過去20年の「3月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2024年3月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「3月」のデータを集計して、2024年3月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

3月はメキシコペソ/円の上昇アノマリーに注目!
過去17年中12回、70%の確率で陽線が出現!

 ズバリ、3月はメキシコペソ/円に注目です!

 まず、主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べて、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたところ、メキシコペソ/円と中国人民元/円で3月に注目したい傾向が確認できました。

メキシコペソ/円と中国人民元/円の月足アノマリー情報

 上の表を見ると、3月のメキシコペソ/円は陽線の出現回数が17回中12回と多く、70%の確率で「メキシコペソ高」になりやすいアノマリーがあります。
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 本記事公開時点のメキシコの政策金利は11.25%と高水準で、メキシコペソ/円はスワップポイントの高さで日本のFXトレーダーに人気があります。

メキシコペソ/円 週足チャート (出所:TradingView)

 上のチャートのとおり、メキシコペソ/円は直近3年以上、円安の流れも相まって上昇しています。メキシコの高水準の政策金利と、円安の流れが今後も続くのであれば、メキシコペソ/円の買いで為替差益によるインカムゲインと、スワップポイントによるキャピタルゲインの両方が狙えると思います。
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 また、中国人民元/円も陽線の出現回数が17回中12回と、75%の確率で「中国人民元高」になりやすいアノマリーが確認できます。中国人民元/円を取引できるFX口座はあまり多くありませんが、米ドル/円と似た値動きをする傾向が高いと言われているほか、為替レートの水準が相対的に低いので少額取引が可能な通貨ペアです。ぜひ、メキシコペソ/円とあわせて注目してください。

3月の「日本企業の円転ニーズの高まりによる円高アノマリー」は
確認できず、過去20年は確率的に円高でも円安でもない動きに

 ところで、3月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「日本企業の円転ニーズが高まりが影響して円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。これは、日本では3月が年度末となり、多くの日本企業が決算期を迎えることから、輸出企業を中心に保有している外貨を日本円に換える動き(=レパトリエーション)が強まることで、円高になりやすいというのが原因のようです。

 そこで、日本円が絡んだ主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものが以下の表です。

日本円が絡んだ主要通貨ペアの月足アノマリー情報

 これを見ると、3月は陽線の出現回数が英ポンド/円で20回中13回、米ドル/円、ユーロ/円、ニュージーランドドル/円、スイスフラン/円で20回中12回と、全体的には円高でなく、円安になった通貨ペアが多いように見受けられます。

 もっとも、個人的には20回中14回以上、70%以上の偏りがなければアノマリーがあると判断できないと考えていますので、3月の日本円が絡んだ主要通貨ペアには「日本企業の円転ニーズが高まりが影響して円高になりやすい」アノマリーだけでなく、円安になりやすいアノマリーもないといえます。

月足に目立った傾向はないが、26日と28日の円安になりやすい
アノマリーには注目。米ドルも月末に主要通貨ペアで偏りを発見

 ただし、月足には目立った傾向がないものの、日足のデータでより詳細に調べてみると、特定の日に円高になりやすい傾向や、円安になりやすい傾向が確認できます。

 下の表は、過去20年間における日本円が絡んだ主要な通貨ペアの3月の日足を数えて、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものの中から、3月25日~31日の期間を抜粋したものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすかったということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。

日本円が絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、まず、3月は26日に英ポンド/円が84%、豪ドル/円が79%、カナダドル/円が75%と、陽線の出現確率が高くなっています。そして、28日は米ドル/円と豪ドル/円で81%、スイスフラン/円で76%、カナダドル/円で71%、ニュージーランドドル/円で70%と、陽線の出現確率が高いことがわかります。

 このことから、3月には26日と28日に、「円安」方向に動きやすいアノマリーがあるので注目です。
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 また、以下の表は過去20年間における米ドルが絡んだ主要な通貨ペアの3月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものの中から同じく3月25日~31日の期間を抜粋したものです。

米ドルが絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、米ドルが絡んだ主要な通貨ペアでは、26日に「米ドル安」、28日に「米ドル高」、29日に「米ドル安」の傾向が確認できます。

 特に、3月29日は豪ドル/米ドルで86%、ニュージーランド/米ドルで96%と陽線の出現確率が非常に高く、オセアニア通貨に対して「米ドル」になりやすいアノマリーがあるため、3月下旬は日本円が絡んだ通貨ペアとあわせて注目です。

米大統領選が行われた年の3月のNYダウは、約71%の確率で上昇!
3月5日の重要イベント、「スーパーチューズデー」に注目!

 最後に、株式市場の3月のアノマリーも紹介しましょう。

 今年(2024年)は、4年に一度の「米大統領選(アメリカの大統領選挙)」が行われます。米大統領選は、世界一の経済大国である米国の大統領が決まる重要なイベントで、経済や金融にも大きな影響を与えることから、非常に注目されます。

 以下の表は、1900年以降の全31回におよぶ、米大統領選が行われた年のNYダウの月足を調べ、月別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。

米大統領選がある年のNYダウ月足における陽線の出現確率

 これを見ると、米大統領選が行われる年の3月のNYダウは陽線の出現確率が約71%と、1年の中では8月に次いで高い「株高」になりやすいアノマリーがあります。

 この米大統領選が行われる年の3月の株高は、「スーパーチューズデー」が影響している可能性があります。

 スーパーチューズデーとは、2月~3月上旬の火曜日に設定される、米大統領選の予備選挙と党員集会が集中し、一日で大量の代議員を獲得することができる日のことです。これにより、11月の米大統領選挙に向けて事実上の候補者が絞り込まれることもあり、有力候補者が掲げる政策などが好感された結果、株高が進むといった理由も考えられそうです。
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 2024年は、3月5日(火)がスーパーチューズデーになりますので、米大統領選に向けた重要なイベントして、米国の株式市場の動向を占ううえでも注目しておきましょう。

 今回紹介したデータが、3月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は4月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!