地図で学ぶ「深読み」世界史

地図で学ぶ「深読み」世界史
書籍情報
- 伊藤 敏 著
- 定価:2200円(本体2000円+税10%)
- 発行年月:2026年06月 [予約受付中]
- 判型/造本:A5並
- 頁数:288
- ISBN:9784478122945
内容紹介
地図だからわかる! 誰も知らない「もう1つの世界史」!「マラッカ海峡ーー今なお色褪せぬ2000年におよぶ交通の要衝」「軍事強国と宗教改革ーースイスから資本主義が生まれた瞬間」「帝国主義とアフガニスタンーーイスラーム原理主義が生まれた理由」 経済ニュース・国際情勢を読み解く教養が身につく!
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目次
巻頭口絵
世界交通の要衝、マラッカ海峡
ホルムズ海峡とアフリカの角を結ぶ海上貿易路
アルプス交通路が変えた世界史
十字軍の遺産と世界大戦
シルクロードの中心地、アフガニスタン
ベルギーが始めたアフリカ分割
はじめに 海峡、山脈、河川……地図から読む、もう1つの世界史
第1部 シーレーン 世界の命運を握る「3つのチョークポイント」
第1章 マラッカ海峡 2000年におよぶ交通の要衝
ランド・パワー/シー・パワー論の限界とは? / マラッカ海峡以前のマリンロード / ギリシア・ローマ世界とインド洋航路のつながり / 東西交流の活発化と港市国家の成立 / 海上帝国の興亡 ── マラッカ海峡の開通 / 海峡支配者の交代 ── チョーラ朝からマジャパヒトへ / 香辛料貿易とヨーロッパ諸国の到来 / マラッカ王国 ── イスラーム教普及の一大拠点 / ヨーロッパ諸国の進出とシンガポールの台頭 / イギリスによる海峡支配 / マラッカ海峡の現状と展望 / マラッカ海峡が抱える民族対立の火種 / マレー系住民と中国系住民の対立
第2章 ホルムズ海峡 「オイルロード」の起点
資源輸出を支えるチョークポイント / 古代ペルシア湾交易の形成 / イスラーム世界の広域交易とペルシア湾口の繁栄 / ホルムズ島の繁栄と争奪戦 / ホルムズ王国の興隆と国際商業 / ポルトガル進出とサファヴィー朝による奪還 / バンダレ・アッバースの台頭と海賊海岸 / 油田の発見 ── イランをめぐるイギリスとロシアの対立 / パフラヴィー朝の成立と対英感情の高まり / 石油国有化とイラン革命の衝撃 / アメリカとイランの確執 / 世界経済への匕首 ── ホルムズ海峡封鎖 / 封鎖の影響と日本への直撃
第3章 アフリカの角 海上交通の大動脈を巡る戦い
紅海とアラビア海を結ぶ重要拠点 / アフリカの角の夜明け ──「神の地」プントとの貿易 / アクスム王国と紅海交易の繁栄 / 東アフリカ沿岸とスワヒリ文化圏の形成 / ポルトガル支配の終焉とオマーンの拡大 / スエズ運河開通と列強の進出 / 植民地支配とソマリア国家の分断 / 大ソマリア主義とオガデン戦争 / 国家崩壊とソマリア海賊の出現 / 真珠の首飾り戦略 ── インド洋の新たな「支配者」の可能性 / ミャンマー・パキスタン回廊と陸上輸送の模索 / ソマリランド進出と中国の新たな足場
第2部 北西航路 世界地図を塗り替える北極海
第1章 第三の航路を求めて 後発諸国の挑戦
大西洋と太平洋を結ぶ「第三の航路」 / 北西航路を求めて ── 後発国の挑戦 / カボット父子と北方航路構想 / カルティエと「カナダ」の命名 / アニアン海峡という空想 / 空想の終焉 ──「科学の時代」と科学調査 / 経度問題とクロノメーターの登場 / 王立協会と海軍探検の時代 / クックとヴァンクーヴァーの西岸探検
第2章 科学と冒険 19〜20世紀の偉業と悲劇
北西航路をめぐる探検競争 / 「科学的」探検の限界と危険 / フランクリン遠征隊の失踪 / イヌイットの証言と遠征隊の末路 / 極地探検への関心の移行 / 北西航路の発見 ── アムンセンの登場 / イヌイットの知識と北西航路の達成 / アムンセンの成功とスコット隊の悲劇
第3章 北極海航路 アメリカ、ロシア、中国の暗闘が始まる
地球温暖化と北西航路 / 国際海峡か、カナダの内水か / 国際海峡制度をめぐる対立 / 「歴史的水域」という論拠 / 北西航路が突きつける領土と歴史の問題 / 「北東航路」── もう1つの極圏航路 / ロシア国家とシベリア開発 / ノルデンショルドの成功と注目されなかった航路 / ソ連にとっての生命線としての北東航路 / クリミア危機と中露協力の加速 / 「氷上のシルクロード」構想 / グリーンランドをめぐる新たな対立 / グリーンランド買収提案の背景 / 新たなシー・パワーは出現するのか
第3部 アルプス交通路 近代欧米を読み解くためのスイス
第1章 スイスの歴史 ヨーロッパ屈指の経済圏
近代欧米を読み解くためのスイス / 市民皆兵制 ── ヨーロッパ世界の社会・軍事的伝統 / 政治参加と軍役の結合 / 古代ギリシア・ローマからゲルマン社会へ / 従士制と軍隊王権 / ローマ支配とアラマン人の進出 / フランク支配とシュヴァーベンの形成 / アルプス交通路の開削 ── スイスが歴史の表舞台に立つとき / 中継交易とスイス都市の成長 / ハプスブルク家への対抗と盟約者団の成立 / 民兵軍と盟約者団の軍事力 / 軍事強国化と実質的独立 / 都市邦と農村邦の亀裂 / 拡張政策の限界と「ランド・パワー未満」の国家
第2章 軍事強国と宗教改革 資本主義が生まれた瞬間
スイス拡張主義の限界 / 傭兵国家への転換 / 「槍と銃」の時代と近代戦争の原型 / 傭兵輸出と金融業の発展 / 革命と内戦を経た近代国家化 / 宗教改革の荒波が押し寄せる / 福音主義(聖書第一主義)の誕生 / 営利活動の肯定と資本主義の精神 / 社会主義の起源としてのジュネーヴ / ルソーと人民主権論 / ルソー思想の継承と変容 / マルクス主義への連なり / スイスが育んだ「近代」の諸要素
第3章 海を渡ったカルヴァン派とアメリカの宗教政治
ヨーロッパに広がるカルヴァン派 / イギリス国教会とピューリタンの対立 / ピルグリム・ファーザーズとニューイングランド / 長老主義と直接民主政の継承 / ピューリタニズムが引き起こすアメリカの社会的パニック / 大覚醒と信仰復興の波 / 禁欲思想と禁酒運動 / 革新主義と禁酒法の成立 / 禁欲倫理と保守化のねじれ / 福音派 ── アメリカ合衆国の根底に潜む「原理主義」 / 南部バプテスト連盟の形成 / 南北戦争と政党地図の反転 / 福音派と現代アメリカ保守主義 / バプテスト教会 ── もう1つのスイスの宗教改革 / ツヴィングリ改革と盟約者団の対立 / 急進派の北米移住 / スイス宗教改革のもう1つの遺産
第4部 巡礼交易路 十字軍とヨーロッパ拡大の原点
第1章 巡礼 十字軍と中世経済を支えたもの
十字軍 ──「異教徒との戦い」 / 11世紀の巡礼熱と三大聖地 / サンティアゴ・デ・コンポステラの台頭 / 巡礼路の整備と人の往来の活発化 / 巡礼路から交易路へ / 騎士修道会 ──「戦う修道士」と巡礼 / なぜ暴力が容認されたのか? / 聖ヨハネ騎士団とテンプル騎士団 / 聖地喪失と騎士修道会の転機 / ヨーロッパ最初の銀行家 / 寄進と財産管理の拡大 / イタリア商人との連携と送金網 / 銀行システムの原型 / 王権との結びつきとテンプル騎士団の終焉
第2章 北方十字軍 「ヨーロッパ」の東方拡大
十字軍の方針転換が始まる / 第2回十字軍と教皇特権 / ベルナルドゥスと「攻撃的」十字軍の論理 / 十字軍より優先された北方戦線 / 改宗か根絶か ── 十字軍理念の拡大 / 東方植民の本格化と北方十字軍 / ドイツ騎士団の登場 / ヘルマン・フォン・ザルツァとバルト海進出 / ドイツ騎士団の征服と挫折 / ポーランド=リトアニア連合の成立 / タンネンベルクでの敗北と騎士団国家の終焉 / ヨーロッパ文化圏の大拡大
第3章 東方植民とダンツィヒの悲劇
東方植民が残した人口分布の遺産 / ヴィスワ川河口とダンツィヒの成立 / 西プロイセンの成立 / 第1次世界大戦とポーランド回廊 / ダンツィヒという特殊な地域 / グディニャの成長とダンツィヒの不満 / ダンツィヒ問題と第2次世界大戦 / 東方植民が残した長すぎる影
第5部 シルクロード 「帝国の墓場」アフガニスタンの宿命
第1章 ラピスラズリ 世界を魅了したアフガニスタンの「青」
いかなる大国も支配できなかった / 山岳国家アフガニスタンとラピスラズリ / 「海を越えた青」としてのウルトラマリン / バダフシャーンという唯一無二の産地 / 古代文明を結んだラピス交易 / ヴェネツィアとルネサンス絵画の青 / フェルメールとラピスラズリの凋落
第2章 シルクロードの中継地 アフガニスタン
古代ユーラシア交易網の形成 / ヒンドゥークシュ山脈という難所 / インド亜大陸への玄関口 / シルクロードを支えた峠道 / 大幹道とインド交易 / 西南シルクロードとの合流 / 支配者が交替する交通の十字路 / 大月氏からクシャーナ朝へ / ガンダーラ美術と文化融合
第3章 アフガニスタンのイスラーム化
パシュトゥーン人の形成と「アフガン」の名 / 仏教の定着とバーミヤーンの石窟寺院 / エフタルの進出と仏教の後退 / イスラーム勢力の第一波進出 / 地方政権の成立とイスラーム化の定着 / ガズナ朝・ゴール朝のインド進出 / モンゴルとティムールの時代
第4章 アフガニスタン王国の夜明けとパシュトゥーン人
第5章 アフガニスタンをめぐる帝国の攻防
バーラクザイ朝の成立 / グレート・ゲームの始まり / アフガン戦争とイギリスの介入 / イスラーム復興運動との結合 / ムジャーヒディーン運動の形成
第6章 二度の世界大戦と王政の崩壊
中央集権化と国境線の固定 / 帝国主義が残した国境の傷痕 / 第3次アフガン戦争と独立 / アマーヌッラー改革とその反動 / 王政の再建と共和国への転換
第7章 帝国の墓場、アフガニスタン
人民民主党とサウル革命 / ソ連侵攻と第三のムジャーヒディーン / アメリカによる武器と資金の援助/ ターリバーンの台頭 / 対テロ戦争とターリバーン政権の崩壊 / ターリバーン再興と米軍撤退 / 「帝国の墓場」としてのアフガニスタン
第6部 内陸交通路 もう1つの東南アジア史を読む
第1章 東南アジアの隠れた要衝、ラオス
東南アジアの山岳国家 / ラーオ族到来以前のラオス / ラーオ族の到来と山地への定着 / タイ文化圏との接触と自立の契機 / ラーオ族国家の成立 / マンダラ国家としての性格 / 周辺諸国との抗争と南方進出 / 文化的繁栄とビルマ支配 / 王国の分裂と独立の終焉 / メコン交通路の可能性 / フランス進出とラオス開発計画 / ラオスの保護国化 / 中国貿易ルートとしてのラオス / インフラ整備と低地・高地の分断
第2章 第2次世界大戦とベトナム戦争
日本の仏印進駐とラオス / タイ・フランス領インドシナ紛争とラオスの再編 / 日本敗戦と自由ラオス運動 / 戦後ラオス政局の混迷 / 自由ラオスの共産化とパテート・ラーオ / 南ベトナム解放民族戦線の結成 / アメリカ介入の拡大とゴ・ディン・ジエム政権の崩壊 / ラオス経由ルートの形成 / ラオス内戦 ── アメリカとソ連の代理戦争 / パテート・ラーオの勝利と王政廃止
第3章 ラオス再評価 「一帯一路」の中継点として
内陸交通の要衝としての再評価 / 市場経済導入への転換 / ASEAN加盟と市場開放圧力 / 経済開発の壁 / 中国の接近 ── 環ユーラシア経済圏におけるラオスの可能性 / ラオス中国鉄道の開通 / 「一帯一路」の中継点としてのラオス / 山岳国家ラオスのこれから
第7部 大河と資源 コンゴが変えた世界史
第1章 コンゴ王国 奴隷貿易が変えた中部アフリカ
熱帯雨林地帯と国家形成の遅れ / コンゴ王国の台頭 / 銅と織物の王国 / ポルトガル到来とキリスト教の普及 / 奴隷貿易の拡大と王国の荒廃 / 奴隷制度がもたらした社会崩壊 / ポルトガルとの戦争が始まる / オランダの介入と再度の戦争 / 三つ巴になったコンゴ内戦 / 奴隷貿易が促した王国の分断 / 奴隷貿易から商品貿易への転換 / ポルトガル従属と王権の形骸化 / コンゴ王国の実質的な滅亡
第2章 コンゴ探検が生んだ植民地支配とウラン資源
アフリカ奥地探検 ──「暗黒大陸」に踏み込むヨーロッパ / トンブクトゥという黄金郷 / リヴィングストンの探検 / スタンリーによる「発見」と内陸地理の可視化 / ベルギー国王による植民地建設 ── アフリカ分割の草分け / ベルリン・コンゴ会議とアフリカ分割 / レオポルド2世とコンゴの悲劇 / アフリカ分割と第2次産業革命 / 帝国主義と植民地拡大 / ユニオン・ミニエールの設立 / カタンガ資源とベンゲラ鉄道 / ウランという戦略資源 / コンゴ産ウランとマンハッタン計画 / 冷戦構造への波及
第3章 コンゴ動乱 独立が生んだ冷戦と資源紛争
「アフリカの年」とコンゴ独立 / ベルギーの思惑と性急な独立 / 独立直後の反乱と白人支配への反発 / カタンガ分離独立とベルギー介入 / コンゴ動乱と国連軍派遣 / ルムンバ失脚とカタンガ制圧 / シンバ反乱と動乱の長期化 / コンゴ動乱が問い直した国連の在り方 / ザイール化政策と経済腐敗 / 冷戦終結とモブトゥ体制の動揺 / 第1次コンゴ戦争 / 第2次コンゴ戦争と「アフリカ大戦」 / 戦後も続く不安定化と資源問題
おわりに 地図と歴史が照らす「見えない糸」
主要参考文献
索引
著者
伊藤敏(いとう・びん)
東京都出身。代々木ゼミナール世界史講師。
筑波大学を卒業、同大学院にて修士号を取得し、博士後期課程単位取得退学。高校非常勤講師や塾講師を経て、2019年より代々木ゼミナール講師として首都圏や北海道などで活動。「地図や地理の感覚がないと世界史は到底理解できない」という信条のもと、地図や図解を駆使した解説に定評があり、多くの受験生、なかでも早慶合格者から厚い支持を受ける。黒板にフリーハンドで描かれる正確無比な地図に魅了される受験生も多く、「地図の鬼神」という異名を持つ。授業では、言語、思想、宗教、軍事など様々な分野にわたる知識を、世界史を楽しみながら学ぶことができる。
予備校講師として活躍する一方、自作のオリジナル教材や地図をnoteで販売し、「思ってもみなかった視点に気付かされ、オリジナルと思えない図解の質の高さに驚かされる」と受験生や教育関係者から絶賛されている。
著書に『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』『歴史を動かした「決戦」の世界史』(ともにベレ出版)、『ビジネスエリートが知っておきたい 教養としてのヨーロッパ史』(PHP研究所)、監修書に『食べ物が変えた世界史』(朝日新聞出版)がある。
