がもともと毀損されている?
企業価値の拡大は並大抵のことでは起きない
なぜ完全市場という前提が必要なのか?
現実は本当に完全市場ではないのか?
期待に応えただけでは価値を生まないという厳しい現実
組織はエンジンを積んでいるか?
資本コストを低下させるという幻想
他社にできないことができるから価値がある
他社に持てないものを持っているから価値がある
完全市場の壁から背中を引きはがせ!
 column5 完全市場がファイナンス理論を発展させてきた

第8話 コスト削減の努力は報われるか? 

    ── キャッシュフローという現実性

コーポレートファイナンス理論に会計の知識は必要か?
ルールに基づく「過去の記録」と裁量による「将来の予想」
資金繰りがうまい企業の価値は高い:運転資本の問題
利益を拡大しても企業の価値は拡大しない:減価償却費の問題
費用を削減しても企業の価値は拡大しない:費用削減の功罪
構造を変えないままの費用削減は無駄になる
数学理論は必ずしも正しくない
悩みの種はトレードオフ
わかっちゃいるけどやめられない埋没費用
そもそもわかっちゃいない機会費用
たらればの価値を計算することには意味がある

第9話 財務分析はどこまで役に立つのか?

    ── ROE崇拝の迷宮

当期純利益を使わないと会社法違反?
宿命的に資本は増えていく
高ければいいというわけではない不思議な指標
ROE改善大号令の背景
時制が異なる資本コストとROE
資本コストは個別の投資ごとに決まります
俊足はトップバッターの条件か?
ふるいにかけることがシゴトではない
具体的な数値ではなくいっそのこと思いきり抽象化してみる?
財務分析の達人、それはヒマラヤの雪男
 column6 合併効果の疑わしさ

第10話 配当? 払ったことないですけどそれがなにか?

    ── ペイアウト政策のパズル

配当政策というミステリー
稼いだおカネはどこへ行く?
ペイアウトには意味がない?
ペイアウトは支払わないに越したことはない?
ペイアウトは情報とともにやって来る
さわやかじゃないレモンのお話
配当が送っているシグナルとは?
なんだか膝を打つ感じがしないシグナリング仮説
世の中はエージェンシー関係にあふれている
自分の利益しか考えない経営者?
株主価値の拡大を怠るエージェントの投資行動
エージェンシー関係から発生する無駄な費用
理論はエレガントでも実証結果は不安定
ペイアウトは成熟企業の証?
結局のところペイアウト政策はなんのためにある?
「科学的」とは100%の正しさが保証されていないということ
 column7 2つにひとつを決めるための科学的プロセス

第11話 現金? 持ってないですけどそれがなにか? 

    ── 企業の現金保有とペッキングオーダー理論

最も価値の低い資産、それは現金
現金を持つとロクなことがない
なんの自慢にもならない無借金経営
企業が保有する現金は年々増えている
企業が現金を保有する動機は昔から存在した
内部資金を活用して価値を拡大してきた米国企業
おいしいものから先に食べる:ペッキングオーダー理論
余裕があるというのは時として強い?
企業の競争優位性は現金で買えるか?
持っているかどうかではなく、持っているものを活かせるかどうか
 column8 企業の内部留保にまつわる誤解

第12話 会社は本当に株主のためだけに存在するのか? 

    ── 株主プライマシーとステークホルダープライマシー

株主プライマシー、事始め
万人ウケしないけど迫力あるオヤジ、フリードマン
同じ寝床で異なる夢を見るステークホルダーたち
順番が最後になる株主の取り分
なぜ株主は企業のリスクを負っているのか?
経済学的視点から見た株主プライマシー
法学的視点からの株主プライマシー
ステークホルダープライマシーは本当に公平か?
トリックアートを彷徨うように
 column9 バーリとミーンズの意外な本業と2人の出会い

第13話 会社はどこまで社会の持続性に貢献できるのか? 

    ── サステナビリティとコーポレートガバナンス

経営にとっては容易ならないESGブーム
ESGを正当化する論理は意外とむずかしい
バーリとドッドによる企業の社会的責任論争
企業の謝罪会見はだれに向かってお詫びしているのか?
マトリクスで整理するコーポレートガバナンス問題
支配権と所有権の二軸で考える
株主に帰属する権利とはなにか?
株主の力で無価値になってしまう資産
サステナビリティのために大事なのは売上?
サステナブルな社会ってどんな社会?
 column10 多くの株主が何も努力せずに得をしてしまう企業買収市場
 column11 ESG投資がさほど儲からない理由

エピローグ ── ゴーギャンの絵のように

警察官の職質ゲームで経営を語る
あなたはどこから来たのか:理念は時空を超える
経営理念は退屈なお題目ではない
あなたはここでなにをしているのか:企業価値を拡大するバリア
あなたはこれからどこへ行くのか:ビジョンには時間軸
理念があってビジョンを持つから計画がある

あとがき





著者

宮川壽夫(みやがわ・ひさお)
大阪公立大学大学院経営学研究科・商学部 教授
博士(経営学)。筑波大学大学院博士後期課程修了。
1985年4月野村證券株式会社入社。営業部門、英国留学、投資銀行部門を経て2000年8月米国トムソンファイナンシャル・コンサルティンググループに移籍(アジア統括シニアディレクター)。2007年10月に再び野村證券株式会社に移籍(IBコンサルティング部上級専任職エグゼクティブディレクター)。2010年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)大学院に専任講師として赴任。同年10月准教授、2014年4月教授。2015年4月よりワシントン大学(University of Washington)客員研究員を兼任。2020年4月一橋大学大学院客員研究員を兼任(〜2021年3月)。上場企業の社外取締役・監査等委員を兼任。
主な著書に『企業価値の神秘 コーポレートファイナンス理論の思考回路』(2016年、中央経済社)、『配当政策とコーポレート・ガバナンス 株主所有権の限界』(2013年、中央経済社)。他論文、メディア向け論稿多数。

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