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過去20年の「4月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年4月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「4月」のデータを集計して、2023年4月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
4月は英ポンドの上昇アノマリーに注目! 英ポンド/円は月足で
過去20年間のうちに16回、80%の確率で陽線が出現している!
日本で新年度が始まる4月には、英ポンドの上昇アノマリーがあります。
下の表は、英ポンド/円、英ポンド/米ドル、英ポンド/スイスフラン、カナダドル/円、米ドル/カナダドルの過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、4月は英ポンド/円で陽線の出現回数が20回中16回と、多くなっていることがわかります。これは、過去20年では実に80%の確率で陽線が出現していたということなので、かなり強いアノマリーです。
さらに、英ポンド/米ドルも16回、英ポンド/スイスフランは15回と、陽線の出現回数が多くなっているので、4月は英ポンドの上昇アノマリーに注目です。
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また、のちほども紹介しますが、英国の代表的な株価指数であるFTSE100も、4月は陽線の出現回数が過去20回中15回と、75%の確率で陽線が出現していたので、4月は英国の株価にも上昇しやすいアノマリーがあります。
これは、明確な理由はわからないものの、昨年(2022年)亡くなったエリザベス女王の誕生日(4月21日)、キリスト教の祭事であるイースター(復活祭、今年は4月17日)、英国伝統の競馬の障害競争グランドナショナル(4月7日~9日)など、4月の英国はイベントが目白押しで、その結果、「経済が活性化して英ポンドや英国の株価が買われやすくなるから」とも言われています。
そのほか、4月はカナダドルにもわずかに買いアノマリーがあるようです。過去20年で、カナダドル/円は陽線の出現回数が15回、カナダドルが決済通貨(分母側)の米ドル/カナダドルは陰線の出現回数が15回と、どちらも75%の確率でカナダドルが上昇しているため、4月はカナダドルの値動きにも注目です。
「4月の外貨投資の高まりによる米ドル/円の上昇アノマリー」は
確認できないが、週足で見た月初の上昇しやすい傾向には注目!
ところで、4月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「新年度入りに伴う外貨投資の増加で円安になりやすく、特に米ドルへの資金の流入比率が高いことから、米ドル/円に上昇しやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。
しかし、実際に過去20年間の月足を見る限り、米ドル/円は陽線の出現回数が10回、陰線の出現回数が10回と完全に拮抗しており、「4月は米ドル/円が上昇しやすい」という傾向はありませんでした。
ただし、週足のデータで調べてみると、わずかですが月初めには米ドル/円に上昇しやすいアノマリーがあるようです。
下の表は、日足と週足の統計データを使って、過去20年間の米ドル/円における陽線の出現確率を日別にまとめ、その中から3月下旬~4月上旬の期間を抽出したものです(週足は月曜日~金曜日の平均値)。
これを見ると、米ドル/円は過去20年の週足の統計データで、3月29日~4月4日にかけて陽線の出現確率が71~81%と高くなっています。しかし、同じ期間の日足の統計データを見ると、過去20年間では3月28日の上昇確率が71%と少し高めではあるものの、それ以外の日では目立った傾向が確認できません。
このことから、4月の「日本の新年度入りに伴う外貨投資の増加で円安になりやすく、特に米ドル/円が上昇しやすい」というアノマリーについては、週足ベースで見た場合に限り、日本が年度末の3月末から新年度が始まる4月初旬ごろにかけては
上昇しやすいことが確認できたと言えます。
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これはやはり、日本では4月に新年度に切り替わりますが、米国が新年度に切り替わるのは9月と国によって違いがあり、その結果、時期的に日本の投資資金が米国に流れやすいという理由が考えられると思います。
また、最後で詳しく紹介しますが、実は4月には、米国の株価指数のNYダウやS&P500に、上昇しやすいアノマリーがあります。米国は世界一の経済大国で、他国から資金が流入しやすい国です。したがって、新年度入りとなる4月から投資を始めたり、再投資したりする日本人投資家が多くなると、日本円が米ドルへ換金され、NYダウやS&P500の構成銘柄に含まれる米国の主要企業の株式が買われやすくなるのかもしれません。
4月は8日~10日の豪ドル買い、19日のユーロ買いなど、
主要通貨ペアで特定の時期に買われやすい傾向も!
次に、米ドル/円以外の主要通貨ペアの日別データも見ていきましょう。
以下の各表は、過去20年分の4月の日足データを集計し、日別の「陽線」の出現確率を算出したものの中から、目立った傾向の確認できる箇所を抽出したものです。確率が高いほど陽線の出現回数が多く、確率が低いほど陰線の出現回数が多いというデータになります。
最初は「豪ドル関連ペア」を見てみましょう。
豪ドルが絡んだ通貨ペアでは、豪ドル/円が4月8日~9日に76~79%、豪ドル/米ドルが4月8日~10日に76~85%と陽線が出現する確率が高く、豪ドルが決済通貨の英ポンド/豪ドルでは、4月8日~10日が19~29%と低くなっています。
このことから、4月は8日~10日にかけて、豪ドルに買われやすいアノマリーがあることがわかります。
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次に「ニュージーランドドル関連ペア」を見てみます。
ニュージーランドドルが絡んだ通貨ペアでは、4月7日の陽線の出現確率がニュージーランドドル/円は27%、ニュージーランドドル/カナダドルとニュージーランドドル/スイスフランが26%などと、全体的にニュージーランドドルに売られやすい傾向があります。反対に、4月8日~9日にかけてはニュージーランドドル/円が70%と81%、ニュージーランドドル/米ドルが87%と71%のように、陽線の出現確率が全体的に高く、ニュージーランドドルに買われやすいアノマリーがあるので注目です。
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4月8日~9日については、今年(2023年)は土曜日と日曜日なのでFX取引ができず、残念ながらアノマリーをトレードに活かすことはできませんが、来年(2024年)以降の参考として、ぜひ覚えておいてください。
次は「ユーロ関連ペア」です。
ユーロ関連ペアの場合、4月19日にユーロに買いアノマリーがあるようで、陽線の出現確率がユーロ/スイスフランは90%、ユーロ/米ドルは81%、ユーロ/円とユーロ/カナダドルは71%と高くなっています。
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続いて、冒頭で月足ベースで4月の上昇アノマリーを紹介した「ポンド関連ペア」です。
英ポンド関連ペアは月足では上昇アノマリーがありましたが、日足でも4月24日にわずかに買いアノマリーがあるようです。24日は、陽線の出現確率が英ポンド/米ドルで70%、英ポンド/豪ドルと英ポンド/ニュージーランドドルで75%、英ポンド/カナダドルで74%と高くなっていました。
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私が調べた限り、いずれも理由や要因が明確にあるわけではない、まさに「アノマリー」ですが、実際に過去20年分のデータを使って数値を算出した結果、通貨ごとに特定の時期に買われやすい傾向があることがわかったので、ぜひトレードの際の参考にしてみてください!
NYダウは85%、S&P500は80%など、4月は主要な
株価指数の中にも上昇しやすいアノマリーを確認!
最後に、株価指数のアノマリーを紹介します。前述のとおり、4月は世界各国の株式市場にも目立ったアノマリーがあります。
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下の表は、主要な株価指数の過去20年間における月足データを調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、4月は陽線の出現回数が、米国の代表的な30銘柄で構成される「NYダウ」で17回、約500銘柄で構成される「S&P500」で16回と、いずれも多くなっています。つまり、過去20年の中でNYダウは85%、S&P500は80%の確率で陽線が出現していることになり、どちらもかなり強いアノマリーが確認できます。
明確な理由はわかりませんが、キリスト教徒が多い米国でも4月はイースターで経済活動が活発化すること、新年度入りが4月の日本から投資資金が流入しやすいことなどが影響して、株価が上昇しやすい傾向にあるとも考えられます。
そのほかでは、4月は香港のハンセン指数も、陽線の出現回数が20回中17回と、85%の確率で上昇しているので注目のアノマリーです。
次回は5月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!