目次

はじめに　投資と金融は、なぜ難しいのか？

PART１　誤解01　プロや学者は金融の全てをわかっている

2013年ノーベル経済学賞が意味するもの
グリーンスパンへの毀誉褒貶
理論や知識があっても金融はわからない
プロが投資で勝てない数多くの証拠
プロが勝てないのはなぜか
ランダム性にまつわる誤解
伝説の投資家は幻影なのか
行動ファイナンスにまつわる誤解
バブルはなぜ発生するのか
金融理論の核にある「期待」と「信用」というブラックボックス

PART２　誤解02　ファンダメンタルズがわかれば相場で勝てる

ファンダメンタルズ分析の落とし穴
市場は必ずしも正しくないが、誰よりも正しい
市場に織り込まれる情報と織り込まれない情報
株価理論を支えるリスクプレミアムとは
立ちはだかるカオスの予測不能性
意味のあるファンダメンタルズ分析とはどのようなものか

PART３　誤解03　「チャートは全てを語る」あるいは「チャートはオカルトである」

チャート分析の手法と思想
チャート分析による将来予測の有効性
“パターン”をめぐる永遠の戦い
数に備わる神秘とチャート教
グリーンスパンも活用したチャート分析
チャート分析の第三の効用

PART４　誤解04　為替相場は国力を反映する

なじみやすいが、実は難しい為替の世界
為替と国力は無関係
通貨安は本当に国益となるのか
「安全通貨」という不思議な概念
為替と景気の複雑な関係
購買力平価と“神の見えざる手”
“神の見えざる手”の正体

PART５　誤解05　日本国債は日本国民が買っているので破たんしない

債券の基礎知識
日本国債にまつわるミステリー
財政を家計に譬えることの過ち
覆い隠されたリスクはどこに消えたのか
財政破たんのもう１つの形
全ては「信用」にかかっている
“カオスの縁”と信用の崩壊
膨大な財政赤字から二度立ち直ったイギリスの再現は可能か

PART６　誤解06　巨大投資家が市場を牛耳っている

人々の心理が求める「市場の黒幕」
イングランド銀行は本当にソロスに敗北したのか
ヘッジファンドや「空売り投資家」が果たす役割
巨大プレーヤーも最強の投資銀行も追い詰める「真の市場の支配者」
プロもアマチュアもない市場という世界
株式市場、債券市場、為替市場の公平性はどう違うのか？

PART７　誤解07　金融政策でデフレは解決できる

金融政策とはどのようなものか
時代とともに変遷する金融政策のあり方
マイナス金利まで登場したデフレにおける金融政策の有効性
「メッセージ」としての量的金融緩和
「期待」は制御できるのか

PART８　誤解08　市場はうまく規制できる

市場の動きと同様に規制の効果もわからない
金融規制の意義と副作用
ＶａＲショックに見るリスク管理がうまくいかない理由
危機が生む投資収益機会
全ては人の手に委ねられている

PART９　誤解09-12　投資にまつわる４つの致命的な誤解について

誤解09　「銀行が勧める金融商品は安全」
誤解10　「投資では相場の読みが大切」
誤解11　「短期予測より長期予測のほうが難しい」
誤解12　「勝率を上げれば投資成績は良くなる」

参考文献

索引

著者

田渕 直也（たぶち・なおや）
1963年生まれ。85年一橋大学経済学部卒業。同年、日本長期信用銀行に入行。デリバティブを利用した商品設計、デリバティブのディーリング、ポートフォリオマネジメント等に従事する。その後、海外証券子会社であるLTCB International Ltdに出向。デリバティブ・ディーリング・デスクの責任者を務める。帰国後、金融市場営業部および金融開発部次長。銀行本体のデリバティブ・ポートフォリオの管理責任者を務める。2000年より、UFJパートナーズ投信（現・三菱UFJ投信）にてチーフファンドマネージャーとして、債券運用、新商品開発、フロント・リスク管理、ストラクチャード・プロダクツへの投資などを担当。現在、金融アナリスト、コンサルタント。株式会社ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役。
著書に、『図解でわかる　ランダムウォーク＆行動ファイナンス理論のすべて』『世界一やさしい金融工学の本です』『デリバティブのプロが教える金融基礎力養成講座』『確率論的思考』（以上、日本実業出版社）、『カラー図解でわかる金融工学「超」入門』 （サイエンス・アイ新書）などがある。