【※2024年3月の為替予想はこちら!】
2024年3月の為替レート予想は「26日と28日の円安」と「メキシコペソ高」に注意! 米大統領選の年の3月は約71%の確率でNYダウが上がるアノマリーにも注目!


過去20年の「3月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年3月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「3月」のデータを集計して、2023年3月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

3月はメキシコペソ/円の上昇アノマリーに注目! メキシコペソ/円は
月足で過去16年間のうちに12回、75%の確率で陽線が出現している!

 3月はズバリ、メキシコペソ/円に注目です!

 下の表は、メキシコペソ/円、英ポンド/円、英ポンド/カナダドルの、過去20年間(メキシコペソ/円は16年間)の「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

3月の月足アノマリー

 これを見ると、3月のメキシコペソ/円は過去16年間で陽線の出現回数が12回、陰線の出現回数が4回と、大きく偏っていることがわかります。つまり、75%の確率で陽線が出現しているので、3月はメキシコペソ/円の上昇アノマリーに注目です。
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 また、3月は英ポンド/円で陽線の出現回数が過去20年間のうち14回と、70%の確率で陽線が出現しています。そして、英ポンド/カナダドルは陰線の出現回数が過去20年間のうち14回と、こちらは70%の確率で陰線が出現しているため、この2つの通貨ペアにも注目です。
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「3月の円転ニーズの高まりによる円高アノマリー」は確認できないが、
米ドル/円は3月16日の円高、月末の円安になりやすい傾向に注目!

 ところで、3月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「日本企業の円転ニーズが高まることで円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。これは、日本は3月が年度末で多くの日本企業が決算期を迎えることから、輸出企業を中心に保有している外貨を日本円に換える動き(=レパトリエーション)が強まって、円高になりやすいと考えられていることが原因のようです。

 しかし、実際に過去20年間の月足を見る限り、「3月は円高になりやすい」という傾向はありませんでした

 下の表は、米ドル/円と主要なクロス円の、過去20年間の月足の「陽線」と「陰線」の出現回数を月別にまとめたものです。

日本円と主要なクロス円の月足アノマリー

 これを見ると、先ほど紹介したとおり、3月は英ポンド/円で陽線の出現回数が20回中14回と多くなっていますが、米ドル/円の「陽線」の出現回数は20回中12回など、それ以外の通貨ペアでは「陽線」と「陰線」の出現回数に、大きな偏りが確認できるものはありませんでした。

 ただし、日足や週足のデータで調べてみると、特定の日に円高になりやすい傾向や円安になりやすい傾向があることが確認できます。

 下の表は、日足と週足の統計データを使って、過去20年間の米ドル/円における、3月の陽線の出現確率を日別にまとめたものです。

米ドル/円の日足アノマリー情報

 これを見ると、米ドル/円は日足の統計データで3月16日に陽線の出現確率が14%と少し低くなっていて、3月16日は円高になりやすいアノマリーがあることがわかります。また、週足の統計データでは、3月29日~3月31日にかけて陽線の出現確率が71~77%と高くなっていることがわかります。

 このことから、3月の米ドル/円は月単位で見ると目立った傾向は確認できないものの、3月16日の円高傾向や月末の円安傾向には注意しておく必要があると言えるでしょう。
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 ちなみに、下の表は過去20年間における、日本と米国の代表的な株価指数の月別の「陽線」と「陰線」の出現回数をまとめたものですが、これを見ると、3月は株式市場でも「陽線」と「陰線」の出現回数に大きな偏りは確認できませんでした。

日本と米国の主要な株価指指数の月足アノマリー

 ただし、3月の日別の統計データを見ると、日経平均の陽線の出現確率が3月7日は14%、3月31日は20%と低く、逆に3月20日は86%と高くなっています。

日本と米国の主要な株価指数の日足アノマリー

 3月31日に関しては、期末日で、日本企業の株式の優待確定日が集中するため、売られやすい傾向があるのではと推測できます。

米ドル/円以外にも、3月は最終週に円安アノマリーがある。
3月28日のカナダドル/円は過去20年間、100%の確率で上昇!

 そして、米ドル/円だけでなく、全体的に3月は月末に円安になりやすい傾向があることにも注目です。

 下の表は、2003年から2022年までの過去20年間における3月最終週の週足を調べ、最終週の週足に含まれる日別の「陽線」の出現確率をまとめたものになります。

3月最終週の週足アノマリー

 これを見ると、3月27日から31日までの週間平均における陽線の出現確率は、米ドル/円が68%、ユーロ/円が73%となっています。また、ニュージーランドドル/円は84%、カナダドル/円は92%、豪ドル/円は81%、スイスフラン/円は76%など、これらの通貨ペアでは陽線の出現確率が、米ドル/円、ユーロ/円よりもかなり高くなっています。

 このことから、3月の最終週は円安(円売り)になりやすいアノマリーがある、ということがわかります。

 特に、カナダドル/円は3月28日の陽線の出現確率が100%と、過去20年間のすべてで3月28日を含む週足が陽線だったという、かなり強いアノマリーがあるので注目です。

豪ドルは3月27日に下落、3月29日に上昇する可能性が高い!
ニュージーランドドルの、3月29日の下落アノマリーにも注目!

 さらに、3月の月末はオセアニア通貨にも注目です。下の表は、豪ドルとニュージーランドドル(NZドル)が絡んだ通貨ペアの、過去20年分の3月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめて月末部分を抽出したものです。

オセアニア通貨の日足アノマリー

 これを見ると、豪ドルで3月27日の陽線の出現確率が、豪ドル/円が30%、豪ドル/米ドルと豪ドル/ニュージーランドドルが25%、豪ドル/カナダドルが19%と低くなっています。また、英ポンド/豪ドルの陽線の出現確率は85%と高いですが、これは、豪ドルが決済通貨(分母側)になるので英ポンド高・豪ドル安の確率が85%だったということなので、3月27日は豪ドルが売られやすいことがわかります。

 逆に、3月29日の陽線の出現確率は豪ドル/円で76%、豪ドル/米ドルで86%と高く、豪ドルが決済通貨となるユーロ/豪ドルでは19%、英ポンド/豪ドルでは14%と低くなっています。

 このことから、3月27日は豪ドル安、3月29日は豪ドル高になりやすいアノマリーがあることがわかります。
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 そして、ニュージーランドドルに関しては、陽線の出現確率が3月28日はニュージーランドドル/米ドルで24%と低い一方、3月29日は90%と高く、さらに、3月29日はニュージーランドドル/スイスフランも86%と高いことから、3月28日にはニュージーランドドル高、3月29日にはニュージーランドドル安のアノマリーが確認できます。
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多くのトレーダーが注目する米国の雇用統計とCPI(消費者物価指数)は、
3月に発表される2月分のデータが良い結果になりやすい傾向にある!

 最後に、経済指標の結果についてのアノマリーも確認しておきましょう。3月は米国の2月分の雇用統計やCPI(消費者物価指数)で、市場予想中央値よりも良い結果が出る傾向があります。

 下の表は、2007年~2022年における過去16年間の、3月に発表される2月分の米雇用統計の中の「NFP(非農業部門雇用者数)」、「失業率」と、「CPI(前月比)」の市場予想中央値と実際の結果に加え、市場予想中央値と実際の結果にどれだけの差があったのかをまとめたものになります。

3月発表の経済指標アノマリー情報

 これを見ると、米雇用統計のNFPは16回中12回(75%)、失業率は16回中13回(81%)で、市場予想中央値と同じか良い結果となっています。また、CPI(前月比)も16回中14回と、88%の確率で市場予想中央値と同じか良い結果になっている傾向が確認できます。

 米国の雇用統計やCPIは、FXトレーダーや市場関係者の多くが注目する重要な経済指標で、結果と市場予想中央値に開きがあった場合、為替相場が大きく動くこともよくあります。

 こうした注目度の高い経済指標の発表前に思惑でポジションをとって、発表を迎えるトレードはあまりおすすめしませんが、過去のデータから結果をイメージしておいて、発表後の為替市場の動きに付いていくようなときには、これらのアノマリーは参考になると思います。

 2023年2月分の米雇用統計は3月10日(金)の日本時間22時30分、CPIは3月14日(火)の日本時間21時30分に発表される予定なので、為替レートのアノマリーとあわせて注目しておきましょう。
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 次回は4月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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