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過去20年の「1月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年1月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「1月」のデータを集計して、2023年1月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

1月は2日と3日に「英ポンド安」のアノマリー!
市場参加者が少ないタイミングは、特に注意が必要か

 前回の記事で紹介しましたが、1月の為替市場は明確なアノマリーが出にくい月となります。
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 しかし、日別のデータでより細かく見てみると、年初は英ポンドに売られやすいアノマリーがあり、注目です。

 下の表は、英ポンドが絡んだ通貨ペアの、過去20年間の日足の「陽線」と「陰線」の出現確率を日別にまとめ、1月月初の期間を抽出したものです。

英ポンド関連ペアの日別アノマリー(年始)

 これを見ると、過去20年間で1月2日の陽線の出現確率は英ポンド/豪ドルが10%、英ポンド/ニュージーランドドルが14%、英ポンド/カナダドルが19%と低くなっています。同様に、1月3日も英ポンド安のアノマリーが出ていて、英ポンド/円の陽線の出現確率は19%、英ポンド/米ドルと英ポンド/カナダドルは24%と低くなっています。

 陽線の出現確率が低いということは、陰線の出現確率が高く、英ポンドに下落しやすいアノマリーがある、ということです。
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 1月2日は、その年の最初の取引日です。しかし、日本は1月3日までは金融機関が休業、株式市場も休場で、為替市場の参加者もまだ少ない状況です。本来であれば、ほぼ動きが出ないと考えられますが、市場参加者が少なく流動性が乏しいことで、過去には2019年1月3日の早朝には“フラッシュ・クラッシュ”が起こり、短時間で一方的に急激に動いたこともありました。

 市場参加者が少ないタイミングだからこそ、英ポンドを中心に思わぬ動きがあるかもしれないので、注意が必要です。

「1月の方向性とその年の方向性が一致しやすいアノマリーがある」という話を検証したら、必ずしも当てはまるとは言えない結果に

 また、1月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「米ドル/円は1月の相場の方向性と、その年の方向性が一致しやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。つまり、1月の米ドル/円の月足が陽線なら、その年の米ドル/円の年足も陽線になる、逆に1月の米ドル/円の月足が陰線なら、その年の米ドル/円の年足も陰線になりやすい、という話があるようです。

 しかし、過去のデータで検証した結果、これは必ずしも「アノマリー」とは言えない、という結果になりました。

 下の表は、1977年から2021年までの過去45年間における、米ドル/円のその年の始値と1月の終値、12月の終値を一覧にしたものです。

米ドル/円の1月月足と年足の合致率(62%)

 これを見ると、過去45年で1月の月足とその年の年足の方向性が一致したのは28回、確率は62%となります。

 このことから、市場で注目されることも多い「1月の月足とその年の年足」に相関性はない、と私は判断します。

米国の中間選挙の翌年には、米ドル/円が80%の確率で
下落するアノマリーを発見!

 また、今年(2022年)は11月8日(火)に米国の中間選挙が行われました。

 中間選挙とは、米国の下院議員全員と上院議員3分の1の議席を改選する選挙で、米大統領の任期4年間の中間の年に行われる選挙のことを言います。

 この中間選挙の結果は、米国の株価に大きく影響すると言われていて、「中間選挙があった翌年のNYダウは上昇しやすい」というアノマリーがあります。
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米国の中間選挙翌年のNYダウ

 上の一覧は、1987年以降における中間選挙の翌年の、NYダウのチャートを並べたものですが、ブラックマンデーがあった1987年とチャイナショックが起こった2015年を除くと、NYダウはすべて上昇していたことがわかります。

 また、急落があった1987年も8月半ばまでは上昇していて、そのほかの年もおおむね7月半ばまでは上昇していることもわかります。このことから、中間選挙の翌年のNYダウは、7月半ば頃まで上昇しやすいアノマリーがあると言えます。

 さらに、中間選挙の翌年は、米ドル/円にも強いアノマリーがあります。下の表は1983年以降における中間選挙の翌年の、米ドル/円のその年の始値と終値をまとめたものです。

米中間選挙後の米ドル/円

 これを見ると、中間選挙翌年の米ドル/円は10回中8回と、ほとんどの年で下落して陰線が出現していた(=円高になっていた)ことがわかります。

 特に、1987年はブラックマンデーも影響して約37円、1991年はバブル崩壊などの影響で約10円も下落しました。ほかにも、金融再編の年と言われた1999年は約11円、世界的にSARS(重症急性呼吸器症候群)の感染が拡大した2003年も約11円の下落が発生しています。

 個別の要因が影響している面も大きいですが、中間選挙の翌年の米ドル/円は、実に80%の確率で年足で陰線(円高)になっているということがわかるので、2023年の米ドル/円の行方にも注目しておきましょう。

ビットコインは、まもなく4年周期の安値をつける時期!?
高値をつけると予想される2025年末に向けた買いどきとなるか?

 最後に、2023年は仮想通貨(暗号資産)にも注目です。

 仮想通貨といえばビットコイン(BTC)が代表的な存在ですが、仮想通貨はビットコインを筆頭に、高値と安値を4年ごとに付けていることが、過去のデータから確認できます。以下は、ビットコイン/米ドルの日足チャートです。

(出所:TradingView)
 

 ビットコインは2013年12月、2017年12月、2021年11月と、約4年ごとに高値を付けています。そして、安値は2015年1月と2019年1月ごろと、今のところ4年周期で高値と安値を付けています。

 仮想通貨の変動にはさまざまな要因が影響していますが、一番の理由はビットコインの半減期が関係していると考えられます。

 半減期とは、ビットコインのマイニング報酬が半分になるタイミングのことで、最近はマイニングに使用する機材の性能が上がって間隔が短くなってきているものの、おおよそ4年に一度のペースで発生します。

 そのほか、仮想通貨業界で4年ごとに大きな事件が起こっていることも影響していそうです。2014年はマウントゴックス(Mt.GOX)によるビットコイン流出事件、2018年にはコインチェックのNEM流出事件があり、今年、2022年にFTX社が破綻したことは、記憶に新しいところです。

 最近の仮想通貨市場には、悲観的な動きや話題が続いていますが、このアノマリーからは、次の安値を付けるタイミングは2023年1月頃となりそうです。高値も4年周期で付けていることを考えると、次の高値をつけると考えられる2025年末頃の高値に向けて、ビットコインを買う良い時期と言えるかもしれません。

(出所:TradingView)


 以上、今回は為替とNYダウ、ビットコインのアノマリーを紹介しました。

 次回は2月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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