目次

プロローグ　社員との約束

地下鉄出口に造った屋根
巧みな目標設定
残業の禁止とフレックスタイムの撤廃
「米とようかん」を持ってジャングル奥地へ
創業者が行った福利厚生

第一章　伊藤忠の原点

160年前に始めたビジネス
近江から来た商人たち
「三方よし」を生んだ宗教的土壌
変わらぬ営業スタイル
洋服という巨大マーケット
伊藤忠二代目が英国留学で学んだこと

第二章　財閥系商社との違い

忠義を尽くす人物ばかりを重用せず
繊維商社が大戦景気で躍進
日本一の商社「鈴木商店」の倒産
不況のどん底で紡績会社を設立

第三章　戦争と商社

業績不振の海外支店にも多額のボーナスを支給
カタ仮名で書かれた社史
謎肉ソーセージ、しょうゆの素、干し大根……
戦後の成長を支えた元エリート軍人

第四章　繊維商社から総合商社へ

金融界の法王に屈しなかった会社
元エリート軍人たち
娘から懇願されたこと
元軍人たちの知られざる役割
入社当初は注目されなかった旧帝国陸軍参謀
瀬島龍三の役目
中興の祖の座右の銘

第五章　高度成長期における商社の役割

商売の素人が司令塔に
参謀本部の要諦を移植
営業力や交渉力よりも大事な能力
社運をかけた原油開発
失敗で学んだ仮説に頼る危険性

第六章　自動車ビジネスへの挑戦

二度と負けないために
米ビッグスリーとの渡り合い
「いすゞ・ＧＭ提携」の仕掛け人

第七章　オイルショックの衝撃

商社叩きで失ったもの
社長の決定を補佐する仕組み
自由意思で集まった集団を結束させるために
第１次オイルショックと日本初のコンビニの誕生
安宅産業合併と東亜石油問題

第八章　下積み時代の教訓

岡藤正広の転機
帝国ホテルで得たビジネスのヒント
商社の発展の原動力はマーケットインとイニシアチブ

第九章　バブルの残照

トレーディングから事業投資へ
「冬の時代」からの復活

第十章　商社の序列

変化したビジネスモデル
経営者が社員に求めること

第十一章　コンビニ事業への参入

ファミリーマートへの出資交渉
配送車を７割減らす
速度の支配

第十二章　ＩＴビジネスへの飛躍

伊藤忠のＩＴ事業
「競合は増えてもいい」
ＩＴベンチャー投資

第十三章　か・け・ふ

社長が自ら慣例を破る
稼ぐ・削る・防ぐ
「防ぐ」を重視する理由

第十四章　あるべき姿とめざすべき姿

脱炭素経営を決断させた体験
代替肉ビジネスの可能性
世界のゴミ捨て場を見て回った日本人

第十五章　日本と総合商社

日本復活のために総合商社が果たすべき役割
商品名が付かない社内カンパニー
データではわからない顧客ニーズ

第十六章　ＣＥＯの決断

投資案件の判断の基本は人間観察
「防ぐ」経営
中国投資で弾いたそろばん勘定
社員の家族を守る制度を導入

エピローグ　花見と祭りと

欠かさない創業者の墓参り

著者

野地秩嘉（のじ・つねよし）
ノンフィクション作家
1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経て現職。人物ルポルタージュ、ビジネス、食、芸能、海外文化など幅広い分野で執筆。著書は『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『イベリコ豚を買いに』『トヨタ物語』『スバル—ヒコーキ野郎が作ったクルマ』『高倉健インタヴューズ』『高倉健　沈黙の演技』『一流たちの修行時代』『京味物語』など多数。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。