【※2024年3月の為替予想はこちら!】
2024年3月の為替レート予想は「26日と28日の円安」と「メキシコペソ高」に注意! 米大統領選の年の3月は約71%の確率でNYダウが上がるアノマリーにも注目!


過去20年の「1月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2024年1月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「1月」のデータを集計して、2024年1月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

1月は高金利でFXトレーダーに人気の、新興国ペアでの「円高」に注意!
米ドル/円も陰線の出現回数が優勢で、ユーロ/英ポンドは高確率で下落!

 はじめに、月足の統計データで1月のアノマリーを確認していきましょう。

 下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、日本のFXトレーダーの取引量がもっとも多い米ドル/円と、1月に注目したい傾向のある通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

注目通貨ペアの月足アノマリー情報

 これを見ると1月は、南アフリカランド/円で20回中15回、トルコリラ/円で17回中11回、メキシコペソ/円で17回中10回と、高金利で人気の新興国通貨ペアで陰線の出現回数が多く、「円高」になりやすいアノマリーがあります。
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 また、米ドル/円も陰線の出現回数が20回中13回と多めなので、「1月は全体的に円高方向へ動きやすいアノマリーがある」ということを、認識しておいたほうがよさそうです。
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 さらに1月は、ユーロ/英ポンドにも注目です。ユーロ/英ポンドは1月の陰線の出現回数が20回中16回と、実に80%の確率で「ユーロ安・英ポンド高」になる傾向が確認できます。これは、主要通貨ペアの1月の月足ではもっとも強いアノマリーです。

 はっきりとした理由は不明ですが、ユーロ/英ポンドは前の月の12月に陽線の出現回数が20回中14回と、1月とは逆に「ユーロ高・英ポンド安」のアノマリーがあります。例年、ユーロ/英ポンドは年末に向けて買いが強まり、1月になるとその反動で売りが強まるということも考えられそうです。

米ドル/円とクロス円は、日足で10日の「円高」、26日に「円安」に注目!
年初の薄商いを狙った、“フラッシュ・クラッシュ”にも警戒が必要か

 次に、日足の統計データの中から、1月に注目しておきたいアノマリーを紹介しましょう。

 下の表は、過去20年間における主要な通貨ペアの1月の日足を数え、その中から日本円が絡んだ通貨ペアの日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすかったということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。

日本円が絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、10日に米ドル/円と英ポンド/円が19%、ユーロ/円とスイスフラン/円が24%と、それぞれ陽線の出現確率が低くなっています。このことから、1月は10日に「円高」のアノマリーがあるため注意が必要です。
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 また10日以外にも、1月前半は米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円で全体的に陽線の出現確率の低い日が多くなっていて、1月前半はリスクオフの「円高」になりやすい傾向があると思われます。

 反対に、26日は豪ドル/円で88%、ユーロ/円と英ポンド/円とカナダドル/円で74%と陽線の出現確率が高く、月末には「円安」のアノマリーが確認できるときもあります。
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 ちなみに、FXは1月2日から取引できますが、日本では1月3日まで金融機関は休業、株式市場も休場なので、年初は東京市場の為替の参加者が少なく、流動性に乏しい状況です。こうした薄商いの時間帯を狙った投機筋によるまとまった取引などがきっかけとなって、2019年1月3日の早朝には米ドル/円やクロス円が短時間で一方的に急落する“フラッシュ・クラッシュ”も起こったことがあるので、年始の取引には一層の注意が必要です。

米ドルは3日と11日の「米ドル安」、29日の「米ドル高」に注目!
年明け早々は、米ドルへ資金が流入しやすい特徴がありそう

 続いて、日本円ではなく、米ドルが絡んだ通貨ペアの1月の日別の「陽線」の出現確率をまとめた表を見てみましょう。

米ドルが絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると1月は、3日の陽線の出現確率がユーロ/米ドルと英ポンド/米ドルとニュージーランドドル/米ドルで29%、米ドルが基軸通貨(分子側)の米ドル/スイスフランで71%となっていて、3日は「米ドル高」のアノマリーがあります。
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 海外の主要市場の休場は元日(1月1日)のみで、1月2日から株式市場も始まります。2日もユーロ/米ドルや米ドル/スイスフランでは米ドル高の傾向があり、年明け早々は米ドルへ資金が流入しやすいという特徴があるのかもしれません。

 そのほか、11日には「米ドル安」、29日には「米ドル高」のアノマリーもあるため、あわせて注目しておきましょう。

「米ドル/円は1月の方向性とその年の方向性が一致しやすい」アノマリーを
検証。合致率は62%だが、必ずしもアノマリーとはいえないと判断できそう

 ところで、1月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「米ドル/円は1月の相場の方向性と、その年の方向性が一致しやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。

 つまり、米ドル/円の1月の月足が陽線なら、その年の年足も陽線になりやすい、反対に米ドル/円の1月の月足が陰線なら、その年の年足も陰線になりやすい、という傾向です。

 そこで、1978年から2022年までの過去45年間における米ドル/円の値動きを調べ、各年の始値(1月2日の始値)と1月の終値(月足の終値)、12月の終値(年足の終値)を一覧にまとめたのが以下の表になります。

米ドル/円の1月の月足と年足の方向性

 これを見ると、1月の月足とその年の年足の方向性が一致したのは45回中28回で、一致した確率は62%でした。直近だと、2017年から2022年までは6年連続で月足と年足が同じ方向へ推移していましたが、2023年は月足が陰線で、本記事公開時点(2023年12月22日)では年足は陽線になる可能性が濃厚です。

 過去45年間で62%の確率というのをどのように捉えるかは難しいところですが、個人的には70%以上の偏りがなければアノマリーがあると判断できないと考えていますので、市場で話題になることがある「米ドル/円は1月の相場の方向性と、その年の方向性が一致しやすい」というのは、必ずしもアノマリーとは言えないと思います。

株式市場では1週目と2週目に、ナスダック総合指数が上昇しやすい!
月末となる1月31日は、全体的な株高のアノマリーにも注目!

 次に、為替の動向にも影響を与える株式市場の1月のアノマリーも紹介します。

 下の表は、市場参加者に注目されることが多い日米の主要な株価指数における過去20年間の週足を調べ、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計した週足の統計データです。「週間平均」は2024年のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から算出した平均値です。

日米の主要株価指数の週足アノマリー情報

 これを見ると、米国の三大株価指数の1つであるナスダック総合指数で、2日から11日にかけての陽線の出現確率が64%~93%と高く、1月上旬に上昇しやすいアノマリーがあります。

 特に、2週目(8日~12日)の陽線の出現確率を平均化した週間平均は79%と非常に高く、同じ週のS&P500も週間平均が72%と高いので、年明けの動向には注意が必要です。

 また、31日は米国の三大株価指数と日経平均の陽線の出現確率が71%と高いので、1月31日の全体的な株高アノマリーにも注目です。
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米大統領選のある年に、NYダウの上昇アノマリーを発見!
重要イベントが予定されている3月と8月の月足は特に注目!

 また、2024年は4年に一度となる、「米大統領選(米国の大統領選挙)」がおこなわれます。米大統領選は、世界一の経済大国でもある米国の大統領が決まる重要なイベントで、経済や金融にも大きな影響を与えます。

 そこで、米大統領選がおこなわれる年に何かしらのアノマリーがあるか、1900年以降で米大統領選がおこなわれた年、全31回分のデータを調べたところ、「NYダウ」におもしろい傾向が見つかりました。

 まず、NYダウの米大統領選があった年の年足における「陽線」と「陰線」の出現回数を調査すると、陽線は31回中22回(71%)、陰線は31回中9回(29%)と、陽線の出現回数が多く、米大統領選のある年はNYダウに上昇アノマリーがあることがわかりました。

 さらに、それぞれの年の月足も調べ、月ごとの陽線の出現確率をまとめたのが下の表です。

米大統領選がある年のNYダウ月足における陽線の出現確率

 これを見ると、米大統領選がある年のNYダウは、3月と8月の陽線の出現確率がどちらも70%を超えていて、上昇アノマリーが確認できます

 米大統領選の本番ともいえる一般投票は11月ですが、3月は予備選挙と党員集会が集中して事実上の候補者が絞り込まれる「スーパーチューズデー」、8月は各党で候補者を指名する党大会が予定されることが多く、このような重要なイベントが影響していると思われます。

 このことから、2024年はNYダウが上昇しやすそうで、特に3月と8月の月足には注目しておきましょう。

 ちなみに詳細は割愛しますが、米大統領選がある年の米ドル/円の値動きも調べてみましたが、NYダウのようなアノマリーは確認できませんでした。

 今回紹介したデータが、1月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は2月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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