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過去20年の「6月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年6月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「6月」のデータを集計して、2023年6月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

月足では、英ポンド/円が買われやすく、米ドル/スイスフランが
売られやすい! 市場で話題になる6月アノマリーの検証結果は?

 はじめに、月足の統計データで6月のアノマリーを紹介していきましょう。

 下の表は28種類の通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、米ドル/円をはじめとする主要な通貨ペアと、6月に一定の偏りの確認できる通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

6月の月足アノマリー情報

 これを見ると、6月は英ポンド/円で陽線の出現回数が20回中14回と、それなりに多くなっていることがわかります。これは、過去20年では70%の確率で陽線が出現していたということなので、注目したいアノマリーです。
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 また、米ドル/スイスフランは、陰線の出現回数が20回中14回となっていて、こちらも70%の確率で陰線が出現していたことがわかります。 ちなみに、米ドル/スイスフランは直近10年間のデータに絞ると、陰線の出現回数が10回中8回となっており、近年は特に下落しやすい傾向があるようです。

 ところで、6月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「相場の転換点になりやすく、主要な通貨ペアや株価指数などで、その年の高値あるいは安値をつけやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。

 しかし、詳細なデータは省略しますが、米ドル/円や日経平均などの過去20年間の動きを調べてみた結果、そのような傾向は確認できませんでした。

米ドル/円は6月最終週に77%の確率で円安になっており、
さらに、直近10年の6月28~30日は“円安になる確率”が100%!

 6月の動きを週足の統計データで、もう少し細かく見ていきましょう

 下の表は、過去の米ドル/円とユーロ/円における、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計し、2003~2012年の10年間、2013年~2022年の10年間、2003~2022年の20年間の出現確率をまとめた週足の統計データの中から、6月最終週あたりの期間を抽出したものです。「週間平均」は今年(2023年)のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から算出した平均値になります。

週足アノマリー情報1

 これを見ると、米ドル/円は直近10年間で陽線の出現確率が非常に高く、特に6月28~30日は陽線の出現確率が100%と、ここ10年は必ず陽線が出現しているので、米ドル/円に円安になりやすいアノマリーがあることがわかります。
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 また、ユーロ/円も6月26~30日にかけては、過去20年間で陽線の出現確率が70~77%と高く、6月後半はユーロ/円にも円安アノマリーが確認できます
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 そのほか、6月は2週目に豪ドル/円とニュージーランドドル/円に、注目したい動きがあります。

 下の表は、過去20年間の豪ドル/円とニュージーランドドル/円の6月の陽線の出現確率を日別にまとめたものの中から、第2週目あたりを抜粋したものです。

週足アノマリー情報2

 これを見ると、豪ドル/円とニュージーランドドル/円で、6月5~7日における過去20年間の陽線の出現確率が71~90%と、かなり高くなっています。

 このことから、6月の第2週目には、週の前半に豪ドル/円とニュージーランドドル/円で上昇しやすいアノマリーがあることがわかります。
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英ポンドは15日に買われやすく、27日に売られやすい!
6月後半の、円安になりやすいアノマリーにも注目!

 次に、日足の統計データの中から、注目しておきたいアノマリーを紹介しましょう。

 下の表は、過去20年間における英ポンドが絡んだ主要な通貨ペアの6月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。

英ポンド関連ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、15日に英ポンド/ニュージーランドと英ポンド/カナダドルで92%、英ポンド/米ドルで82%、英ポンド/円と英ポンド/スイスフランで78%と、英ポンドが絡んだ通貨ペアの多くで陽線の出現確率が高くなっています。このことから6月15日には英ポンドが買われやすいアノマリーがあることがわかります。

 一方、27日は英ポンド/スイスフランで10%、英ポンド/カナダドルで19%と陽線の出現確率が低く、英ポンドが決済通貨(分母側)のユーロ/英ポンドでは90%と高いので、6月27日は英ポンドが売られやすいアノマリーがあるようです。

 また、日本円が絡んだ主要な通貨ペアでは、6月後半に円安になりやすいアノマリーがあります。

日本円関連ペアの日足アノマリー情報

 上の表を見ると、21日は英ポンド/円が90%、豪ドル/円とスイスフラン円が71%となっていて、28日はカナダドル/円とスイスフラン/円が81%、29日は豪ドル/円、ニュージーランドドル円、カナダドル/円で73%と、いずれも陽線の出現確率が高く、円安になりやすい傾向があるので、あわせて注目しておきましょう。

4週目は日本の株価指数で陽線の出現確率が高く、
米国の株価指数で陽線の出現確率が低い点に注目!

 最後に、株価指数のアノマリーも紹介します。

 下の表は、日本と米国の代表的な株価指数の過去20年間の日足で「陽線の出現確率」を調査して、6月第4週目あたりを抽出したものです。

株価指数のアノマリー情報

 これを見ると、月曜日から金曜日の間の陽線の出現確率を平均化した週間平均で、日経平均は69%、TOPIXは65%と陽線の出現確率が高く、反対にNYダウは22%、S&P500は25%と、陽線の出現確率が低くなっています。

 このことから、6月19日からの週には、日本の株価指数は上昇しやすく、米国の株価指数は下落しやすい、というアノマリーがあることがわかります。
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 日本の株式市場は米国の株式市場の「鏡相場」と揶揄されることもあります。日本の株式市場は前日の米国の株式市場の動きに影響を受けやすく、値動きの大きさなどに違いはあるものの、方向性が似ることが多いと言われることも多い中、陽線の出現確率にこれほど明確な違いが確認できるのは、注目しておきたいアノマリーです。

 今回紹介したデータが、6月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は7月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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