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過去20年の「8月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年8月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「7月」のデータを集計して、2023年8月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

8月は「英ポンド安」と「豪ドル安」のアノマリーに注目!
高金利通貨ペアの一部にも売られやすい傾向があり警戒

 はじめに、月足の統計データで8月のアノマリーを紹介していきましょう。

 下の表は英ポンドが絡んだ主要な通貨ペアの過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

英ポンド関連ペアの月足アノマリー情報

 これを見ると、8月は英ポンド/円、英ポンド/米ドル、英ポンド/スイスフランでは20回中14回、英ポンド/カナダドルでは20回中16回も陰線が出現しています。特に、英ポンド/カナダドルは80%の確率で陰線が出現していたということになり、8月は英ポンドが絡んだ通貨の多くで「英ポンド安」になりやすいアノマリーが確認できます。
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 また、8月は豪ドルが絡んだ通貨ペアにもアノマリーがあります。

豪ドル関連ペアの月足アノマリー情報

 過去20年間では、豪ドル/米ドルが20回中16回で80%の確率、豪ドル/円とユーロ/豪ドルでは20回中14回で70%の確率で「豪ドル安」になっていたことがわかります。
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 さらに、前回のコラムでもご紹介しましたが、8月は南アフリカランド/円やトルコリラ/円などの高金利通貨ペアにも注目です。
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高金利通貨ペアの月足アノマリー情報

 南アフリカランド/円は20回中14回と70%、トルコリラ/円は16回中11回と68%の確率で陰線が出現していて、高金利通貨ペアで「円高」になりやすいアノマリーがあるので注目しておきましょう。
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「8月の円高アノマリー」は傾向が弱まってきている。
多くの市場参加者に知られ、意識されていることも原因?

 ところで、為替市場では毎年、一部の市場参加者の間で「8月は円高になりやすい」というアノマリーが話題になることがあり、私も昨年(2022年)8月のコラムで「8月の円高アノマリー」を紹介しました。
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 8月の円高アノマリーには、日本では8月中旬のお盆休みに大手企業が一斉に長期休暇に突入するので、その前にポジションを決済しておこうという企業や投資家が多くなることや、8月は米国債の大量償還があるため外貨を日本円に戻す動きが活発化するといった理由があると考えられています。しかし、8月の円高アノマリーの傾向は年々、弱まってきているようです

 下の表は、2000年~2019年までの20年間と、2003年~2022年までの20年間の、日本円が絡んだ主要な通貨ペアにおける8月の月足を調べ、それぞれで「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

8月の月足アノマリー比較

 これを見ると、米ドル/円は14回から11回へ、ユーロ円は16回から13回へなど、直近20年間は2000年~2019年までの20年間に比べ、8月の陰線の出現回数、つまり「円高」だった回数が減っている通貨ペアが、多いことがわかります。

 つまり、近年は、以前よりも8月の円高アノマリーが効きにくくなっているということです。正確な理由はわかりませんが、この8月の円高アノマリーが多くの市場参加者に認知されたことも、関係しているのかもしれません。

 もっとも、冒頭でご紹介したとおり、高金利通貨ペアの南アフリカランド/円やトルコリラ/円では、引き続き8月は円高になりやすいアノマリーがあるので、こうした動きは注視しておく必要があるでしょう。

日足では第2週の「円高」と29日の「円安」に注目!
米ドルは、30日に「米ドル高」になりやすい!

 最後に、日足の統計データから、注目しておきたいアノマリーを紹介しましょう。

 下の表は、過去20年間における日本円が絡んだ主要な通貨ペアの8月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線(円安)になりやすく、確率が低ければ陰線(円高)になりやすかったということがわかります。

日本円関連ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、8月は7日に英ポンド/円とカナダドル/円で17%、9日は英ポンド/円とニュージーランドドル/円が24%、カナダドル円は19%、10日はスイスフラン/円が19%と陽線の出現確率が低く、2週目に「円高」になりやすいアノマリーがあることがわかります。

 一方、29日は米ドル/円と英ポンド/円で76%、豪ドル/円、ニュージーランドドル/円、カナダドル円/は90%と、陽線の出現確率が高くなっているため、8月29日は「円安」になる確率が高いということになります。
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 また、以下は米ドルが絡んだ主要通貨ペアの8月の日足アノマリーの中から月末の部分を抜粋したものですが、30日に注目したい傾向があります。

米ドル関連ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、30日はユーロ/ドルで29%、英ポンド/米ドルとニュージーランドドル/米ドルは19%、豪ドル/カナダドルは14%と陽線の出現確率が低く、逆に米ドルが基軸通貨(分子側)の米ドル/カナダドルは81%と高くなっていて、8月は30日に「米ドル高」になりやすい傾向が確認できるので、あわせて注目しておきましょう。

 今回紹介したデータが、8月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は9月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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