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過去20年の「10月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年10月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「10月」のデータを集計して、2023年10月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

10月は高金利通貨ペアの「円安」アノマリーに注目!
メキシコペソ/円の月足には、過去17回中13回で陽線が出現!

 はじめに、月足の統計データで10月のアノマリーを確認していきましょう。

 下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、高金利通貨ペアとして知られる、南アフリカランド/円、トルコリラ/円、メキシコペソ/円、中国人民元/円の、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

高金利通貨通貨ペアの月足アノマリー情報

 これを見ると、10月はトルコリラ/円で17回中10回、メキシコペソ/円で17回中13回、中国人民元/円で12回中10回と、それぞれ陽線の出現回数が多くなっていて、高金利通貨ペアで「円安」になりやすいアノマリーがあります。
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 そのほかにも、10月に一定の偏りが確認できる通貨ペアがいくつかあります。

その他の主要通貨ペアの月足アノマリー情報

 上の表を見ると、10月は豪ドル/円が20回中14回、豪ドル/スイスフランとニュージーランドドル/カナダドルが20回中15回で陽線となっていて、ユーロ/ニュージーランドドルでは20回中14回で陰線となっています。つまり、10月は「豪ドル高」「ニュージーランドドル高」になりやすいアノマリーがあるということになります。

 ややマイナーな通貨ペアもありますが、こうした通貨ペアを取引している人は注目しておきましょう。
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10月の「株安にともなうリスクオフの円高」アノマリーを検証。
主要通貨ペアでは少なくとも、直近20年で円高の傾向は確認できず

 ところで、10月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「世界的な株価の急落で、リスクオフの円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。

 しかし、実際に米ドル/円や主要なクロス円の過去20年間の月足を調べてみても、そのような傾向は確認できません。

日本円が絡んだ主要通貨ペアの月足アノマリー情報

 たとえば、米ドル/円は20回中12回、ユーロ/円は20回中11回、英ポンド/円は20回中13回が陽線など、主要な通貨ペアの多くで「円安」になった回数のほうが多くなっています。このことから、少なくとも直近20年においては「10月は円高になりやすい」というアノマリーは存在しないことがわかります。
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過去20年の日足データで、10月の米ドル/円やクロス円を確認。
20日は過去に1回しか陰線が出現しなかった、強い「円安」アノマリー

 次は、日足の統計データの中から、注目しておきたいアノマリーをいくつか紹介しましょう。

 下の表は、過去20年間における日本円が絡んだ主要な通貨ペアの10月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線(円安)になりやすく、確率が低ければ陰線(円高)になりやすかったということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。

日本円が絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、まず、10月は2日に多くの通貨ペアで陽線の出現確率が20%台となっていて、「円高」になりやすいアノマリーがあることがわかります。

 一方、16日と20日には「円安」になりやすいアノマリーがあります。

 16日は陽線の出現確率がドル/円で70%、ユーロ/円で83%、英ポンド/円で89%となっています。
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 そして、20日はユーロ/円、英ポンド/円、スイスフラン/円の陽線の出現確率が96%と、非常に高くなっています。これは、過去20年間では陰線は1回だけで、あとはすべて陽線という出現回数なので、かなり強い「円安」アノマリーです。
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 また、27日は陽線の出現確率が米ドル/円は14%、ユーロ/円と英ポンド/円は18%、豪ドル/円は8%と、「円高」になりやすいアノマリーがあることがわかります。

6日の「英ポンド安」と、30日の「英ポンド高」にも注目!
英ポンドの陽線の出現確率は、6日が26%、30日が85%!

 そのほかに、10月は英ポンドにも注目しておきたいアノマリーがあります。

英ポンドが絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 上の表を見ると、6日は英ポンド/円が26%、英ポンド/スイスフランが8%と低く、反対に30日は英ポンド/円が85%、英ポンド/カナダドルが75%と高くなっていてます。

 このことから、10月は6日に「英ポンド安」、30日に「英ポンド高」になりやすいアノマリーがあることがわかります。

10月に発表される米雇用統計の非農業部門雇用者数は、
過去16回中13回で市場予想を下回る結果に!

 最後に、結果が為替相場に大きな影響を与えることもある、米国の雇用統計(米雇用統計)に関するアノマリーを紹介します。

 下の表は、雇用統計のデータの中でも市場参加者の多くが注目している「非農業部門雇用者数(NFP)」と「失業率」の、2007年以降の市場予想(中央値)と結果をそれぞれ調べ、9月~11月分を抽出したものです。その中から、10月に発表される9月分の結果に注目してください。

非農業部門雇用者数の推移

米失業率の推移

 これを見ると、10月に発表される9月の非農業部門雇用者数は、過去16回中13回で市場予想よりも悪い結果になっています。一方の失業率については、市場予想との一致が5回あり、それを除外すると過去11回中、市場予想を上回る悪い結果は1回のみで、10回は市場予想を下回る良い結果となっています。

 今年、2023年9月分の雇用統計は、10月6日(金)に発表されます

 為替相場の反応は、そのときのマーケットのセンチメントや他のファンダメンタルズにも左右されるため、非農業部門雇用者数が予想よりも悪い結果になったとしても、必ずしも米ドル安になるというわけではありませんが、発表後の相場のトレンドについていくためにも、参考にしていただけたらと思います。

 今回紹介したデータが、10月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は11月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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