【※2024年3月の為替予想はこちら!】
2024年3月の為替レート予想は「26日と28日の円安」と「メキシコペソ高」に注意! 米大統領選の年の3月は約71%の確率でNYダウが上がるアノマリーにも注目!


アノマリーアナリスト「川崎ドルえもん」が、為替相場をアノマリーで分析する連載コラムがスタート!

 みなさん、はじめまして! 私はアノマリーアナリストとして活動している川崎ドルえもんと言います。

 「アノマリー」とは、特定の要因や理由をはっきり断定することはできないが、なぜかそうなりやすい現象のことを言います。特に私が注目しているのは金融市場で、特定の日や月に買われて価格が上昇しやすかったり、売られて価格が下落しやすかったりすることがあります。

 例えば、日経平均株価は「3月31日は下落しやすい」のですが、これは年度末と株主優待の権利確定が重なっているからと推測できます。ただし、確実にそうなるわけではないですし、理由が断定できないので「アノマリー」と言えるでしょう。

 このように、金融市場にはさまざまなアノマリーがありますが、この連載では特に「為替市場」にあるさまざまなアノマリーに注目したいと思っています。

8月のアノマリーは円高! 南アフリカランド/円は過去20年間で15回も下落! 英ポンドも下落しやすい!

 早速、今回は「8月」の為替市場のアノマリーを紹介していきましょう!

 下の表は、2002年~2021年の過去20年間の主要な通貨ペアの月足を調べて、陽線(上昇)だったのか陰線(下落)だったのかをまとめた表です。8月の月足が陰線だった回数を見ると、8月は陰線だった回数がユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円で14回、南アフリカランド/円で15回、トルコリラ/円とメキシコペソ/円では11回となっています。

 クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が陰線になるということは、円が買われていた、ということになります。

 このことから、8月は円高になりやすいアノマリーがある、ということがわかります。

 また、8月は英ポンドが下落する傾向もあり、英ポンド/カナダドルは16回、英ポンド/スイスフラン、英ポンド/円、英ポンド/米ドルは14回、月足が陰線となっています。

 特に、英ポンド/カナダドルは、過去20年間の中で16回、つまり80%の確率で陰線となっているので注目です!

 さらに、8月には豪ドル安のアノマリーもあり、豪ドル/米ドルは陰線の回数が15回、豪ドル/円、豪ドル/カナダドルは14回と多くなっていて、こちらも注目です!

 ちなみに、豪ドルには10月に豪ドル高のアノマリーがあるのも注目ですね。

8月の円高アノマリーは、月初から10日にかけて起こりやすい! ただし、13日と29日は陽線の確率が高いので、注意が必要

 8月に円高のアノマリーがあるといっても、8月は31日間あります。いったい8月の何日頃に円高になりやすいのでしょうか?

 下の表は、米ドル/円とクロス円で過去20年間の日足を数え、陽線になった(円安になった)確率を算出したものです。表をみると、8月2日、9日、10日で陽線の確率が全体的に低くなっており、特に9日はユーロ/円と英ポンド/円が19%、ニュージーランドドル/円は14%、カナダドル/円は24%、スイスフラン/円は29%と、陽線だった確率が低いことがわかります。

 陽線の確率が低いということは、陰線になった(円高になった)回数が多かったということになります。ということは、8月の円高アノマリーは、月初めから10日にかけて起こりやすいことがわかります。

 その後は逆に、13日と29日に陽線の確率が高くなっており、円安になりやすいアノマリーが出ているので注意が必要です。

8月の英ポンド安のアノマリーは、6日~17日に起こりやすい傾向! 

 次に英ポンドですが、8月は5日に英ポンド高の傾向が出ていて、英ポンドが絡んだ多くの通貨ペアで、陽線の確率が70%台と高くなっています。

 ただし、その後は6日~17日にかけて英ポンド安のアノマリーが出ていて、9日は英ポンド/円と英ポンド/カナダドルが19%、英ポンド/ドルが14%と、陽線の確率が低くなっています。

 また、17日はユーロ/英ポンドの陽線の確率が81%と高くなっていますが、これは81%の確率でユーロが上昇して英ポンドが下落していたということなので、高い確率で英ポンド安の傾向にあることがわかります。

 以上のことから、8月の英ポンド安のアノマリーは、6日~17日に起こりやすいことがわかります。

※ユーロ/英ポンドは基準がユーロなので、陽線の確率が高ければユーロ高・英ポンドの傾向が強かったことになる

米国株は8月29日に上がりやすい!? ナスダック総合指数は、日足で陽線の確率93%を記録!

 なお、私は為替だけでなく、株のアノマリーも調べているので、最後に世界の株価指数の8月のアノマリーを見ておきましょう。

 8月は29日に米国株で強いアノマリーがあるようで、米国の代表的な株価指数のNYダウとS&P500では日足が陽線になる確率が86%、ナスダック総合指数では93%と高くなっています。

 ナスダックの93%の陽線確率というのは、過去20年間で1回しか陰線がなく、あとはすべて陽線だったというデータになっていて、かなり注目のアノマリーデータとなっているので今年も注目しておいてください!

【8月のアノマリーのまとめ】
8月月初の「円高」アノマリーは、日本の「お盆休み」が影響している可能性あり

 相場は人が動かしています。ということは、支払いがあるときは当然お金を使いますし(実需)、休みに入る前にはポジションを決済して軽くします。

 今回紹介した8月の円高アノマリーには、日本の「お盆休み」の影響がありそうです。

 一般的に、長期休暇の前にポジションを決済しておこうという投資家は多いと思います。日本では8月中旬のお盆休みに大手企業が一斉に長期休暇に突入するので、その前にポジションを決済しておこうという企業や投資家が多くなると推測できます。日本人がポジションを決済するということは、外貨を日本円に戻すということなので、日本円が買われて円高の力が働きやすくなる……と考えられます。

 為替相場や株価指数はそのときの景気や政治の動向にも左右されるため、「8月は必ず円高になる」わけではありません。ただし、このような人間の思惑や生活、習慣が金融市場を動かすアノマリーを生んでいることに注目して、少しでもトレードに役立ててください!


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