目次

はじめに

第１章　それでも愛されたい娘たち

娘は「どうして？」と母に問い続ける

ケース１　娘のすべてを否定する母との決別
　　　　　罰としてご飯を作ってくれない母
　　　　　激しくののしり、ときには暴力をふるう
　　　　　母に理解を示そうとする娘
　　　　　母親との距離をとる、という選択肢
　　　　　突然の決心を聞かされて
　　　　　母との縁切りと母親代わりの存在

ケース２　夫への怒りを、殴る蹴るで娘にぶつける母
　　　　　カウンセラー泣かせの相談者
　　　　　頭に包帯を巻いて現れた…
　　　　　あわてる母の姿が「うれしかった」
　　　　　「お母さんがかわいそう」
　　　　　自分が本当は何をしたいかに気づいて

ケース３　母から逃れるには死ぬしかない
　　　　　「死にたい」と薬を大量に飲んで
　　　　　すべては母への罪悪感から
　　　　　ずっと、母に管理された“いい子”だった
　　　　　１人暮らしでも感じる母の監視の目
　　　　　話すことで心は軽くなる
　　　　　懐疑心の強い母親
　　　　　「実家に帰ることに決めました」

【解説】娘の生きる力を奪う母
　　　　自分を信じる力
　　　　それでも母を許さなければいけないのか？
　　　　「真の母」を求めて

第２章　なぜか母には逆らえない

増えている娘に冷淡な母親

ケース４　ストーカーのように干渉し、自分の夢を押しつける母
　　　　　酒を飲まないと面接にこられない
　　　　　「ピアニストになるのは、母の夢だったんです」
　　　　　泣いて訴えても完全無視
　　　　　留守中のアパートに合鍵で入る母
　　　　　男友達の出現に半狂乱で押しかけてきた
　　　　　母の期待にそえない自分を責め続ける
　　　　　母との決別で新しい人生へ

ケース５　娘が嫌いでたまらない
　　　　　摂食障害の娘
　　　　　生まれたときから娘が嫌い、抱きたくもなかった
　　　　　娘との接し方がわからない
　　　　　まだ希望はあるのか、と問う母
　　　　　「母が一緒に服を買いにいこうって」

ケース６　娘を追い詰める“完璧な母”
　　　　　娘の気持ちよりも世間体
　　　　　「素直ないい子」の呪縛
　　　　　「母が怖い」という無意識
　　　　　父の病気が招いた家族の転機
　　　　　母への怖さが消えていく

【解説】娘の芽を摘む母親
　　　　母の恨みは娘へと向けられる
　　　　娘の誕生は大いなるチャンス

第３章　母の愛が重すぎる

仲よし母娘に潜む歪んだ関係

ケース７　娘を自分のコピーにしたい母
　　　　　何もかもそっくりな母娘
　　　　　娘を自分のようにしたい、という欲求
　　　　　「うちの娘は違います」というプライド
　　　　　自分の好きな服が着たい
　　　　　母の心に潜むもの
　　　　　娘の変化、母の変化

ケース８　娘に尽くして支配する母
　　　　　なぜか娘の面接を拒む母
　　　　　望みは何でも叶えてきたのに
　　　　　自分で考える力、感じる力がない娘
　　　　　母親としての“あり方”がわからない
　　　　　母と娘は一生のつきあい

ケース９　奴隷のように娘を扱う母
　　　　　すべての家事を娘にやらせてきた
　　　　　「私はお姫様のように育てられた」と言う母親
　　　　　娘をかわいいとは思えない
　　　　　少し頑張りすぎた、だから休もう
　　　　　「お母さんが好きかどうか、わからない」
　　　　　あなたにとって、娘って何ですか？

【解説】娘を今すぐ、自分に従順な理解者にしたい
　　　　母親の顔色をうかがう娘
　　　　娘が離れていく不安から解放されるために

第４章　母のようにはなりたくない！

絶望と怒りが生み出す悪しき連鎖

ケース10　娘を叩くたびによみがえる悪夢
　　　　　 母のようにはなるまいと思っていたのに
　　　　　 叩いたのは、私を愛していたから？
　　　　　 あなたはお母さんと同じじゃない

ケース11　結婚できないのは母のせい
　　　　　 実父からの性的虐待
　　　　　 私は母に見殺しにされた
　　　　　 母に謝ってほしい！

【解説】なぜ息子より娘に心理的連鎖が起こりやすいのか
　　　　人づきあいの少ない母親のストレスは娘に向けられやすい
　　　　背景にある「どうして自分だけがこんな目に…」　
　　　　母娘間の心理的連鎖のパターンとは
　　　　あなたの母娘関係の心理的連鎖を知る
　　　　あなたの母娘関係【診断とアドバイス】
　　　　心理的連鎖を決める「愛着」

第５章　母と娘のほどよい距離とは

親子関係は「共依存」の原型
親も子も闘争しながら成長していく
「ちょっと共依存、ちょっと自立」を目指す

おわりに──男として、夫そして父として

参考文献

著者

袰岩秀章（ほろいわ・ひであき）
埼玉工業大学人間社会学部心理学科、同大学院人間社会研究科臨床心理学専攻教授。専門分野は、臨床心理学（集団精神療法、学校臨床）。日本集団精神療法学会理事・認定グループサイコセラピスト、日本心理臨床学会・日本精神分析学会正会員、Senior member of Academy for Eating Disorder、Life Time member of World Federation for Mental Health。他にも、東京都立教育研究所上級カウンセリング講座、スクールカウンセラー養成講座、滋賀県精神保健センター上級集団精神療法講座、家庭裁判所調査官研修所研修、厚生労働省キャリアカウンセラー養成講座、法務省法務総合研修所保護観察官研修、千葉県総合教育センター上級カウンセリング講座、埼玉県学校カウンセリング上級研修会等の講師を歴任している。
1994年、国際基督教大学にて博士（教育学）取得。同年、日本女子大学専任カウンセラーに就任。
大学院生であった1992年にカウンセリングルーム・プリメイラを妻で心理カウンセラーである袰岩奈々と開設し、以後、企業コンサルテーション、外来個人・集団精神療法、一般誌コンサルティング、教育セミナー等を展開する。2007年、埼玉工業大学人間社会学部心理学科・大学院人間社会研究科准教授となり、2013年より現職。
共編著に、『カウンセリングの基礎　臨床の心理学を学ぶ』『カウンセリングの実習　自分を知る、現場を知る』『カウンセリングの技法　臨床の知を身につける』（いずれも北樹出版）がある。